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制覇3 完結編  作者: 渋谷かな
14/19

琵琶湖・京1

ここは近江。琵琶湖の周辺。


「見てください! 紫式部さま! 鮒が釣れましたよ!」

「うるさい、清少納言。」

「すいません・・・。」

「鬼0式も魚釣りを楽しんでいるみたいですしよかったです。」

「全く釣れてませんけどね。」

「釣れなくても良いのです。澄んだ琵琶湖を泳いでいる魚を見るだけで鬼0式の心が成長するでしょう。」


自分たちの命を握っていたと思われた悪徳陰陽師の安倍雲明が死に、呪縛から解き放たれた歴史に名を残す者の紫式部と清少納言と鬼0式は琵琶湖の畔の空き家で余生を楽しく暮らしていた。


「着いた! 琵琶湖だ!」

「はあ・・・はあ・・・疲れた・・・。」


琵琶湖に現れたのは那智の滝で竜の使いに水竜さまが琵琶湖にいると聞いて、伊勢志摩から国と国との国境沿いを北上して、やっと琵琶湖に着いたのだ。師走ちゃん曰く、睦月ちゃんの分身史上、これだけの移動距離を移動した分身はいないとのこと。


「あ!? 鬼が魚釣りしてる!?」

「ここまで来て鬼に出会うとは!? なんという霜月ちゃんの不運!?」

「その鬼は理由なく人を襲いませんよ。」

「あなたは?」

「私は紫式部。歴史に名を残す者です。」

「歴史に名を残す者!?」

「ああ~霜月ちゃんの人生は終わった。あ、分身だから消えればいいだけか。」

「そんなに身構えない下さい。」

「そうそう、私たちは脱走兵なんです。」

「脱走兵!?」


疲れてフラフラの家久たちはお茶をだされたので、とりあえず紫式部の話を聞くことにした。聞けば歴史に名を残す者の皆さんも大変苦労してきたことが分かった。お互い立場は違えど、話し合えば分かり合うことができたのだった。


「改めて、俺は島津家久。島津4兄弟の1番下です。」

「忍者の名門旧暦家の睦月ちゃんの分身の霜月ちゃんです。」

「ここには・・・。」

「水竜は琵琶湖の底にいます。」

「え!? なぜそれを!?」

「すぐに会いに行ってください。水竜の力を得たあなたの力が必要になります。」

「紫式部さま、招かざるお客様が来たみたいです。」


紫式部たちの元に同じく歴史に名を残す者だった聖徳太子の命令で闇の透視を使う悪魔アスタロトが闇の竜に乗って上空に現れた。やはり危険な存在の紫式部たちを自称、神を名乗り日本を謝意しようとする神聖徳太子が放っておくはずがなかった。


「ここは私たちに任せて、家久、霜月は琵琶湖へ飛び込みなさい。」

「はい。」

「必ず水竜の力を手に入れるのですよ。」

「行ってくるでござる。」


家久と霜月ちゃんは琵琶湖に飛び込んだ。琵琶湖にいるという水竜さまを泳いで探すのであった。悪魔アスタロトが紫式部たちの前に降りてきた。闇の竜を飼いならしているだけあって、今までの悪魔とは一味違うようだった。


「紫式部と清少納言だな。神聖徳太子さまの命令でおまえたちを殺しに来た。」

「でしょうね。」

「だが神聖徳太子さまはお優しい方だ。元は同じ歴史に名を残す者ということで、おまえたちが神聖徳太子さまに従うというのなら命を助けて下さるそうだ。どうだ? 生きたければ降伏しろ。」

「紫式部さま、この人は何を言っているんでしょうね?」

「人ではありません。悪魔ですよ。」

「すいません。間違いました。私たちを紫式部と清少納言のラブラブコンビと知ってケンカを売っているんでしょうか? 鬼0式もいるのに? この悪魔は頭が弱いんじゃないですか?」

「誰が頭の悪い悪魔だ!? おまえたちが凶暴なのは知っている! 悪いが私のも何の策もなくやって来たわけではないぞ。吠えろ、闇の竜。」

「ガオオー!」


悪魔アスタロトのペットの闇の竜が雄叫びをあげる。紫式部、清少納言、鬼0式の動きが止まる。止まったというより体を動かしたくても動かせない、身動きが出来なくなった。


「なに!?」

「紫式部さま!? 体が動きませんよ!?」

「・・・。」

「闇の竜の雄叫びは相手の動きを封じ込めることができる。これは歴史に名を残す者であっても例外ではないのだ。ワッハッハー!」

「どうしましょう!? 紫式部さま!?」

「動けないのですから、動かなければいいのです。」

「さすが紫式部さま。」

「今からなぶり殺してやる!」


絶対無敵と思われた紫式部たちに思わぬ闇の竜の特殊能力が立ちはだかる。身動きがとれないのだが騒ぐ清少納言と違い、紫式部は冷たい顔で無表情を崩さずに冷静な態度を振る舞っていた。



