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制覇3 完結編  作者: 渋谷かな
12/19

京・富士山2・姫路城1

ここは京。神聖徳太子の屋敷。


「悪魔たちよ! これより日本を支配するぞ!」

「おお!」


大勢の悪魔が集まっていた。自ら神を名乗り名前を神聖徳太子と改めた聖徳太子。歴史に名を残す者として陰陽師に魂を甦らされこき使われていたが、魔王サタンを宿していた三好長慶の体をのっとり、神のような強さを手に入れた。


「闇の嵐、ベルゼブブ。」

「はい、神聖徳太子さま。」

「おまえは九州を支配して来い。」

「悪魔は魔王さまの宿りし者の命令を聞くだけです。」

「闇の愛、ベルフェゴールは四国へ。」

「闇の金、マモンは安芸へ。」

「闇の夢、サッキュバスは蝦夷へ。」

「闇の誘惑、メフィストフェレスは東北へ。」

「闇の石、モレクは越後へ。」

「闇の猫、アイムは関東へ。」

「闇の地震、アガレスは甲斐へ。」

「はい、神聖徳太子さま。」

「この神聖徳太子が日本全国を支配するのだ! いけ! 悪魔たちよ!」

「はは!」


指示を受けた悪魔たちが日本全国に去って行く。神を名乗る聖徳太子は生前に日本全土を支配できなかったことを後悔しており、自分が支配する日本がすばらしい世界になると信じている。


「闇の透視、アスタロト。闇の長槍、アミー。」

「お呼びでしょうか?」

「おまえたちには殺してもらいたい者たちがいる。・・・。」

「かしこまりました。では。」

「闇の太陽、アドラメレク。」

「はい。神聖徳太子さま。」

「私は神の宿りし者など気にはしていないが、おまえが望むように行動することを許す。その者は甲斐にいるぞ。」

「ありがとうございます。神聖徳太子さま、感謝いたします。」


主要な悪魔たちは指示を受けて京から飛び去って行った。神聖徳太子による悪魔を従えた日本を支配する計画が動き出した。ライは聖徳太子の野望を防げるのだろうか。


ちなみに九州の島津歳久、四国の長宗我部元親、安芸の毛利輝元は悪魔の襲来に手も足も出ずに白旗をあげた。ライたちが苦労して支配した西日本を、たった3匹の悪魔にあっさりと支配されてしまった。



ここは富士山の麓。


「ライ、おまえを信じて加勢してくれる仲間に免じて、おまえに我らの竜玉を与えよう。」

「ありがとうございます。」

「これからの戦いはますます熾烈を極めるぞ。心してかかれ。」

「はい。分かりました。」


ライは氷竜の竜玉と地竜の竜玉を手に入れた。竜玉は剣の柄に入っていく。ライの剣は4竜雷剣から5竜雷剣、6竜雷剣へと進化した。あと3竜の竜玉を手に入れると剣が本当の姿を現す。


「見つけたぞ! 貴様らの中に武田信玄はいるか?」

「私が武田信玄だ。」

「悪魔アガレス、神聖徳太子さまの命令でおまえを殺し甲斐を支配する! 死んでもらうぞ!」

「なに!?」

「揺れろ! 闇の地震!」

「ギャア!?」

「なんだ!?」

「地震!?」


大地が揺れ始めた。悪魔アガレスは老人ではあるが闇の地震を使うことができる。ライたちは富士山の麓にいるので地震が何らかの影響を富士山に与えるかもしれない。


「いいことを教えてやろう。神聖徳太子は日本全国に悪魔を放たれた。越後にも、東北にもだ。」

「なに!?」

「上杉謙信、伊達政宗、おまえたちの故郷が無事だといいがな。」

「なんだって!?」


神聖徳太子は日本全国を支配しようとしている。悪魔が送られないという例外は無いのだ。上杉謙信と伊達政宗は越後と東北の自国が悪魔の進行を受けていないか不安になる。


「謙信さん、政宗さんは国に帰ってください。」

「ライどの。」

「ここは私がいるから大丈夫だ。早く行け。」

「信玄。あとは任せたぞ。」

「バイバイ!」

「また会おう!」

「仕方がない。私も一緒に行ってやろう。」


上杉謙信と氷ちゃんは越後へ、伊達政宗と雪ちゃんは東北へ帰って行った。富士山の麓にはライ、武田信玄、地ちゃん、師走ちゃんが残った。そこでライには1つの疑問が湧いてくる。


