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現実恋愛、きっとシリーズ。

生徒と教師、だけど先生はきっと運命の相手だ。

作者: あさだ あさわ

とある青年の十六歳の秋。


青年は生徒一人残っていない学校に居残りをしていた。


青年の名前は『宇井 新太(うい あらた)』。


問題を起こしたり、成績も悪く毎日のように居残りしている。




そんな青年の事を面倒を見ている教師は『明石 海雪(あかし うゆき)』。


二十二歳とまだまだ若い女教師ではあるが、生徒には人気で仕事ぶりも優秀。


宇井新太が問題児であるため 誰も手を付けることができなくなり、

最初は半ば強引に、彼女が新太の面倒見役になってしまった。



「新太くん、また問題起こしたって?」


「俺は間違ったことしたつもりはないぜ。」



新太が今回起こした問題は、クラスメイトの男子と喧嘩をしたそうだ。



原因はクラスメイトの男子が明石 海雪に対しセクハラ的発言をし、

それを聞いた新太は日頃世話になっている海雪に対するその発言を許せなかった。


それから新太は衝動的になり、クラスメイトの一人を殴った。


それから殴り合いにまで発展してしまい、

結果的に先に手をだした新太が悪い っと言う結論に至り、反省文をかくことになった。


しかし、彼女は今回の喧嘩の原因を知らされていない。



「そうだね、新太くんが意味も無く殴ったわけじゃない。

 ってことくらいはわかってるつもり、だけどやっぱり先に手を出してしまったら負けだからね。」


「・・・そうだな、衝動的になったのは俺だ。」



新太は周りが皆呆れている中、

しっかりと話しを聞いてくれて、優しく対応してくれる明石 海雪に対して好意を寄せている。


そのため、明石 海雪に対してはとても素直に話している。


だが 彼女は新太の好意に気付くはずもなく。


しかし 彼女も生徒の中でも新太は弟のように思っており、

最近は学校で一緒に食事を取ったり、話したりとしている。



しかし 問題児である新太がに対し、

人気である海雪が特別優しくしていることをあまり良く思っていない生徒も多い。



「・・・。」


「・・・。」



無言の時間が続く。

新太はひたすらに反省文を書く。


ゆっくりと二人でいる時が流れていく、そんな時間が新太には嬉しかった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



十分後


反省文が書き終わり、それからどちらも喋ることはなかった。



「お疲れ様 新太くん。

 それじゃあまた、明日学校で会おうね。」



そんな海雪の言葉が新太には寂しく感じた。


確かに学校では海雪は自分とは良くしてくれている。

だが、学校外ではどう接してくれるのだろうか。


そんなことを感じた新太は、勇気をだして海雪に言った。



「あの 海雪先生、こんど学校外でも僕と遊んでいただけますか?」



その言葉を聞いた海雪は戸惑った。


今まで生徒から学校外で遊ぶ誘いなど、一度設けたことがないのだ。


しかし 海雪は冷静になり、新太に言った。



「ダメだよ、だって私達『生徒と教師』だからね。」



新太は、その言葉を聞き頭が真っ白になった。


勇気を出して海雪に告白をしたのだが、

断られてしまうなんて正直、思っていなかった。


新太は絶望しながらも、海雪に言った。



「そうですね 確かに()()としては、()()と学校外であそぶのはまずいですよね。」



新太は海雪の事を教師としてではなく、一人の()()としてみていた。


その分 海雪と自分が男と女である前に、教師と生徒であると言う事を改めて認識させられた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



