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制覇3 完結編  作者: 渋谷かな
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京2

ここまでの京。三好悪魔軍の三好義興は悪魔バフォメットになり、歴史に名を残す者の源頼朝と闇に吞み込まれていった。



「島津義久め。」


京の街を足利家の息の根を止めるために、三好家は攻撃を仕掛ける。三好義賢も足利家の屋敷に向かうべく、死臭の漂う京の街を移動中であった。その表情は眉をしかめていた。


「足利家を滅ぼしたら、1番に殺しに行ってやる。」


悪魔と同化しているとはいえ、三好義賢の殺意は尋常ではなかった。余程、島津義久と相対した時に、負けそうになったのが、義賢だけでなく、内なる悪魔ベリアルも認められなかった。闇の炎がメラメラと燃えていた。


「なにをそんなに怒っているんです?」

「ん? 女? いや、男か?」

「魂は女、肉体は男なんですね~♪」

「オカマか。」

「違います!」


足利家屋敷を目指している三好義賢の前に、二人の男が現れる。男だの、女だのと複雑な会話をしている。歴史に名を残す者たちは、甦る時に、なぜか男女が逆転して生き返ってしまうらしい。


「なんだ? おまえたちは?」

「こちらは紫式部さまです~♪ 私は紫式部さま親衛隊の清少納言です~♪」

「今の物騒な京は危ないから、早く京から離れるがいい。」

「あれ? まだ気づいてないんですか? 鈍感なんですね、三好義賢さんって。」

「なんだと? なぜ私の名前を知っている!?」

「なぜって、私たちは歴史に名を残す者です~♪」

「なに!? おまえたちが足利家が雇ったという歴史に名を残す者か!?」

「はい、その通りです~♪ 大正解~♪」


三好義賢は、うっかりさんだった。目の前の2人のオカマが歴史に名を残す者とは思いもしなかった。補足を加えると、足利家が雇った陰陽師の安部一族が、死者を甦らしたというのが正解である。


「ここに何しに現れた!?」

「そんなことも分からないのか?」

「ああ~♪ 紫式部さまに問いかけると痛い目に遭いますよ~♪」


これが紫式部の必殺のルーティンである。紫式部は顔色を一つも変えずに、冷たい言葉を放つ。その攻撃は、相手の防御力を無効化する、恐ろしい攻撃である。


「あほう。」


グサグサグサグサ! 感情のこもっていない、まるで人を人とも思わない紫式部の冷たい言葉の棘は、三好義賢の心に突き刺さり、心身を凍えさせていく。立つていられずに片膝を地面に着いてしまう。


「こ、心が痛い・・・くじけそうだ・・・。」

「出た~♪ 紫式部さまの凍えるお言葉~♪」

「これ、清少納言。まるで私がいじめたみたいではないか? 敵が目の前にいるのに気づかない、この者が悪いのだ。」

「気づかなくて、すいません・・・。いや! 違う! 違うだろ!?」


グサグサグサグサ! 追い打ちをかける紫式部。そんなつもりは無かったのだが、紫式部の言葉は、その意志とは関係なく、相手の心に突き刺さり、精神的に大ダメージを与える。


「喝!!!」


三好義賢は気合を入れ、大声で叫び紫式部の凍える言葉の呪縛から解き放たれ、自我を取り戻す。しかし、2撃も冷たい言葉を食らってしまい、心が凍えてしまった三好義賢は大ダメージを受けてしまった。


「ほお、やるな。人間にしておくのは惜しい。なにか偉業を達成すれば、おまえも歴史に名を残す者に入れるぞ。」

「いいな~♪ 紫式部さまに褒めてもらえるなんて~♪ 紫式部さま~♪ 私も褒めてくださいよ~♪」

「なぜ褒めねばならん。」

「冷たい・・・ショボン。」


余裕があり過ぎる紫式部と清少納言には、三好義賢など目に入っていなかった。それもそのはず、歴史に名を残す者の中でもトップ3のうちの、ナンバー2とナンバー3が2対1で襲っているのだから、余裕があり過ぎて当然であった。


