表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
制覇3 完結編  作者: 渋谷かな
17/19

京4

ここは京。


歴史に名を残す者として陰陽師に甦らされた聖徳太子。聖徳太子は魔王サタンの力を手に入れ、8竜の力を持つライの体も支配し、武将たちと最後の決戦を繰り広げている。



「7竜破!」

「邪竜破!」


竜の使いに認められた7竜の武将が7竜の力を1つにして光り輝く7色の竜を放つ。黒いライも負けじと8竜の力と魔王サタンの力を混ぜ合わせて呼び出した邪竜を放つ。7竜と邪竜がお互いの中間でぶつかり大爆発を起こす。


「うわあ!?」

「キャア!?」

「なんという衝撃だ!?」

「7竜の力でも邪竜には敵わないのか!?」

「諦めるな!」

「そうだ! 攻撃あるのみだ!」

「ライを取り戻せ!」


7竜の武将は強大な邪竜の破壊力を見ても怯まなかった。なんとかしてライを助けようと必死だったのである。しかし聖徳太子の邪魂は、予想以上の強い肉体が手に入ったのが嬉しくてワクワクしていた。


「ワッハッハー! すごいぞ! すごいぞ! この子供の肉体は! まさに神の力だ! 私は竜の神になったのだ! まさに竜神だ! ワッハッハー!」


聖徳太子は自ら神を名乗り、神聖徳太子と名乗っていたが、次は竜の神と名乗り、竜神聖徳太子となったのであった。ライの凍てついた感情と聖徳太子の黒い感情がよく馴染み、想像以上の力を発揮している。


「みんな! もう一度、7竜破だ!」

「おお!」

「海火空雪氷地水! 友情の7竜破!」


7竜の武将たちはライを救おうと、もう1度7竜破を放つ。7色の竜が1つ竜になり光のように輝き黒いライを目掛けて飛んでいく。しかし黒いライは何の恐怖すら感じない。


「つまらない友情など吹き飛ばしてくれる! 邪竜斬!」


黒いライは邪竜を放つ。黒い竜は7竜に食らいつき7竜を破壊する。そして邪竜は鋭い斬撃となり7竜の武将たちを襲う。8竜の力を宿している黒いライの前では7竜では太刀打ちできなかった。


「うわあ!?」

「ギャア!?」

「ハッハッハ! すごいぞ! すごすぎるぞ! 私の邪竜は! ワッハッハー!」


7竜の武将たちは邪竜に吹き飛ばされ大ダメージを受けた。その様子を見ている聖徳太子の邪魂が憑りついている黒いライは自分の強さが愉快過ぎて笑いが止まらなかった。


「イタタタタッ。」

「まさかライがこんなに強いとは。」

「8竜の力は伊達じゃないな。」

「どうやって戦えばいいんだ!?」

「我々ではどうにもならない。」

「無念。」

「やめろ! ライ!」

「ほざけ、ほざけ、雑魚ども。すぐに楽にしてやるから感謝しろ。これで終わりだ! とどめの邪竜破!」

「ダメだ!?」


負けた。誰もが黒いライが強力な破壊力を誇る邪竜破を放った瞬間に戦いが終わり自分たちは負けたと思った。その時、黒い毒々しい竜が飛んできて、邪竜を相殺して消えていった。


「黒い竜!? 何者だ!?」

「お兄ちゃん!」

「あれはライの妹のちいじゃないか!?」

「ちいがなんで竜の鎧を着てるんだ!?」


現れたのは毒竜さまの使いティアマトお姉さんこと毒竜の鎧を装備している幼女のちいが現れた。毒竜の鎧を装備しているのでちいは毒竜破を撃つことができ、威力は黒いライの邪竜破にも引けを取らなかった。なんたって毒竜の使いが正規の破壊神ティアマトお姉さんだったからである。