それからちょうど一ヶ月、新太は学校に来ることが無くなった。


海雪は『自分が断ったせいで新太が学校に来にくくなった。』と自分を攻めるようになった。




そして それからちょうど一ヶ月たった日、海雪はずっとその事ばかりを考えていた。


そして、()()は起こった。



海雪が家への帰り道、事故に遭ってしまったのだ。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



一日後



「新太! 海雪先生、昨日事故に遭ったんですって・・・。」



新太は母から海雪が事故に遭ったこと伝えられる。


新太は真っ先に母に言った。



「母ちゃん、海雪先生どこの病院にいるか分かる?」



新太は母から病院の居場所を教えてもらった。


それから新太は体が動き、すぐに海雪の病院へと向かった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



新太は病院に来てすぐに病室を聞き、海雪の元へと向かった。



病室に付くと、そこには眠っている海雪の姿があった。


眠っている海雪顔を見て、新太は泣いてしまった。



「海雪先生 ごめんな、本当にごめん。」



新太は、海雪に対し深い深い罪悪感を感じた。


自分が守っていれば、自分が学校に言っていれば。

もしかしたら海雪先生を守れたかもしれないのに。


眠っている海雪の前で新太はずっと謝り続けた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



海雪が入院してから約半年。


半年経っても海雪はまだ目覚めない。



新太は学校にもまた通いだし、真面目に勉強をするようになった。


成績も優秀になり、周りの女子からはちょっとした噂になっていた。



そして何より。

あれから毎日、学校の帰りに毎日 新太は海雪の元へと通っていた。





そして、新太は海雪のある事を知った。



海雪には()()()()()()のだ。


海雪が十六歳になる頃、父親が病気で死んでしまい。


海雪が十八歳になる頃、母親が自殺してしまったのだ。



そのため、病院にくるのは新太一人だった。


毎日毎日通っていたが、海雪の病室に半年間誰も来ることはなかった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



海雪が入院して約一年、ついにその時がきた。



新太がいつも通り病院にきた時のことだった。


新太が花の水を替えて戻ってきた時、新太は驚愕した。



そう 約一年間眠っていた海雪やっと目を開けたのだ。



新太は海雪が目を開けているのを見た瞬間、感動のあまり泣き崩れてしまった。


それをみて、海雪は自分がどんな状況に遭ったのかを察した。


そして海雪は新太に対して、こう言った。



「新太くん ごめんね、本当にごめんね。」



海雪はあの時の新太と全く同じことを言った。


それを聞いた新太は涙を拭き、海雪に答えた。



「僕こそごめんなさい、

 あれから一ヶ月間学校に行かずに、心配をかけましたよねきっと。」



海雪は、どれだけ新太が責任を感じていたか、

新太がどれだけ自分のことを心配してくれたのか。


そんなことを考え、新太に言った。



「新太くんのせいなんかじゃないよ、

 それにきっともう大丈夫だから、だから・・・。」



言葉を言い切る前に海雪は泣いてしまった。


新太の優しさ、新太の気持ち。

そんなものが一気に海雪を涙させた。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



それから一ヶ月、海雪は新太に助けられながらもリハビリを初めた。



一年間も寝込んでいたため、体が思うように動かないのだ。


食事をすることなどに支障をきたすことは無くなったのだが、

まだ歩いたりすることなどはできずにいた。



そしてもう一つ、海雪の中に新太に対して想いが芽生えたのだ。


眠っている時も毎日見舞いに来ていたことを知り、なおさら新太に対しての想いも強くなっていく。



新太の仕草、表情、言葉 そんな所まで気になるようになってしまった。



―――――――――――――――――――――――――――――――――



それから数日、新太は海雪に()()()を伝える覚悟をした。



「海雪先生、僕が卒業する約一年と半年経ったら・・・。」



海雪の心臓が高鳴る。



「卒業したら・・・。

 いえ()()()()では無くなったら僕とお付き合いしてください。」




・・・海雪は、その言葉がとても嬉しかった。


多分、人生で一番この言葉が嬉しかった。


生徒と教師では無く一男女として、

新太と付き合う、そんな理想的な新太の提案に海雪はこう答えた。



「よろこんで!」



―――――――――――――――――――――――――――――――――



そして 無事海雪が退院し、そして・・・。



「海雪先生、俺やっと卒業したよ。」



新太も無事、卒業することができたのだった。



「もう先生付はなしだよ、新太。」



そう 新太が卒業したことにより、()()()()と言う関係では無くなったのだ。


それを聞いて、新太は海雪に改めて言った。



「海雪、俺と付き合ってください。」



―――――――――――――――――――――――――――――――――



それから数年。


新太は大学の医学部を卒業し、医者となった。


海雪は退院後、すぐに教師としてまた働くようになった。



そして・・・。



「なあ、海雪。」


「どうしたの?」


「俺と・・・」


「うん、じゃあ今回は私もいいかな?」


「それなら二人でせーの、で言おうか。」




せーのっ


『結婚してください―――――』



ちなみ二人の名前とある並べ方をするとある言葉が浮かんでくるんです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 冷めなかった主人公、一途。 [気になる点] この距離感、学校でやってて、誰にも怪しまれている感じがないのは違和感が。 先生、教職として、こういう感じを学校で拒絶できないのはダメかと。それ…
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