表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
制覇3 完結編  作者: 渋谷かな
13/19

姫路城・東北・越後・蝦夷・関東・富士の樹海

ここは姫路城。


「はい。終わり。」


ヤマトタケルは悪魔アミーを倒した。覚醒するまでもなく、悪魔アミーの闇の長槍の突きはヤマトタケルに見切られ当たりもしなかった。そして必殺「草薙斬り」であっさりと倒してしまった。


「お嬢さん、どうする?」

「ライを探しに行きましょう。」

「仰せのままに。」

「じゃあ、そういうことでさようなら。」

「失礼しました。」

「ちょっと待て! 私も行くわよ!」

「来なくていいわよ!」

「抜け駆けは許さないわよ!」


こうしてヤマトタケルと首里姫とヨナちゃんはライを探しに南に向かって行った。ライを巡る女の戦いはまだまだ続くのであった。残された鍋島たちは大切なことに気づく。


「ちょっと待てよ? 義久たちと悪魔娘がいなくなったら・・・悪魔と戦える人間がいないじゃないか!?」

「ええ!?」

「なんだって!?」

「ギャア!?」


鍋島たちは自分たちが1番危険だと気づいた。しかし悪魔たちもいつでも勝てるたかが人間には興味が無いので、アタフタしていても安全であった。しかし捨てる神あれば拾う神ありであった。


「おまえたちはライの知り合い。こんなところで何をしている?」

「女神さま!? 牛頭野郎!?」

「やった! 助かった!」

「我々は生き残ったぞ!」


鍋島たちの前に現れたのはライの姉と兄みたいな、アマとギュウだった。2人はライの故郷の西之島の者で、お頭ナギの奥さんで自分の母親を殺して本州に逃げたカーの行方を追っている。


「ライはいないのか・・・さよなら。」

「お、お待ちください!? ライは京に向かっています!?」

「京?」

「実はライたちは南から京に向かったのですが、なぜか京は結界が張られライと合流することができないんです。」

「そういうことか。全員整列!」

「なぜ女が指揮をする?」

「バカ野郎!? いいからこのお方に歯向かうな! 消されるぞ!」


アマさんの恐ろしさを知っている鍋島たちは機敏に姿勢よく整列する。しかしアマさんの恐ろしさを知らない宇喜多直家や黒田官兵衛は抵抗がある。しぶしぶと鍋島の言うことを聞くのだった。


「これより京に行って、私とライの再会を邪魔する者どもを成敗する! 」

「ええ!?」

「京には結界があって入ることができませんよ?」

「結界? 太陽光線!」


アマさんは気軽に必殺の太陽光線を結界に向けてぶっ飛ばした。一瞬で結界に穴が開いた。鍋島たちは顔から目が飛び出しそうなくらい驚いた。改めて現存メンバー内での上下関係を理解した。


「いくぞ! 全軍突撃!」

「ライを探すぞ!」

「陛下について行きます!」

「皇帝万歳!」

「将軍に命を捧げます!」

「殿と呼ばせてください!」

「ライはいい知り合いを持ったな。」

「アマ・・・怖過ぎ。」


こうして鍋島たちの平和は崩れ去った。ライが神を宿す者なら、アマとギュウも同じく神を宿していた。アマは天照大神、ギュウは素戔嗚が宿っている。同じく西之島にはゲツという月夜見を宿している者もいた。


「のう、うさぴょん。」

「ぴょん?」

「こいつらと付き合うのが嫌になってきた。新しい奉公先でも探そうか?」

「ぴょん。」


情けない鍋島たちの姿を見て睦月ちゃんはペットの黒ウサギを連れて新しい主君を求めて旅に出た。忍者の名家に生まれた睦月ちゃんがへっぽこ忍者を卒業する日がくるのだろうか。



ここは東北。


「独眼雪竜斬!」


伊達政宗は雪竜の鎧を身にまとい必殺の一撃で神聖徳太子が派遣した闇の誘惑メフィストフェレスを倒した。東北の陸奥・出羽という自国の領土をまもることができたのであった。



ここは越後。


「氷竜斬り!」


上杉謙信は氷竜の鎧を身にまとい、闇の石を使う悪魔モレクを倒した。上杉領の越後も悪魔の手から救うことができた。これで甲斐・東北・越後は守ることができた。



ここは蝦夷。


「真っ白・・・誰もいない。」


闇の夢を使う悪魔サッキュバスは蝦夷へやって来た。蝦夷は妖怪の長ぬらり子がスキーで遊びたいということで妖怪の本拠地であった。しかし、ぬらり子たちが京に向かったので誰もいなかった。あったのは辺り一面の雪景色だけだった。