「あ、アマお姉さまと牛さんだ!?」

「誰が牛さんだ。」

「ハッハッハ! おまえなんか牛さんで十分だ。」

「そんな・・・ショボン。」

「ちい、ライは邪魂に憑りつかれて、頭がおかしくなっている。元に戻すことができるか?」

「お兄ちゃんの扱いなら、ちいにお任せ。」

「頼んだぞ。」

「は~い!」


ちいはアマたちと軽く挨拶を交わし、聖徳太子の邪魂に憑りつかれ黒くなったライと対峙する。ちいは西之島の頃のライと一緒に暮らしていたので、少し頭がおかしくなったライを怖いとも思わなかった。


「子供か!? 邪竜破をかき消すとは油断できんな!?」

「お兄ちゃん! ちいにさっさと西之島に帰れと言って、この様は何!?」

「な、なんだ!?」

「お兄ちゃん! お父さんとハチの敵を討つんじゃなかったの!? 日本を制覇するんじゃなかったの!? 世界を制覇しに行くんでしょ!? こんな所で体を乗っ取られていてどうするの!?」

「う・・うう・・・!? なんだ!? 頭が痛い!?」

「お兄ちゃん!」


ちいの叱咤激励に聖徳太子の邪魂に憑りつかれ黒いライになっていたが、体の奥底に追いやられていたライの魂が妹のちいの呼びかけに目覚める。そして体を支配している聖徳太子の邪魂を体から追い出そうと騒いでいる。


「や・・・やめろ!? あ、頭が痛い!?」

「黒いライが苦しみだした!?」

「体の中でライの魂が暴れてるんだ!?」

「さすがライの妹だ。ライの表に出さない深層心理の突かれて痛い所を良く知っている。」


苦しむ黒いライは頭をかかえ痛そうにしている。体の中で負けず嫌いのライが体の支配を邪魂から取り返そうと足掻いている。ライが心を捨てたのは母や妹のちいと生きていくためだった。そのちいに怒鳴られては目覚めない訳には行かなかった。


(俺の体から出ていけ!!!)

(誰が出ていくか! この体は私のものだ!)


ライの精神がライの体の中で聖徳太子の邪魂と戦っている。しかし聖徳太子の邪魂もせっかく手に入れた強い肉体を、そう簡単に明け渡す気はなかった。その時ライと邪魂の他に、ライの体に第3の魂が現れる。


(この体は私の器だ! 神の雷を受けるがいい!)


ライの心身に稲妻が走る。体の本来の持ち主であるライは雷に耐性があるのか平気だったが、憑りついていた聖徳太子の邪魂はたまったものではなかった。雷に耐え切れず、ライの体から脱出する。


「はあ・・・はあ・・・なんだ!? あの稲妻はいったい何だったんだ!?」


ライの体から逃げ出した聖徳太子の邪魂が上空で浮遊している。謎の雷に焼かれて魂の端々がチリチリに焼け焦げている。もう聖徳太子が意識を保つのが難しいと思われるぐらい弱っていた。


「ああ! 気持ち悪い!」

「お兄ちゃん!」

「ちい!?」

「お兄ちゃんは冷たいのもいいけど、優しいお兄ちゃんも好き。」

「ちいの声が聞こえたんだ。一家を支える者として体を奪われる訳には行かないしね。ちい、ありがとう。」

「うん。お兄ちゃん、あんな奴、さっさとやっつけてね。」

「承知。」

(それにしても、あの雷の声はなんだったんだろう?)


ライは妹のちいと再会を果たすことができた。体を邪魂に乗っ取られていたので心身がシンクロするまでは少し気持ち悪かったが、こんな所でへこたれている場合ではなかった。それに雷の声も気にかかった。


「いくぞ! 聖徳太子!」

「クソ!? マタカラダヲフバッテヤル!」

「元いた世界に帰れ! 8竜雷斬!」

「ギャア!?」


ライが聖徳太子の邪魂に向けて渾身の8竜雷破を放つ。8竜が1つの竜になり光の竜となり全ての元凶、野望に汚れた歴史に名を残す者の聖徳太子の邪魂に食らいつく。全ての災いを終わらせるために。


