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制覇3 完結編  作者: 渋谷かな
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関東2・甲斐1・京6

ここは相模。小田原城上空。


「お兄ちゃんはどこだ!!!」

「ヒイイ!?」

「ティアマトお姉さん!」

「はい!?」

「これは責任問題よ!?」

「えええ!?」


ちいの兄のライを探している。ちいとティアマトお姉さんが日常会話を楽しんでいた。



その頃、地上の小田原城。


「なんだか空の方が騒がしいな?」

「殿!? 竜です!? 竜!?」

「なんとでかい!? 化け物だ!? すぐに大砲の準備を! 撃ち落とすのだ!」

「はは!」


北条氏康は家来に命じて、上空の竜を大砲で撃ち落とすように命令を出した。しかし、その竜がティアマトお姉さんと背中にちいが乗っていることは知らなかった。



再び上空。


「なんだか地上が騒がしいわね。」

「どうしたの?」


ちいがティアマトお姉さんの背中から地上を覗き込んだ。その瞬間、地上から大砲の砲弾がすごい勢いで飛んできてちいをかすめる。


「キャア!?」

「大丈夫!? ちいちゃん!?」

「な、何!?」

「きっと大砲ね。私たちを狙って撃って来たのよ!」

「あんなところにお兄ちゃんがいる訳がない。ティアマトお姉さん、やっちゃって!」

「了解しました!」


ティアマトお姉さんは口を開けエネルギーを溜めて一気に吐き出す。ちいのことが可愛いので言うことをついつい聞いてしまう。


「ティアマトお姉さん砲! 発射!!!」


天から毒のエネルギー破が北条氏康のいる小田原城に降り注ぐ。毒塗れになった小田原城は静かになった。


「お兄ちゃん! どこ!?」

「ゲプッ。」


関東の上空でライを探す妹のちいとティアマトお姉さんだった。


こうして関東は制覇された。



ここは甲斐。


「富士山だ!」

「大きいな!」


ライたち一行は信濃を越え甲斐に入った。氷竜と地竜がケンカをしていて仲が悪いので仲直りをさせに、甲斐の武田信玄を訪ねたのだ。当の原因の片割れ、上杉謙信も荷物を持って一緒に来ている。


「謙信さん、その荷物は何ですか?」

「これは塩だ。甲斐は塩不足だと聞いているので、喜んでくれるはず。」

「仲良くなれるといいですね。」

「そうだな。」

「昨日の敵は今日の友というし、きっと大丈夫だ。」

「氷ちゃん。ありがとう。」

「氷ちゃん優しい。」

「雪ちゃんも優しい。」

「わ~い!」


ほんわかとした雰囲気で甲斐に着いたライたちを武田信玄側の龍の使いが迎えに来た。


「遅かったな!」

「ああ!? 地ちゃん!」

「久しぶりだね!」

「わ~い!」


竜の使いの小娘が3人も揃うと元気があって楽しそうだった。喜びすぎて本題を忘れている地ちゃんだった。


「あ!? 思いだした。信玄が待ってるから躑躅ヶ先城に来いってよ。」

「よし! みんなで歌でも歌いながら行こう!」

「まるでピクニックだな。」


ライたちは武田信玄の待つ躑躅ヶ先城を目指した。



ここは京。鬼製造工場。


「グワア!?」


闇の熊の悪魔プルフラスが壁まで吹き飛ばされる。衝撃で壁がへこむほどである。あっさりと松永久秀を倒した。投げ飛ばしたのは鬼0型である。鬼0型は余裕がある戦いなのか、倒された闇の熊を見つめながら堂々と立っている。


「すごい! 予想以上の性能だ!」

「平清盛の力も得たようですね。」

「いいね~、戦ってみたいな。」

「さすが僕のおもちゃの鬼0型! 」

「0型? 0式じゃないの?」

「私は0式派です。」

「俺は零式の方がカッコイイと思うぜ。」

「僕の鬼だぞ!?」


歴史に名を残す者たちも鬼0型の性能が予想以上だったので感心していた。三好家の契約している悪魔も決して弱い訳ではない。ただ歴史に名を残す者の能力を4人分吸収している鬼0式が強すぎるのだ。