「つまらない、京に帰ろう。」

「ま・・・て・・・。」

「あれ? 声が聞こえたような?」

「ま・・・て・・・。」

「やっぱり声がする。あの、どこにいるんですか?」

「ここだ!」

「ギャア!?」


これ以降、悪魔サッキュバスの姿を見たものはいなかった。悪夢を見せるはずのサッキュバスが未開の地、蝦夷でいったい、どんな悪夢を見たというのだろう。蝦夷には得体の知れないものが眠っていた。(extra1。)



ここは関東。


「神聖徳太子さまの命令だ! おまえたちには死んでもらう!」


闇の猫の悪魔アイムは関東を支配するためにやって来た。目の前にちいとティアマトお姉さんがいる。アイムの不幸なことは見た目だけでは小さな女の子とメイドチックな女性が強そうには見えなかったことだ。


「ティアマトお姉さん、ちい、あれをやってみたい。」

「ええ!? あれはまだ早いわよ!?」

「やってみたい。」

「でも、あれをやると海の女神だとか、風を扱うだとか、私の存在やアイデンティティが崩壊してしまうんですけど!?」

「それは嘘だもん。」

「それを言われると何にも言い返せない。」

「やる!」

「・・・ちいちゃんには敵いません。でも、毒竜さまに聞いてみないと。」


そう、ティアマトお姉さんは竜の使いだった。竜の使いの宴会にもちゃんと出席している。ティアマトお姉さんの体の中からスライムのようにドロドロした毒の粘膜が現れ、巨大な竜の姿になっていく。


「どうした? 何か用か?」

「私の可憐なイメージが壊れるから本当は会いたくないんだけど・・・毒竜さま、こんな小さな女の子を戦わせてもいいんでしょうか?」

「いいんじゃない。」

「そんなあっさりと・・・あと、このこのお兄ちゃんに毒竜さまの竜玉を授けてくださいよ。」

「はい、あげる。」

「ええ!? うわあ!? そんな簡単に!?」

「陽射しに弱いんで、帰るね。ばいば~い。」


毒竜さまはティアマトお姉さんの体の中に戻って行った。ティアマトお姉さんの体は全身が毒で出来ているのだった。毒竜さまのお許しを簡単に得た、ちいは喜んだ。


「待たせたな!」

「長いわ!」

「ティアマトお姉さん、やるよ!」

「分かったわ! ちいちゃん!」

「一心同体!」


ティアマトお姉さんが毒竜の鎧に変化していく。そして特別に子供サイズの鎧になり、ちいに装着していく。鎧サイズが小さいので余った毒は背中の翼と、剣は震えないので竜のライフルになった。


「ちいが戦えることを証明してやる!」

「まったく! 目の前の悪魔を無視するとは許せない! いでよ! 闇の猫ちゃん!」

「ニャア!」

「猫ちゃん! 敵を倒しなさい!」

「ニャア!」

「猫なんか怖くないもん! ティアマトお姉さん! 毒を吐け!」

「おええ!」

「ニャア!?」


ちいは竜のライフルから毒を吐き出させる。悪魔アイムが召喚した闇の猫をティアマトお姉さんの毒が襲い掛かる。例え闇の猫であっても、ティアマトお姉さんの毒は効き苦しそうに息絶えて倒れた。


「猫ちゃん!? ああ!? 私の猫ちゃんが!?」

「これでもまだ戦う気?」

「酷い!? どうしてこんな酷いことができるの!? 私はただ猫ちゃんとみんなで遊びたかっただけなのに!? 酷い!? あんまりよ!?」

「え!?」


そういうと悪魔アイムは泣きながら闇の中に消えていった。ちいは悪魔アイムを倒し、関東を悪魔から守ったのだった。それにしても悪魔の態度が被害者を演じているので後味が悪かった。


「ごめんなさい! ちいが悪かったんだわ!? ちいはなんて悪い子なの!? 神様! どうかちいを許してください!」

「ちいちゃん、そんなに気にする必要はないから。だって相手は悪魔だもん。」

「なんだ、悪魔か。えへ。」

「ワッハッハー!」

「あ、なにか近づいてくる?」


ちいとティアマトお姉さんが勝利の雄たけびをあげている時、何者かがカラフルな6色の竜に乗って近づいてくる。よく見てみると、探しても探しても見つからなかった兄のライだった。


「お兄ちゃんだ!」

「ちい、大丈夫か?」

「な、なに!? おまえはお兄ちゃんじゃないな!?」

「はあ!? 何を言っているんだ!?」

「ちいのお兄ちゃんは無口で無愛想で表情なんか少しも変えずに人を殺しても普通にお肉を食べるもん! ちいにはちいとしか声をかけないし、ちいに大丈夫かって心配なんてしないもん! おまえはちいのお兄ちゃんじゃない!」

「すごい言われようだな・・・。」

「でも、ちいちゃんはそんなライが好きなのよね?」

「お兄ちゃん大好き!」

「・・・。」


西之島でのライの生活は荒れていた。小さい頃から島のコロシアムで殺し合いばかりしてきたので、いつしかライの心は汚れまくり何にも動じない氷のような精神状態になっていた。妹のちいにも冷たく接していたのだった。