「師走ちゃん。」

「なんでござる?」

「悪魔が現れたのに隠れないの?」

「バカ者! いつもいつも隠れる訳だはないぞ! 師走ちゃんをバカにするな!」

「ごめんなさい。」

「ここには信玄さまがいるじゃないか~♪」

「そういうことか・・・謝って損した。」

「ライ! おまえの相手は私だ!」

「アドラメレク!?」


ライと師走ちゃんが遊んでいる間に、もう1匹悪魔が現れた。太陽神の悪神アドラメレク。阿波でライと戦い傷を負わされ、事実上の敗北を味わったのだった。アドラメレクの心は復讐心でいっぱいである。


「久しぶりだな、ライ。おまえに傷つけられた傷が今も痛むわ。」

「また負けに来たか!?」

「この前は油断があっただけよ! 今日こそ決着を着けてくれる!」

「望むところだ!」


ライとアドラメレク、武田信玄とアガレスとの戦いが始まった。師走ちゃんはこのタイミングで富士の樹海に身を隠した。アドラメレクは得意の太陽光線をぶっ放す。


「闇の太陽光線!」

「よし、6竜雷剣の威力を試してやる。6竜雷破!」


ライの6竜雷剣から6竜が姿を現す。そしてアドラメレクの太陽光線を粉砕し、勢いを増してアドラメレクに向けて飛んで行く。もうライにはアドラメレクなど敵ではなくなっていた。


「ば、ばかな!? ギャア!?」

「すごい!? なんという威力だ!? あのアドラメレクを1撃で倒した!?」


6竜雷破はアドラメレクに命中した。まるで6竜がアドラメレクの体を引き裂くように大ダメージを与え、富士の樹海に吹き飛ばしていく。そこには逃げ込んでいた師走ちゃんがいた。



ここは富士の樹海。


「ギャア!? なんか飛んできた!? ライのアホ!? 無念・・・。」

「く・・・そう・・・ラ・・・イ・・・め・・・。」


師走ちゃんはライに文句を言いながら、アドラメレクが命中してダメージを受け分身なので消えてしまった。富士の樹海に不時着したアドラメレクはライへの復讐心をいだいていたが虫の息だった。



ここは富士山の麓。


「やるな。ライのやつ。」

「信玄さま、こっちも一気に勝負を着けましょう。」

「そうだな。」

「舐めるな! 人間が! 闇の地震!」

「いくぞ地ちゃん!」

「はい! 信玄さま!」

「一心同体!」


地ちゃんが地竜の鎧に変化していく。武田信玄が地竜の鎧を身にまとっていく。そして悪魔アガレスの放った闇の地震を上空に飛んで回避する。少年に負けていられるかと武田信玄は必殺技を放つ。


「地竜破!」

「ギャア!?」


武田信玄の放った地竜破が命中して、アガレスを倒す。これでライと武田信玄は悪魔アガレスとアドラメレクとの戦いに勝利した。しかし悪魔アガレスは消え去るまでに気になることを言う。


「ライ、貴様の妹は相模にいるぞ。」

「ちいが!?」

「今頃、悪魔が向かっているはずだ。ハッハハハ・・・。」

「なんだって!?」


そういうと悪魔アガレスは完全に消えてなくなった。ライは西之島にいるはずの妹のちいが本州にいると聞いて驚いた。それと同時に悪魔がちいを狙っていると聞いて不安になって居ても立っても居られない。


「行け! ライ!」

「信玄さん、後はよろしくお願いします。」

「師走ちゃんを置いていくな!? 待ってくれでござる!?」

「ちい! 待ってろ!」


ライは相模に全力で走って向かう。西之島にいた頃には妹のちいなど気にもかけなかった。冷たくあしらっていた。呼び方も小さいから「ちい」と呼んでいた。心の死んでいた西之島のライと今の妹を心配するライの心は全くの別人のようだった。



ここは姫路城。


「全員集合!」


睦月ちゃんの分身の以心電信の術で連絡を取り合った西日本制覇隊は、畿内には結界が張られていて侵入することができないので、島津義久たちは姫路城で集合することになった。


「ライと家久がいないな?」

「連絡がつかないんだ。」

「どこかで遊んでいるんだろう。」

「キャハハハハ!」


ライが蝦夷、島津家久が近江にいることは誰も知らない。なぜ連絡がつかないかというとライは師走ちゃんを、家久は霜月ちゃんを信用していないから、へっぽこ忍者で連絡が取れるとは信用していないので使用していないからだった。


「よし、人数が多すぎるので1度、点呼を取る。名前を呼ばれたら手を上げろ。返事をしてもらうときりがないからな。」

「おお。」

「島津義久、義弘、鍋島は俺。立花、海ちゃん、火ちゃん、空ちゃん、ヨナちゃん、小早川隆景、吉川元春、宇喜多直家、黒田官兵衛、黒ウサギのうさぴょん。以上と。」

「おい! この睦月ちゃんを忘れているぞ! 誰のおかげで全員集合できたと思っているんだ!?」

「はいはい、へっぽこ忍者と。14人か多くなったものだな。」


鍋島直茂がずっと司会進行役のポジションを守っている。九州から部隊を3部隊に分けていたので、一カ所に集まると大所帯であった。格キャラの小話に入ろうとした時に空から誰かが降ってきた。


