尾張・九州・四国・安芸・京2・琵琶湖
ここは尾張の上空。
「ん? 誰かいる?」
関東から6色の竜の背中に乗って上空を飛行しながら囚われの首里姫がいると思われる京へ救出のために移動中だった。ライの行く手に、ライを待っていたかのように人間ではない者が浮いていた。
「ライ、待っていたぞ。」
「何者だ!?」
「そんなに身構えないで。私の名前はミカエル。天使だ。」
「天使!?」
「天使がいったい何の用だ!?」
「琵琶湖に水竜がいる。あと島津家久という者もいるよ。」
「どうして教えてくれるだ?」
「今の日本は甦った聖徳太子の性で歴史が無茶苦茶になってしまいました。天使は聖徳太子の性で大忙しです。私は天使として歴史を元通りにしたいだけです。」
「歴史を戻す!?」
「ライ、あなたは野心など抱かずに歴史の矢面に出ようとしないで下さい。出てきたら私があなたを裁きます。」
「天使と戦う!?」
「では、要件は伝えたのでさようなら。」
言いたいことを言って天使ミカエルは光になって消え去った。竜に乗って、悪魔も見たことがライだが、遂に天使にも出会ってしまい、さすがのライもほんの一瞬だが戸惑ってしまう。
「水竜さまと家久に会いに行こう。」
ライは天使ミカエルに教えてもらったので京に行く前に、7竜目の水竜と紀伊で別れた島津家久に会うために琵琶湖に寄ることにした。ライも確実に京へと近づいていた。
ここは九州。
「海竜破!」
闇の嵐を司る悪魔ベルゼブブに支配された九州を島津義久と海ちゃんのラブラブコンビが悪魔ベルゼブブを倒し、再び九州に平和をもたらした。義久の弟の九州を任されていた島津歳久も無事だった。
ここは四国。
「火竜破!」
闇の愛を煌めかす悪魔ベルフェゴールに支配された四国を立花道雪と火ちゃんのフレッシュコンビが悪魔ベルフェゴールを倒し、四国も平和を取り戻した。四国にいた長宗我部元親も安堵した。
ここは安芸。
「空竜破!」
闇の金でゴールドラッシュの悪魔マモンが安芸を支配していたが島津義弘と空ちゃんの静かが好きコンビの前に悪魔マモンは消え去った。安芸の毛利輝元も生き残っている。
こうして神聖徳太子が放った悪魔が敗れ去った。さすがの聖徳太子も全ての悪魔が倒されるとは想像もできなかっただろう。いよいよ聖徳太子との最後の決戦が近づいてきた。
ここは京。神聖徳太子の屋敷。
「口ほどにもない。」
「みんな!?」
妖怪3人衆の金剛石、鋼玉、黄玉は攻撃を仕掛けるが、歴史に名を残す者の聖徳太子が魔王サタンを宿しし三好長慶の体を乗っ取り、悪魔の力を手に入れた神聖徳太子の反撃をくらい吹きとばされてしまった。
「くそ!? もう一度だ! 金剛石破!」
「負けるもんかと、鋼玉破!」
「ぬらり子さまのためなら、黄玉破!」
「無駄なことを。いでよ、アムドゥスキアス。」
姿はユニコーンのような闇の音を操る悪魔アムドゥスキアスが現れる。悪魔の出現と同時にトランペットを始めとする楽器の音色も聞こえてくる。そして妖怪3人衆の攻撃を楽器の音色がかき消していく。
「全てのことが分かる私が、魔王サタンの魂も手に入れて全ての悪魔も使い放題の私に勝てると思っているのか?」
「くそ!? 化け物め!?」
「化け物は俺たちだろう、妖怪なんだから!?」
「てゆうか、攻撃が効かないんだけど!?」
「いでよ、アモン。妖怪を食い殺せ。」
「ガオ!」
「パラッパパッパッパ~♪」
「ギャア!?」
神聖徳太子は闇の狼の悪魔アモンを呼び出す。アモンは狼らしく妖怪3人衆に襲い掛かる。アムドゥスキアスの楽器の音色が聞こえてきて、妖怪3人衆の神経を攻撃され思うように動くことがきない。これでは戦いにならないのだった。
「みんな!?」
「妖怪3人衆は生まれたばかりで戦闘の経験値不足で強いけど役に立ちません。」
「え?」
「ぬらり子さま。ハイパーダイヤモンドでバリアを張って、金剛石たちを守ってやってください。」
「分かったわ。カー、あなたは?」
「俺は調子に乗っている奴を退治してきます。」
普段やる気のないカーだが、どうも調子に乗っている奴を見ると西之島にいた頃の自分と重なって吐き気がするのだ。それと妖怪たちの元に自分と連れてきた子供たちもお世話になっているので恩返しができるとカーは思った。
「食い殺せ! アモン!」
「ガウガウ!」
「こい、8首竜の鎧。」
「ガウガウ!」
「8首竜斬!」
