第3話 邂逅相遇
「っと……ここで待っとけは、いいのかな」
ライは今、都市の中心部に位置する、巨大な銅像の前に来ている。
「……でっかい銅像だな……どれどれ、くろ…なんて読むんだこれ……くろかわ……りゅういち?」
遠い昔、この地で激しい戦いがあったらしい。その戦いを納め、人々の命を守りきった英雄らしい。
「へえ、すごい人なんだな……どうでもいいけど」
と、そこへ一人のアイスクリームを持った女の子が、泣きながらやってきた。
「えーん……お母さんどこ……」
「おやおや、迷子かな。話しかけてみよっか……」
ライが女の子に話しかけようとした、その瞬間だった。
「おらどけどけ!」
ハゲの巨漢が、すごい勢いでこちらに向かって走ってくる!
その進行方向には、女の子が!
「ちっ……まじかよ」
ライは、低く屈み、攻撃の体勢を取った。
と、次の瞬間。巨漢の上から、何が勢いよく降って来た!
轟音と共に、巨漢は、地面に崩れ落ちた。
「逃げんな、賞金首」
巨漢を見下ろすように、その少年は、そこに立っていた。
「あっ」
女の子は、強風に煽られ、ヨロけそうになった。
その右手から、食べかけのアイスクリームが!
「よっと。」
赤い光が、アイスクリームを包むように救い上げた。片膝を地面につき、ライは、女の子に優しく微笑んだ。
「ほらよ、お嬢ちゃん。」
と、そこへ、女の子の母親らしき人物が駆け足でやってきた。
「ったく……治安がわりーなー、人間の世界は……あっ」
「!」
ライは、巨漢の上に立っている少年と目が合ってしまった。
「お前……」
「おっとこれはヤバイぜ……ほらよお嬢ちゃん、助けて貰った王子様にはちゃんとお礼を言っとけよ」
アイスクリームを女の子に渡し、ライは急いで人混みの中へ姿をくらました。
「バレて……いないよな、あはは……」
「今のは……ふん」
「あらあら、勇者様、人助けとは。お優しいですね……おや、どうされました?」
「なんでもない。……飛虫が目に入っただけだ。それより、お前は今までどこに行っていた?」
「いやあー昔からの友達にばったり逢いましてねえ……女友達ですよ?もしかして、嫉妬……」
「くだらないことを言うな。行くぞ」
「はいはい……」
一方、ライも無事にアルジャンと合流できたようだ。
「あら、なにかあったの、ライ?」
「まあね、色々と……」
「……へえ、輝く剣を持った少年が……そんなことがあったのね。」
「しかもあいつ、ちょっとカッコよかったし……なんちゃって……」
「……」
アルジャンはとても複雑な表情でライを見つめている。