「舐めやがって! 切り刻んでやる!」


三好義賢は鞘から刀を抜いた。紫式部と清少納言に切りかかるつもりである。その姿を見ても、2人は怯むことはなかった。


「たまには私が相手をしてやろう。」

「雑用は親衛隊である私がやりますよ~♪」

「そうか? なら任せるとしよう。」

「は~い~♪ 紫式部さまは座ってお茶でも飲んでてください~♪」

「あの者の中に炎が燃えておる。油断するな。」

「嬉しいな~♪ 私のことを心配してくれるんですね~♪」

「してない。」

「大丈夫ですよ~♪ 油断する間もなく、すぐに終わらせますから~♪」


真顔になることもなく、清少納言は愛しい紫式部に心配してもらえたことがうれしかった。さっさと終わらせて、紫式部と2人の楽しい時間を過ごしたいのだった。


「え?」

「もらった!」


悪魔化はしていない。していないが、一瞬で清少納言の間合いに入り、義賢は刀を清少納言に突き刺そうとする。不意をつかれた清少納言は、身動きが取れない。


「あほう。」


刀が体に刺さるか刺さらないかというところで、紫式部が呟いた。三好義賢の動きが止まる。紫式部の冷たいものの言い方は、義賢の精神に直接ダメージを与え、やる気という炎を消していく。清少納言は、三好義賢から距離を取る。


「クッ!?」

「よっと、危ない、危ない~♪ 紫式部さま、助けて下さりありがとうございました~♪」

「あほう。」

「うっ!?」


グサグサグサグサ! 紫式部は清少納言にも容赦なかった。清少納言の心に紫式部の冷たい言葉の棘が刺さる。同じ歴史に名を残す者であっても、紫式部の冷たい言葉に心が凍えてしまうのだ。


「紫式部さま、味方にダメージを与えてどうするんですか?」

「私は言いましたよ? 油断するなと。私がいなければ、あなたは今頃、死んでいたのですよ。」

「失礼しました・・・。」

「・・・。」


このふざけたやり取りを見て、義賢は思った。先に倒さないといけないのは、紫式部だと。少なくても紫式部の凍える言葉をなんとかしなければ、義賢に勝ち目はなかった。


「清少納言、あなたは下がっていなさい。」

「はい・・・。」

「あなたも私との戦いを望んでいるはずです。」

「なんでもお見通しということか。」


そう、歴史に名を残す者のトップ3の文系の3人。聖徳太子、紫式部、清少納言には「全てを分かる」という相手の心理、相手の行動が分かるチートなスキルを持っている。簡単に言えば、先読みの能力に長けているということになる。


「はい、私たちは未来が見えるのです。」

「未来だと!?」

「どうだ~♪ すごいだろう~♪」

「清少納言、静かにしなさい。」

「すいません・・・。」


聖徳太子は「本当に、全てが分かる。」。紫式部は「全てが分かり、唯一、聖徳太子が分からない空間を作ることができる。」。清少納言は「全てが分かる。」となっている。


「歴史に名を残す者は、とんだ化け物ぞろいだな。」

「失礼な言い方ですね。女子に向かって・・・あ、今は男か。」

「美男子の紫式部さまに失礼だぞ!」

「清少納言、静かにしなさい。」

「すいません・・・。」


2人が戯れている間に、三好義賢は打開策を考えていた。しかし、未知数の歴史に名を残す者の能力に、手の打ちようがなかった。


「何か策はないかと考えているのでしょうが、無駄になります。」

「なに?」


紫式部は、持っている本を開く。本のタイトルは、源氏物語。紫式部が生前に書いた著書である。


「本の世界で、朽ちるがいい。本に吸い込まれなさい。」

「うわあ!?」


紫式部の言葉に本が光り輝く。そして、三好義賢を本の中に吸い込んでいった。歴史に名を残す者の前から義賢の姿は無くなっていた。


「すごい~♪ 紫式部さま~♪」

「清少納言、帰りますよ。」

「は~い~♪」


何事もなかった様に、紫式部と清少納言は荒れ果てた京の街から姿を消した。三好悪魔軍の三好義賢は、紫式部の本の世界に呑み込まれてしまった。それにしても、何をしてくるか分からない、歴史に名を残す者の存在は脅威であった。



ここは三好家の屋敷。


「陰陽師さま、準備が整いました。」

「そうか、そろそろ総攻撃だな。」


三好家の屋敷を足利軍の陰陽師の安部曇暗と歴史に名を残す者の聖徳太子の指揮の元、最新型の鬼4量産型が50体ぐらいで取り囲んでいる。


「聖徳太子、鬼どもに命令しろ! 三好屋敷を攻撃させろ! 総攻撃の始まりだ!」

「かしこまりました。」

(鬼たちよ、三好家の屋敷を攻撃せよ。)


聖徳太子は、鬼たちに念を送る。鬼たちは聖徳太子の命令に従い、三好屋敷に襲い掛かる。三好長慶の家臣たちは、足利屋敷を攻めに行っていていない。三好長慶は絶体絶命であった。