「少しおもしろいお話があります。平清盛が陰陽師の命令に逆らい、攻撃しろと言われて、攻撃をしなかった。」

「な!?」

「どういうことか分かりましたね。」

「どういうことですか?」

「そんなことも分からないのか?」

「あほう。」

「グサグサ!? すいません・・・。」


本当は話を理解しているが紫式部が大好きな清少納言はあえて、紫式部が引き立つように話を持っていき自分の体に紫式部の凍える言葉の棘を受け入れる。紫式部のためなら清少納言は何でもする。


「今まで陰陽師に歯向かったら魂を抜くぞと脅されてきましたが、陰陽師に歯向かっても、3流の陰陽師の安倍雲明には私たちの魂を呼び起こすことができても、消すことができないのかもしれません。」

「なんてこった!? 今までこき使われてきたのはなんだったんだ!?」

「もしかしたら陰陽師を死んでも、私たちは死なないのかもしれません。」

「でもそれならどうして聖徳太子は陰陽師の言うことを聞いているんだろう?」


歴史に名を残す者たちは陰陽師の安倍雲明に甦らされた。それ故に魂を呼び戻した陰陽師に歯向かうことはできないという恐怖感があった。しかし平清盛が陰陽師の意志に反しても何事も起きないということを証明した。


「良かったわね。」

「あん?」

「操り人形じゃなくて。」

「そ、そうだな。・・・すまなかったな、さらってしまって。」

「もういいわよ。あなたたちも大変みたいだし、許してあげよう!」

「ありがとう。お姫様は琉球に帰るか? それともあの少年の元に送り届けてやろうか?」

「え?」

「あの竜使いの少年が生きていればだがな。」

「ライは生きてるわよ! きっと・・・。」


ふと首里姫の時間が止まる。なかなか助けには来てくれないが、きっとライなら生きている。そして戦い強くなり京に向かっているはず。京に捕まっている私をライが見捨てるはずが無いと想いが過った。


「これからどうする?」

「あの・・・ちょっといいかな。」

「どうした卑弥呼?」

「僕もそろそろ元いた世界に帰ろうかなって思って。」

「いいのか?」

「友達の藤原くんもいなくなっちゃったし、最高傑作も完成したしね。僕は少しの間だったけど甦ることができて満足したんだ。」


卑弥呼は満足そうな笑顔を浮かべる。鬼製造工場で藤原くんと共同で鬼の製造に取り組み鬼も4型まで作り、自由意思を持つ鬼0型の生産にも成功した。科学者として充実した時間を過ごしてきたのだった。


「分かりました。」

「よろしくお願いします。」

「死ねい。」

「みんな、さようなら・・・。」

「安らかに眠れ。」

「・・・。」

「あばよ、おもちゃ大好きっ子。」

「いや・・・。」


紫式部の死刑宣告の一言が卑弥呼の心に突き刺さる。一瞬で卑弥呼の命を奪い去った。卑弥呼の能力は鬼0型に引き継がれる。これで9人いた歴史に名を残す者も残すところ4人だけになってしまった。



ここは京。三好屋敷。


「突撃!」


三好屋敷の結界の穴が開いた所から鬼4型が大量に侵入する。その様子を陰陽師の安倍雲明と歴史に名を残す者の聖徳太子が見ている。もう三好家も武将もおらず、残すは三好長慶のみとなっていた。


「三好長慶の首を取れば、俺様は事実上の最高の陰陽師になれるのだ! 安倍一族で俺が1番だ! ワッハッハー!」

「・・・愚かな。」


全ての始まり陰陽師の一族に生まれ、能力もなく一族から軽んじられて劣等感を抱きながら生きてきた安倍雲明が禁呪に手を出したことが始まりである。歴史に名を残す者の強すぎる力が、竜を、悪魔を、天使を呼び寄せてしまった。



ここは三好屋敷の中。


「ガガガ!?」


次々と鬼4型が倒されていく。三好長慶の放つ闇の光が鬼4型を1撃で切り裂いていくのであった。三好長慶自身から闇が生まれ闇に守られているようだった。何物にも劣らない強さを発揮していた。


「さすがサタン。伊達に魔王と呼ばれていない。」

「友達が困っていたら助けるのは当然だろう。」

「ありがとう。サタン。」

「こちらこそ。」

「外にいって足利家を滅ぼしてくれる。」

「そうしよう。」


なぜか三好長慶と魔王サタンは仲が良かった。闇の光で鬼4型を壊滅させる。三好長慶の中に魔王サタンが宿っているのだ。三好長慶は屋敷から出て、外の安倍雲明と聖徳太子の前に姿を現す。


