第6話 vsザバス 上
「終わりなのだ、武器をしまうのだ」
「クロエちゃん!まだ私は負けていないわよ!だから……」
「もう、これ以上の戦いは無意味なのだ。模擬戦で大事なことを忘れたのか?」
「うっ……」
「ってかお前さっきからなに一つ手出してないじゃないか。まあいい。ここは俺も休戦に賛成するぜ」
「イザナミライ。クロエたちと手を組むのだ」
「へ?いきなりかよ。……悪くない話だか、断らせてもらうぜ。団体行動はあまり好かんからな」
「ちょ、ちょっとあんた!せっかく誘われたのになに捻くれているのよ!」
「悪いなダークエルフのお嬢ちゃん。お前との勝負、楽しかったぜ」
軽く合図を送ったあと、ライはその場を離れた。
「……えっ、なによ、お嬢ちゃんって。あんたのこと覚えたからね、ふんっ!」
「まあまあ。さ、行くのだ、あいぼう」
「……勢いで断っちゃったけど、ヒントがないのは変わらないからな……どうしようか」
と、ライが迷っているその時。綺麗な声で、放送が流された。
「ただ今、二体のハンターが放出されました。ハンターは、参加者の離脱を試み行動しています。とても手強いので、出会ったら逃げることオススメします」
「まじかよ、聞いたことないぜ、そんなの……いや、まてよ、もしかして……」
「はあ、疲れたゴブ……」
一方、ゴブ田は三人でチームを組み、森の中を探索している。
「そっちはどう、エヴァ……って、エヴァ?」
空間が、微かに歪んだ。
「トトちゃん、エヴァを見たゴブ?」
「……多分、やられたと思います……」
「!いつのまに……お前、ハンターだなゴブ」
サングラスを付けたリザード族の男が、チャラそうに立っている。
「仕事だからねぇ……あまり悪く思わないでくれよ」
「……トトちゃん、支援は頼んだゴブ!」
「……おっ、あそこがなんか騒がしいな、行ってみるか……うわっ」
「うわあっ、す、すいません、こ、殺さないでください!」
銀髪の少年は、逃げるように走り去った。
「なんだあいつ……まあいいか、先を急ごう」
ライは、爆撃音の方向に向かって急行した。
「ここか……さては、お前がハンターってやつだな」
「ちっ、乱入者かよ……このバイト、なかなか疲れるじゃねーかよ」
ライの目の前には、サングラスをかけた、リザード族の男。
「……この男、なかなか強いですよ……」
「ああ、承知の上でここにきたからな……名前を聞いておこう」
「トト……です。さっきまで二人で戦っていましたが、一人やられました……」
「ライだ。手助けはいらないが……」
「ふぇっ」
「……共通の敵に刃向かう以上、共闘を願おう」
「はっ、はい、わかりました!」
リザード族の男は、やれやれと頭を傾げた。
「わざわざ俺に戦いを挑んでくるとは……困ったなあ……」
少し、楽しそうに、男は笑った。