「よう、久しぶり。」

「おまえは!? ヤマトタケル!?」

「歴史に名を残す者がなぜこんなところに!?」

「初めまして、琉球の首里姫と申します。」

「あなたが首里姫!?」


現れたのは京からやって来た歴史に名を残す者のヤマトタケルと琉球のお姫さまの首里姫であった。この物語は琉球のからお姫さまが誘拐されて、姫がライの命の恩人なので助けに行くといところから始まった。


「俺に負けた竜使いの少年はどこだ?」

「ここにはいない。ライは南から京を目指している。」

「なんだ、いないのか。だってよ。」

「そうなんだ・・・残念。ライに会いたかったな。」


残念がる首里姫。きっとライは太平洋で出会った時よりもたくましく強くなっていると乙女心がときめいていた。しかし、そんな乙女心を許さない刺客が西日本制覇隊に1人いた。


「ちょっと! あなた!」

「はい?」

「さっきからライライライライと気安く呼んでくれるけど、ライとはどういう関係なのよ!」

「私? ライの命の恩人。」

「なに!? 命の恩人ですって!?」

「あなた誰?」

「よくぞ聞いてくれた! 私はヨナルデパズトーリ。邪神テスカトリポカさまの化身よ。ヨナちゃんと呼んでね!」

「ふ~ん。ライはさらわれた私を救い出すために旅をしているの。」

「悪者にさらわれて、正義のヒーローが助けに来るヒロイン!?」

「ライはきっと私のことが好きなのよ!」

「私だって、ライと一晩を共にしたこともあるし、ライの妹さんにも挨拶は済んでるんだから!」

「お2人さん、はしゃぐのは終わりだ。追手が来たみたいだ。」


目から光線を出して火花を散らす首里姫とヨナちゃんをヤマトタケルが遮る。上空にどうやら神聖徳太子が差し向けた長槍を持った悪魔が現れた。危険分子である歴史に名を残す者を神聖徳太子が放っておくはずはなかった。


「私の名前は悪魔アミー。ヤマトタケル、あなたに恨みはありませんが、神聖徳太子さまの命令です。死んで下さい。」

「だよな。あの聖徳太子が残りの歴史に名を残す者を生かしておくわけないよな。」

「死ぬ前におもしろいことを教えてあげましょう。神聖徳太子さまは日本全国に悪魔を放ち、既に九州・四国・中国地方は神聖徳太子さまの支配下になりました。」

「なんだと!?」


そう、西日本制覇隊の領土、九州の島津歳久・四国の長宗我部元親・中国地方の毛利輝元はあっさりと悪魔の前に陥落した。たった3匹の悪魔に普通の人間では太刀打ちできないかった。


「大変だ!? すぐに救援に向かわなければ!?」

「落ち着け! 策を練るから落ち着け!」

「騒ぐ必要もありませんよ。ここにいる皆さんは私が仲良く突き殺してあげますから。」

「おい、歴史に名を残す者。」

「なんだ?」

「おまえを追ってやって来た目の前の悪魔は責任を持って倒してくれるんだろうな。」

「容易い御用さ。造作もない。」

「よし、急を要するので策を指示する。義久、海ちゃんは九州へ、義弘、空ちゃんは安芸へ、立花、火ちゃんは四国へ向かってくれ!」

「了解!」


鍋島の指示は的確だった。距離があるので竜に乗っていける者、待ち構えている悪魔とも戦える者は竜の使いと一心同体して竜の鎧をまとえる者だけだった。義久、義弘、立花が選ばれるのが妥当である。


「行かせはしませんよ!」

「おっと、邪魔はさせないぞ。あんたの相手はこの俺だ。」

「ヤマトタケル!?」

「まさか歴史に名を残す者をよそ見しながら倒せるとは思ってないだろうな。」

「クッ!?」


島津義久たちが竜に変化した海ちゃんたちの背中に乗って飛び立っていった。邪魔しようとした悪魔アミーをヤマトタケルが牽制する。さすがの悪魔も歴史に名を残す者だけは怖いのであった。


「いいね。悪魔の槍か、俺の草薙の剣か、どちらが強いか勝負しようじゃないか?」


ヤマトタケルは余裕のある笑みを浮かべる。戦いを好み、自分よりも強い者との戦いを楽しみにしている。それは強い者と戦わなければ、次の高みにたどり着くことができないのを知っているからだった。


つづく。

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