ここは三好屋敷の三好長慶のいる部屋。


「なに? 足利家が攻めてきた?」


三好長慶はアタフタと落ち着かない様子だった。優秀な家臣たちも出払っている。しかし、三好長慶は意外に冷静であった。


「長慶よ。何も心配することはない。おまえには私が憑いているのだから。」

「おお! さすが我が友、サタンだ。」


三好家の家臣は悪魔を宿している。それは大名である三好長慶も例外ではないのだ。三好長慶は、魔王サタンを宿しているのだった。


「まず、この屋敷に結界を張ろう。誰も入って来られぬように。」


魔王サタンが三好屋敷に結界を張る。一瞬で闇の結界に三好屋敷が包まれた。



ここは陰陽師と聖徳太子サイド。


「なに!? 鬼が弾き飛ばされただと!?」

「結界か!?」


三好屋敷に攻め込んだ鬼4量産型たちが、何らかの見えない壁に跳ね返された。陰陽師はただ驚くだけだが、聖徳太子は一瞬で見えない壁が結界だと気づいた。

まだまだ戦いは続く。



ここは足利屋敷の側の道。


「足利一族を成敗してくれる。」


三好義継が三好長慶の命令で足利義輝を討つべく足利屋敷を目指している。


「何者だ!?」


三好義継の行く手を阻むかのように前に一人の女が待ち構えている。


「私は藤原道長。歴史に名を残す者です。」

「なに!? おまえみたいな女が足利家の用心棒なのか!?」

「はい、そうです。生き返らされた時に性別が逆転しているだけです。」

「何を言っている!? 妖怪なのか!?」

「どうでもいいのでさっさと戦いましょう。いけ! 私の作ったカワイイ鬼たちよ!」


眼鏡っ子の藤原くんは生真面目な性格なので無駄口は叩かない。周囲に潜ませていた鬼たちが三好義継に襲い掛かる。


「なんだ!? 化け物どもめ!?」

「ガガガ!」

「うわあ!?」


剣で応戦するが鬼の数が多すぎて対応しきれない。三好義継から黒い闇が広がっていく。武士として生きて死にたいが現状がそれを許さない。


「まだ本懐を達成していないので死ぬ訳にはいかないのでな。いでよ! 悪魔! フルーレテイ!」


三好義継は悪魔化した。返信の衝撃で周囲にいた鬼たちを吹き飛ばす。そしてフルーレテイの上空には分厚い雲と冷たい風が吹き始める。


「衝突せよ! 闇の雹!」


上空から雨が降ってくる。雨が次第に氷の粒に変わり、大きな雹へと姿を変えていく。人間の拳サイズ、それ以上に雹は大きくなっていく。


「ガガガ!?」


小さな雹は鬼の体を貫通し、大きな雹は鬼の体を砕いていく。周囲には闇の雹が降り注ぎ次々と鬼たちを退治していく。


「見たか! 藤原の・・・!?」


三好義継は目を疑った。魔の前にいる歴史に名を残す者の藤原道長の体を雹が貫通しているのだ。あっさりと勝負が着いていた。


「こんな紛い物の入れ物に用はありません。」

「なに!?」

「私は私の知識や知略を仲間に託して、元いた世界に帰ります。ああ~なにも気にしないでください。こうなるように私が100%仕込んだのですから。」

「なんだと!?」

「さようなら。」


そういうと歴史に名を残す者の藤原道長の魂は体から離れ、満足そうに天に舞い上がって行った。


「いったい何だったんだ!?」


勝つには勝った三好義継だったが何とも言えない表情だった。敵が弱いだけなのか、それとも悪魔化した自分が強いのか、それすら分からないといった様子であった。



その頃、足利屋敷。


「よくやった! さすがは紫式部と清少納言だ!」

「ありがたきお言葉です。」

「私達にかかれば三好何て朝ご飯を食べるようにちょちょいのちょいです!」

「うるさい。清少納言。」

「すいません。」


足利屋敷に戻って来た紫式部と清少納言は足利義輝に三好義賢を討ち取ったと報告をしていた。将軍足利義輝の側には護衛の歴史に名を残す者の足利尊氏が一時も離れずにいた。


「あ!? 紫式部さま!? 燃えてます!? 本が燃えてます!?」


突如、紫式部の持つ本が燃えだした。そして炎は紫式部に燃え移った。紫式部の全身を炎が覆う。


「キャア!?」

「紫式部さま!?」


炎は足利義輝を目掛けて飛んで行くのだった。炎は人のような姿を形成していく。それは炎の悪魔だった。


「我が名は三好義賢! 悪魔ベリアルの力を宿す者! 足利義輝! お命頂戴!」

「う、うわあ!?」


炎の正体は紫式部に本の世界に閉じ込められた三好義賢だった。三好義賢は本の世界に閉じ込められたが、悪魔化して炎の悪魔ベリアルになることで、閉ざされた本の世界を焼き、現世に舞い戻って来たのだ。そして炎の剣は憎っき足利義輝を狙うのだった。


つづく。

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