その頃、琵琶湖の底。


「お久しぶり!」

「あ!? 那智の滝で会った竜の使い!?」

「遅いやん! なにしてたんや!?」

「関西弁でござる。」

「細かいことは気にするな! 水竜さまの所に案内するで!」

「お願いします。」


紫式部に水竜の居場所を教えてもらい琵琶湖に飛び込んだ島津家久と霜月ちゃんは、関西弁を使う水竜の使いの水ちゃんと出会った。水の中でも不思議と息が苦しくならず、水ちゃんに連れられて水竜さまに会いに行く。


「これが水竜さま!?」

「大きいでござる!?」

「水竜さま、人間を連れてきました。」

「うむ。水ちゃん、この者たちは竜に選ばれた者ではない。」

「ええ!? 違うんですか!?」

「だから私の力を与えることはできない。」

「水竜さま! どうか力を貸してください! 外にも悪魔が来ていて大変なんです!?」

「無理だな。私の力を与える者はライという神を宿し者に決まっている。」

「そんな・・・。」

「薄情竜でござるな・・・。」

「だが、水ちゃんが力を貸すことは自由だ。」

「なんと優しい竜でござるか!」

「霜月ちゃんは露骨な手のひら返しだな。」

「しゃあない。人情や。この水ちゃんが力を貸してやろう。」

「水ちゃん、ありがとう。よし! 地上に戻ろう!」

「おお! いくで!」

「おまえは戻らないのか?」

「最近の慌ただしい生活に疲れたでござる。」

「人間も大変だのう。」

「そうでござる。霜月ちゃんは分身なのでもう消えるでござる。燃え尽きたでござる。」


こうして島津家久は竜の使いの水ちゃんの強力を取り付け、2人は琵琶湖の底から地上を目指していく。ちなみに霜月ちゃんは、まだ水竜にヨイショをして機嫌取りをしている。現実社会に疲れを感じながら力尽き消えていった。



ここは琵琶湖の地上。


「どうだ? 手も足も出まい。」


紫式部も清少納言も闇の竜に動きを封じ込められ、悪魔アスタロトに殴る蹴るされても反撃することができない。闇の透視を使う悪魔アスタロトには神聖徳太子に命じられた命令がもう1つあった。


「紫式部、おまえの魂の在りかが分かったぞ。おまえの魂の在りかは、清少納言の中だ!」

「バレたか。」

「紫式部さまの1番大切なものは私だったんですね! 感激です!」

「私もあなたのことを大切に思っているのですよ。」

「キャア! もう死んでもいい!」

「じゃあ、死ね! 清少納言! おまえを殺せば紫式部一緒にも殺せるのだ!」


紫式部は何度も何度も倒されても生きている。その理由は紫式部の体は抜け殻で魂が体に入っていないのだった。紫式部の魂は清少納言の体の中にあった。清少納言が紫式部を好き過ぎる原因もそこにあるのかもしれない。


「やめろ!」

「人間!?」

「戻って来たか。」

「やめろ! 抵抗できない者を一方的に攻撃するなんて、武士の風上にも置けない奴だ!」

「悪いな。武士じゃなくて、私は悪魔だ!」

「あれは闇の竜!?」

「闇の竜?」

「闇の竜の雄叫びは相手の動きを封じ込めるんだ。」

「それで紫式部さんたちは動けないのか!? なら、どうして俺は動けるんだ!?」

「それはもちろん、竜の使いの水ちゃんがいるからに決まってるやろ!」

「そ、そうなんだ。」

「この水ちゃんさまが力を貸してやるから、闇の竜なんかさっさと片づけて終わらせまほ。」

「おお!」

「一心同体!」


琵琶湖の底から水竜さまと出会い、竜の使いの水ちゃんを仲間に加え地上に戻って来た家久は、ついに竜の力を手に入れることができた。水ちゃんが水竜の鎧に変化し家久の体に装着していく。


「島津家久! 見参!」

「人間が竜の鎧を着たぐらいで、この悪魔アスタロトに勝てると思うなよ。」

「いくぞ! 水竜破!」

「水の竜だと!?」

「すごい!? 水竜が出せた!? これなら悪魔を倒せる!」

「くそ!? あいつのどこかに弱点はないのか!? ええ~い!?」


家久は水竜の鎧を身にまとい水竜の力を使うことができるようになった。悪魔アスタロトも闇の透視で家久の弱点を探すが特に見当たらない。勢いのついた家久は悪魔アスタロトを追い詰めていく。


「くらえ! 水竜斬!」

「そんなもの当たるものか!?」

「フッ、狙いはおまえじゃない!」

「なに!?」

「ガオ!?」

「闇の竜が!? 最初から闇の竜を狙っていたというのか!?」


家久の必殺の1撃が闇の竜に命中する。そして水竜が闇の竜を切り裂いていく。まず家久は闇の竜を倒すことに成功した。しかし、闇の竜を倒したことが悪魔アスタロトの怒りに火をつけてしまう。