「やった!」

「聖徳太子を倒したぞ!」

「これで日本の平和は守られた!」

「ライ! よくやった!」

「でかした! お兄ちゃん!」

「やめて下さい!? 痛いです!?」


7竜の武将たちはライの元に集まり、笑顔でライを殴り蹴る歓喜の輪が出来上がっていた。これで歴史には残らないが、聖徳太子の乱が終わりを告げた。しかし、聖徳太子は倒したはずだが、まだ悪魔たちは消えていなかった。クスクスと喜んでいる人間を笑っているようだった。


「まだだ。おまえたち! あれを見ろ!」

「え?」


聖徳太子の邪魂が8竜に食いつくされた場所に黒い雲が集まってくる。そして、1つの人型の姿に整えていく。黒い雲は聖徳太子の力ではなく、聖徳太子が取りこんでいた魔王サタンの力であったのだった。


「私の名は魔王サタン。ついに復活する時がきたのだ。」

「魔王サタン!?」

「そうか!? 黒い雲の正体は魔王サタンだったのか!?」


魔王サタンが甦った。三好長慶の体を利用し、聖徳太子の歴史に名を残す者の力を利用し、世界を不幸に陥れて不幸のエネルギーを蓄積し、ついに魔王サタンが人間に依存せずに自由意思で動ける状態で復活してしまった。


「復活祝に、まずおまえたちを殺してやろう。」

「なに!?」

「魔王破!」

「うわあ!?」

「人間など死んでしまえ! 死ね! 死ね!」


復活した魔王サタンの伸ばした手から黒い悪魔がマシンガンの弾のように次々と発射されていき地面に当たると爆発してライたちにダメージを与える。聖徳太子の邪魂を倒すのにエネルギーを使い切ってしまい、疲労困憊のライや竜の武将たちを襲う。


「ダメだ!? もう力が残っていない!?」

「さっき殴られ蹴られた時のダメージが!?」

「もうダメだ!?」

「ここまでか!?」


ライや竜の武将たちは魔王サタンの魔王破の連続攻撃に防戦一方になる。なんとか打開したいのだが連戦に次ぐ連戦で、もう反撃をする力は残っていなかった。ライを始めその場にいる者たちが勝利を諦めようとしていた。


「ライ!」

「え!? まさか・・・!?」

「青年、お久しぶり。」

「首里姫!? ヤマトタケル!?」


ライの窮地に現れたのは、太平洋で溺れていたライを救った命の恩人で、琉球でさらわれて以来、ライが救い出そうという冒険の目的であった首里姫と、歴史に名を残す者で一度ライと手合わせをし、自身を喪失するぐらいコテンパンにライを倒したヤマトタケルだった。


「首里姫!」

「ライ!」


お互いに走り寄り抱きしめ合う2人。首里姫はライに会えた喜びから涙を流して喜んでいる。ライは首里姫を救うことを考えながら冒険をし、首里姫はさらわれてから心細い日々をライが助けに来てくれると思いながら耐え忍んだ。会えない時間が愛を育てるのだった。


「ライの奴やるな。」

「いつの間に!?」

「お兄ちゃんの浮気者。」

「琉球の姫ってことは、ライは将来、琉球王か、出世だな。」

「誰か忘れているような・・・。」


アマやちいたちはライの不純異性交遊を好奇心旺盛に見つめる。ちなみに忘れられているのは悪魔のヨナちゃんである。首里姫とヤマトタケルに高野山辺りで置いて行かれ迷子になっている。悪魔なので基本、よく思われていない。


「青年、あれはなんだ?」

「聖徳太子が魔王サタンに飲み込まれた姿です。」

「ああ~、親分もああなっては形無しだな。」

「お嬢ちゃんは心細かったんだ。もう少し甘えさせてやれ。」

「ヤマトタケル?」

「あいつは俺がやる。」


首里姫に抱きつかれたままのライと会話するヤマトタケル。化け物の正体が聖徳太子と聞いて、同じ歴史に名を残す者として尻拭いをしなければいけないという想いと個人的に強い者と戦ってみたいという好奇心がある。