神聖徳太子の命令で闇の狼の悪魔アモンがカーの喉元を食いちぎろうと突進してくる。カーは8首竜の鎧を装備し、剣を鞘から抜きアモンに備える。そして狼が自分の間合いに入ると必殺の1撃を放つ。
「アモンがやられただと!?」
「カーすごい!?」
「マジか!?」
「やるじゃん!?」
「ヤバイ!?」
カーの放った8首竜が闇の狼を食らいつくす。首だけになっても生き続け、伯耆で八岐大蛇と出会い、最強の体を得ることができたカー。八岐大蛇が与える8首竜の鎧は竜8匹分の破壊力を有していた。
「アムドゥスキアス! あいつの精神を攻撃しろ!」
「パッパッパ!」
「悪いが8首竜の鎧を着ている俺に精神攻撃何て効かないぞ。」
「なに!?」
「8首竜破。」
カーの放った8首竜が闇の音アムドゥスキアスを破壊する。竜の鎧を着ているカーにはステータス異常の攻撃は通用しなかった。カーはゆっくりと歩いて前に進み神聖徳太子の方に近づいていく。
「おまえは何者だ!?」
「一応、人間のつもりだけど。」
「いや、人間ではないな。私には分かる。おまえの中に何かが潜んでいるのが。」
「何をゴチャゴチャと言っているんだ。俺はおまえみたいに調子に乗っている奴が嫌いなんだ。さっさと終わらせようぜ。」
「こい、化け物!」
「化け物に化け物とは言われたくないな。」
8首竜の鎧を身にまとっているカーと自ら神を名乗り日本の支配を目論む神聖徳太子との戦いが始まった。それにしても神聖徳太子がカーの中に見たものとはいったいなんだったのだろうか。
ここは琵琶湖。
「ライ! こっち! こっち!」
ライが琵琶湖の上空にやって来るとお出迎えのように清少納言がライに近づいていく。紫式部の命令でライを迎えに来たのだった。ライはふと今日はよく変わった者に会う日だと感じた。
「あなたは?」
「私は歴史に名を残す者の清少納言だ。紫式部さまのご命令で神を宿し者であるライを迎えに来たんだ。」
「歴史に名を残す者!?」
「ストップ!? こっちに戦う意思はないよ!?」
「え!?」
「もう私たちを操っていた陰陽師は死んで、我々は自由になったんだ。だから襲ったりしないって。」
「はあ。」
「島津家久って人が遊びに来てるんだけど。」
「家久のこと忘れてた。」
ライは清少納言に案内されて、紫式部と鬼0式、島津家久と水ちゃんのいる琵琶湖の畔の民家に向かう。ライの周りには人間以外に悪魔、天使、英霊といろいろな者がいるのが普通のようになってきた。
「家久!」
「ライ!」
「元気だったか!」
「ライこそ! 無事で良かった!」
「お二人さん、感動の再会の所、悪いのですが、ゆっくりしている時間はあまりありませんよ。」
「あなたは?」
「この方は紫式部さんだ。俺が悪魔に襲われている所を助けてくれたんだ。」
「家久を助けてくれてありがとうございます。」
「どういたしまして。」
ライと島津家久は紀伊でライが蝦夷に飛ばされて以来の再会を果たす。ライは家久のことが心配だったが、無事でいてくれたことがうれしかった。紫式部は現在の京の状況を話す。
「今、京では暴走した聖徳太子を倒すために妖怪たちが戦っていますが、長くはもたないでしょう。8首竜の鎧を着た者が孤軍奮闘しています。」
「カーが!? カーがいるんですか!?」
「はい、間もなく太陽光線を使う者と牛頭と武将たち京にたどり着きます。」
「アマさんとギュウさんだ!? 西日本制覇隊の仲間も!?」
「あなたが探している首里姫もヤマトタケルに連れられて京を目指しています。」
「首里姫!? それに・・・ヤマトタケル!?」
「竜の鎧を着た武将たちも京に駆け付けてるでしょう。」
「みんなが京に集まる!?」
「誰しもが日本国の制覇を夢見る者です。」
「制覇!?」
「私はライ、あなたが制覇することに賭けましょう。」
「お、俺に!?」
「よかったね。紫式部さまは全てが分かるんだよ。」
「俺、制覇してみせます!」
紫式部の自信のある言葉に、実感のないライは戸惑ってしまうのだが、今から京へ向かい自分の手で起こっている争いの元を倒すのだから、制覇するという言葉の重みを感じる。
「聖徳太子は何体でも悪魔を呼び出すので見方は多いにこしたことはありません。あなたも水竜から竜玉をもらったら、すぐに京に向かってください。」
「分かりました。」
「あなたの中に眠る神がきっと日本を平和に導いてくれるでしょう。」