「よくも闇の竜を・・・たかが人間ごときに・・・許さん、許さんぞ!」

「なんだ!? 闇がアスタロトの体にまとわりついていく!?」

「まさか!? あれは闇竜の鎧!?」


倒した闇の竜が闇竜の鎧になり悪魔アスタロトの体に装着していく。悪魔が闇竜の鎧を装備して、さらに強力な悪魔にパワーアップしてしまったのだった。同じ竜の鎧でも、元のステータスが家久よりも上のアスタロトの方が有利であった。


「この姿になるとは思わなかったぞ、人間。」

「なんなんだ!? こいつから感じる邪悪な気配は!?」

「おまえのことを認めよう。敬意を払って1撃で終わらせてやろう。」

「なに!?」

「死ね! 闇竜斬!」

「負けるものか! 水竜斬!」


悪魔アスタロトが放った闇竜が島津家久の放った水竜を食いちぎり、闇竜が家久に命中する。水竜の鎧になっていた水ちゃんも変化が解け、2人は吹き飛ばされる。もしも水竜の鎧を着ていなければ、家久は即死だっただろう。


「うわあ!?」

「ギャア!?」

「倒れながらも、まだ生きているか。苦しまないようにとどめを刺してやろう。」

「うう・・・。」


地面に倒れている家久に一歩一歩と近づいていくアスタロト。しかし、アスタロトの足が止まる。何かを感じ取った。この悪魔の神経までも凍えそうな寒気がする。見渡せば周りは冷たい世界が広がっていた。


「なんだ!? これは!? 冷たい!?」

「私の世界です。」

「む、紫式部!? なぜだ!? なぜ動ける!?」

「そんなことも分からないのですか?」

「でた! 紫式部さまの必殺のルーティン!」

「そうか!? 人間の狙いは私を倒すことではなく、闇竜を倒して、おまえたちを動けるようにすることだったのか!?」

「大正解! よくできました!」

「うるさいですよ。清少納言。」

「すいません。」

「バカな!? 悪魔である私が負けるというのか!? 認めん、認めんぞ!?」

「死ねい。」

「ギャア!?」


紫式部のとどめの1撃「死ねい。」が命中して、悪魔アスタロトを倒した。これで琵琶湖に平和が戻って来た。歴史に名を残す者の紫式部であっても、今回の戦いは少し疲れ、片膝を着くくらいフラフラしていた。


「大丈夫ですか!? 紫式部さま!?」

「私は大丈夫です。それよりも倒れている者たちの手当てをしなさい。いかに私が全てが分かっていても、この者の勇気がなければ我々はここで息絶えていたのですから。」

「そうですね。分かりました。」

「鬼0式。あなたもゆっくりしなさい。」

「・・・。」

「性能は良くても、まだまだ生まれたての子供のように人生の経験が少ないのですから。心の豊かな優しい鬼になりなさい。」

「・・・。」


鬼0式はまだ上手に言葉が話せない。それでも面倒を見てくれる紫式部のことが母親のように好きなのだろう。家久と水ちゃんを看病している清少納言の元に向かいお手伝いをするのであった。


「今回のことで、聖徳太子に私の魂の在りかが知られてしまいましたね。きっと放っておいてはくれないんでしょうね。」


紫式部は悩んでいた。聖徳太子から逃げながら生活をするのか、それとも死を選び、このせかいから消えるのか、自ら京に乗り込み聖徳太子を倒してしまおうかという選択肢の中で悩んでいた。


「9竜目はいったいどこにいるのやら。」


もう1つ選択肢というより可能性があるとすれば、神を宿し者が9竜に認められ9竜の力を得て聖徳太子を倒すという可能性があった。しかし最後の1竜の居場所は全てが分かる者であるはずの紫式部にも分からなかった。琵琶湖の水面が風に揺れていた。(extra3 歴史に名を残す者たち)



ここは京。神聖徳太子の屋敷。


「なんだ? おまえたちは?」

「私は妖怪の長ぬらり子だ。悪魔がのさばってると妖怪の出番が減るじゃないか!?」

「ぬらり子さまは黙っていてもらえますか?」

「あとは俺たちでやりますから。」

「え!? え!? 私は妖怪の長として権利の主張を!?」

「そういうのはいらないんですよ。」

「カー、ぬらり子さまを取り押さえておけ。」

「ほ~い。」

「こら!? 何をする!? うわあ!?」

「さっさと倒して、おみっちゃんの元に帰るぞ!」

「おお!」


神聖徳太子の元にぬらり子たち妖怪が現れた。爺やとおみっちゃんと滑石ちゃんは近くの比叡山で祝勝会の準備するので留守番になった。ぬらり子、カー、金剛石、鋼玉、黄玉と神聖徳太子の戦いが、いよいよ始まる。


つづく。

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