「私を倒す? 魔王のこの私を?」

「そうだ。」

「ふざけおって! 私がおまえを殺してくれるわ! くらえ! 魔王破!」

「薙ぎ払え! 草薙の剣!」


魔王サタンの魔王破をヤマトタケルが草薙の剣で薙ぎ払う。周囲の武将たちは魔王の攻撃を防いだヤマトタケルの剣技に感心する。だが本人のヤマトタケルは魔王破の衝撃で手のしびれを生じさせる。やはり魔王の攻撃は重いのであった。


「やるな。さすがにこの姿のままで勝てるとも最初から思ってなかったが。」

「なんだと!?」

「覚醒! 武装化! 日本武尊!」

「鎧を着ただと!?」


ヤマトタケルが自分を高め身に着けた覚醒。ヤマトタケルが鎧を着て武装化し日本武尊になった。パワーもスピードも格段にパワーアップする。戦闘を好み強い者と戦うことにだけ関心があるヤマトタケルがたどり着いた強さである。


「せっかくの王子様とお姫様の再会だ。邪魔せずにさっさと終わらせようや。」

「この魔王サタンに、人間ごときが歯向かうというのか!?」

「悪いけど、人間じゃなくて、歴史に名を残す者なんでね!」


日本武尊は魔王サタンに斬りかかる。人間では魔王には敵わないかもしれないが、悪魔のような歴史に名を残す者の力なら魔王すらも凌駕する力を秘めていても不思議はなかった。


「草薙斬!」

「ギャア!?」

「やった!」

「魔王サタンを倒した!」


魔王サタンの断末魔の叫びが響く。ヤマトタケルの必殺の1撃が魔王サタンを切り裂いた。ついに魔王サタンを倒した。日本に平和が訪れると思い武将たちは歓喜の声をあげて喜ぶ。


「喜ぶのはまだ早いぞ! ゴミ共!」

「なに!?」

「私は魔王だ! 何度、殺されても、何度でも甦るのだ! ワッハッハー!」

「クソッ!? 化け物め!?」


倒されて消え去った魔王サタンが黒い雲のように湧き出して、魔王サタンが甦っていく。魔王サタンは悪の権化であり、斬られたくらいでは消滅することはなかった。魔王サタンは自分の不死身ぶりを愉快に笑う。


「ハッハッハ! そんなことで諦めるとでも思っているのか?」

「なんだと!?」

「斬っても甦るんなら、甦らなくなるまで斬り続けるだけだ! でやあ!」


日本武尊は魔王サタンを何度も何度も斬りつける。魔王サタンは倒されても甦り、倒されても甦り、終わりのない戦いだった。日本武尊は覚醒していて、必要以上に体力を消費して疲労してしまい、遂には武装化が解けてしまう。


「ライ、ヤマトタケルを助けて! ヤマトタケルは私をここまで守ってくれたの!」

「助けたいけど、もう俺には力が・・・。」


ライは連戦の疲れで動けなくなっていた。その時だった。首里姫から聖なる光が溢れ出し輝きだす。そして光は竜の姿になり9竜目の聖なる竜、聖竜が現れる。琉球・・・竜9・・・9竜オチである。


「私は聖竜。」

「聖龍!?」

「我が眠りし琉球の姫の願いに応えるべく、8竜が認めた者よ、我が力も与えよう。聖なる力で魔王を倒すがいい。」

「ライ、あなたならできるわ。」

「承知。」


聖竜から竜玉を得たライの剣は9竜雷剣に、鎧も9竜の鎧に進化する。疲れ切っていたライは聖なる光に癒されて体力を回復する。ライは聖徳太子の邪魂に体を乗っ取られて、清廉潔白の穢れが払われた状態のライと、西之島の頃の心を閉ざした口数の少ない状態のライが、2つの心が1つの体で合わさって、少年から青年に成長したような、いつの間にかライは立派な若者になっていた。


つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