「おまえなんか、ちいのお兄ちゃんじゃない! くらえ! ティアマトお姉さんのイメージ崩壊! 毒毒ビーム砲!」

「おええ!」

「なんだこのドロドロしたものは!?」

「ティアマトお姉さんの毒なのだ! ワッハッハー!」

「気持ち悪い・・・。ちい、いい加減にしないとお兄ちゃんは怒るぞ!」

「やっぱりちいのお兄ちゃんじゃない! 本当のお兄ちゃんなら警告なしでちいを切り殺してるもん!」

「この分からずや! 怪我をしてもしらないからな! 6竜雷・・・。」


ライはアホな妹についにキレる。それにしても西之島の頃、冷たくあしらっていたとはいえ、まさか妹に変な人のように思われていたとは・・・今のライは少しがっかりする。


「やめろ!」

「海竜さま!?」

「竜だ!?」

「やめろ、兄弟ゲンカなど。この者は正真正銘、おまえの兄のライだ。私がライの心の汚れをきれいに清め祓ったのだ。だから殺意が消えて、人間らしくなったのだ。」

「海竜さま、説明ありがとうございます。」

「さらばだ。」


海竜さまは説明のために現れ説明を終えると消え去った。兄弟の蟠りも解け、ついに兄弟の感動の再会を果たす。ライには西之島にいるはずのちいが関東にいることが不思議だった。


「ということは・・・お兄ちゃん!」

「最初から言ってるだろう。ちい、なんで本州にいるんだ?」

「お兄ちゃんに会いたかったから!」

「お母さんには言って来たのか?」

「忘れた。」

「1人でここまで来たのか?」

「うんうん、ティアマトお姉さんと一緒。」

「あそこのいじけてる人?」

「うん。」

「あ・・・あ・・・私のイメージが・・・。結婚したいキャラクター1位。彼女にしたいキャラクター1位。お姉さんにしたいキャラクター1位の私が・・・まさかの毒竜の使い・・・。ああ・・・私の人気が崩れていく・・・。」


ティアマトお姉さんだけがいじけていた。これまで悪いイメージの少なかっただけに、まさかの毒の竜の使い設定に、せめて闇竜とかだとカッコイイんですけど、え? 闇は悪魔系が使うからダメと言われてへこむティアマトお姉さんであった。


「俺は京に行かないといけないだ。ちいは危ないから西之島に帰れ。」

「嫌だ! ちいもついて行く!」

「ダメ!」

「・・・はい。」

「じゃあね。」

「お兄ちゃん! さようなら!」


ライは京を目指して旅立った。京に囚われているだろう首里姫を助けるため、西日本制覇隊の仲間が三好悪魔軍と戦っていると思い、ライは京を目指すのであった。そして簡単に引き下がったちいはほくそ笑む。


「ティアマトお姉さん、ちいたちも京を目指すよ!」

「え!? 西之島に帰るんじゃ?」

「あれはお兄ちゃんを油断させるためのお芝居だよ。」

「ええ!? お芝居!?」

「京に行けばきれいな着物が着れて、ティアマトお姉さんのイメージが回復するよ?」

「行こう! 京へ!」

「きっとティアマトお姉さんはちいよりバカだ。」


ライを欺き、ちいとティアマトお姉さんも京を目指すことになった。やっぱりちいはお兄ちゃんが大好きだった。単純なティアマトお姉さんもイメージ・人気の回復のためなら京でもどこでも行くのだった。



ここは富士の樹海。


「ライめ・・・この・・・このまま・・・死んでなるものか・・・。」


太陽神の邪神アドラメレクは6竜の力を手に入れたライに敗れ去り、吹きとばされて富士の樹海に力無く横たわって倒れていた。しかし、ここが自殺者や現世に未練を残した者の魂が浮遊している富士の樹海だったのがアドラメレクに味方した。


「どうした? この世に未練のある者よ。」

「し・・・死ねん。このままでは・・・。」

「おまえが我々、この世に恨みを残しし魂の器になるというのなら、助けてやれんこともないぞ。」

「なに!? た・・・助かる方法があるのか!?」

「ただし、土地に縛られている魂が多く、基本的には富士の樹海から出ることはできない。それでもよいか?」

「ああ・・・恨みを晴らすためにも、まず助からないとな。復讐する相手をここまに呼べばいいだけだ。悪霊でも死神でも受け入れてやるさ!」

「では、おまえの体、頂いた!」

「ギャア!?」


富士の樹海にアドラメレクの悲鳴が響き渡る。幾百幾千の邪悪な魂がアドラメレクの体の中に侵入していく。太陽光線を使う太陽神の邪神が邪悪な魂を受け入れて闇の力も身に着けて復活しようとしていた。(extra2。)


つづく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