「はい。いろいろ教えてくれてありがとうございました。」
ライは紫式部とは初めて会ったのだが、今までも何度もあったことがあるような感覚を覚える。それだけ落ち着きを払っている紫式部の態度や声に昔からの知り合いのような安心感を感じるのだった。
「水竜さまに会ってきます。」
そういうとライは琵琶湖に飛び込んだ。若くて元気の良いライを紫式部や清少納言は温かく見守るのであった。ライは水竜さまから竜玉をもらい、剣を7竜雷剣
にパワーアップさせるのだった。
再び、京。
「やるな! 妖怪の分際で!」
「そっちも自ら神を名乗るだけのことはある!」
8首竜の鎧を着たカーと自称神の神聖徳太子の戦いは熾烈を極めているように見えた。しかし、全てが分かる聖徳太子はカーの弱みも簡単に理解してしまうのであった。
「だが、貴様の弱点が分かったぞ。」
「なに?」
「いでよ! 悪魔たち! 妖怪の女たちを総攻撃するのだ!」
「ガガガ!」
「なに!?」
「確かにおまえは強いかもしれないが、足手まといな仲間がいては思う存分に戦うこともできまい!」
「クソ!?」
悪魔の中には倒されたであろうバフォメットやベリアルもいる。悪魔は人間の歪んだ心がある限り滅びることはない。神聖徳太子は大量の悪魔を呼び出し、ぬらり子と手負いの妖怪3人衆たちを狙う。
「8首竜破!」
「カー、足手まといでごめんね!?」
「すまない!? 俺1人じゃ守り切れそうにない!?」
「私に歯向かった妖怪共! 死に絶えるがいい!」
悪魔の闇の炎や闇の水などの集中攻撃を受けるぬらり子たち。カーもぬらり子たちをかばいながら戦うので防戦一方になる。困って必死にもがいている様子を見て神聖徳太子はほくそ笑むのであった。
「太陽光線!」
いきなり輝かしい太陽光線が放たれてくる。一瞬で5体ほどの悪魔を焼き尽くす。神聖徳太子もぬらり子やカーもいったい何が起こったのか理解できないでいた。
「ライがいないじゃないか、帰っちゃおうかな。」
太陽光線を放ったのはアマさんだった。アマと一緒にギュウと武将たちも現れた。妖怪を助ける筋合いはないのだが、多勢に無勢で一方的に攻撃している悪魔がアマは気に入らなかった。
「今度は人間か!?」
「助けてくれたの!?」
「おまえたち!」
「はい!」
「あそこの動けない連中を引きずって、どこか遠くに連れていけ! 邪魔だ!」
「了解です!」
「ギュウは作業の援護!」
「任せとけ!」
「あそこの1番悪そうな奴は私の獲物だ。」
アマさんは神聖徳太子に狙いを定めて太陽光線をぶっ放す。しかし、大量の悪魔たちが身を犠牲にして神聖徳太子を守る。遠距離攻撃では神聖徳太子にダメージを与えることができない。
「私は大量の悪魔に守られているのだ。私は無敵だ。ワッハッハー!」
「雑魚が多すぎて邪魔だね。まだ非難も済んでないし、こっちの戦力は牛頭と8首竜だけかい。ああ、こんな時にライがいてくれればやる気も出るんだけどね。」
西之島でライを弟のように可愛がってきたアマのやる気はライがいるかいないかで大きく影響される。これから大量の悪魔の相手をするかと思うと気の遠くなるような作業にやる気がでなかった。
「7竜雷破!」
7竜が現れ次々と悪魔たちを倒していく。海竜、火竜、空竜、雪竜、氷竜、地竜、そして琵琶湖で仲間に加わった水竜の7竜である。ついに京に真打であるライが7竜の鎧を身にまとい現れた。
「遅くなりました。」
「ライ!?」
「今度は竜か!?」
「来たか。」
7色の竜に乗りライが現れた。そしてアマの元に降り立つ。その様子を神聖徳太子も見ていた。7竜を操る少年。この少年はいったい何者なのかと。同じくカーもライを見て思うものがある。自分の8首竜には敵わないが、ライは7竜の力を手に入れているのであった。
「ライ! 大きくなったな!」
「アマさん、く・・・苦しい・・・。」
「ライがいるなら気合十分だ!」
「はあ・・・はあ・・・相変わらずアマさんと出会う時はいつも死ぬかと思う。」
「ライ、私たちの感動の再会を邪魔している者がいる。」
「はい。」
「あいつが全ての元凶だ。」
「そうですね。」
ライに会えた喜びで毎回ライに抱きつき絞め殺そうとするアマ。死なないまでも毎回三途の川を渡りそうになるライ。アマはいきなりシリアスな顔つきになり、ライと共に神聖徳太子を睨む。いよいよ最終決戦が始まろうとしていた。
つづく。