「あ、悪魔!?」

「・・・。」

「あれが足利家が雇った陰陽師。」

「すぐに片づけてしまおう。」


ついに三好長慶と魔王サタンが陰陽師の安倍雲明と歴史に名を残す者の聖徳太子と対峙した。三好家と足利家の両陣営はほぼ壊滅状態で、この戦いが事実上の最終決戦であった。


「聖徳太子! すぐにあいつらを倒してこい!」

「・・・いやだね。」

「ん!? なんだと!? 俺様の言うことが聞けないのか!?」

「おまえが魂を呼び出せたのは三種の神器があったから。おまえ自身には私たち歴史に名を残す者を操ることはできない。」

「ギク!?」

「私は私の目的を果たせそうなので、もうおまえに従う必要がない。私の魂を呼び起こしてくれてありがとう。そして、さよならだ。冠位十二階、滅亡。」

「や、やめろ!? 死にたくない!? ギャア!?」


聖徳太子の放つ光が安倍雲明を光に包み存在を消していく。光に呑み込まれ陰陽師の安倍雲明はこの世からいなくなった。それでも聖徳太子の考え通り、歴史に名を残す者は消えることなく、生き続けている。


「仲間割れか!?」

「人間は面倒臭いから困ったものだ。」

「我々は仲良しだもんね。」

「うん。子供の頃に人間界で迷子になって、助けてもらってからの長い友情があるからな。」


三好長慶と魔王サタンは子供の頃からの付き合いで大の仲良しだった。絶対無二の強さを見せる三好長慶とサタンのコンビであったが、不敵に聖徳太子が三好長慶に近づいていく。


「私が陰陽師に甦らされて探していたものがあった。今のままでは陰陽師に生死を握られてしまっている。だから私は陰陽師の支配を逃れることのできる体を力を探し求めた。それが、おまえたちだ!」


全てが分かる聖徳太子が屈辱に耐え、陰陽師の安倍雲明などに従順に仕えていたのは、新しい体を探すためだった。陰陽師の支配から逃れることができる強い器を探していたのだった。


「あいつは何を言っている?」

「頭がおかしいのだろう。」

「冠位十二階、転生。三好長慶! 魔王サタン入りのその体! 私が頂いた!」

「なに!? 魂が飛んでくる!?」

「私の闇を越えてくる!? ギャア!?」


聖徳太子は現在の体を捨てるように魂を飛ばし、三好長慶の体に向かって行き、体の周囲の闇を越えて三好長慶の体に入っていく。聖徳太子は自分の魂の入るべき強い肉体を見つけた。それが三好長慶だった。魔王サタンのおまけつきの三好長慶の体だった。


「私は神になる! 私が日本を神の国にするのだ!」


魂が現世に呼び戻された聖徳太子は機会を伺っていた。そして絶対的な力を誇る魔王サタンを宿す最強の体を手に入れたのだった。歴史が歪められていく、歴史に名を残す者は野心を捨てていなかった。神、聖徳太子の誕生に暗雲が立ち込める。



ここは鬼製造工場。


「これは!? 紫式部さま!?」

「陰陽師が死にました。」

「なんだって!? どうして死んだ!? 何があった!?」

「聖徳太子が殺しました。」

「聖徳太子が!? あいつは陰陽師の腰巾着だったはずなのに!?」


陰陽師の死に衝撃が走る。聖徳太子と同じく全てが分かる能力を持つ紫式部と清少納言には物事が理解できた。何も情報が入ってこない普通のヤマトタケルと首里姫には何が起こったのかは分からなかった。


「陰陽師が死んでも俺たちは生きているのかよ!? 死なないじゃないか!?」

「重要なのは、そこではありません。聖徳太子が三好長慶の体を手に入れ、魔王サタンの力を得たということです。」

「紫式部さまの言う通り!」

「清少納言、うるさい。」

「すいません・・・。」

「聖徳太子は魔王サタンの地位を利用して、魔王のように悪魔を利用して、日本を支配するつもりです。」

「自称、神ですしね。」

「清少納言、お黙り。」

「すいません・・・。」

「日本を支配するだと!? 自称、神だと!?」

「私の琉球はどうなるのよ!?」


聖徳太子はただの歴史に名を残す者では収まらなかった。自由に暮らしたいと願う訳でもなく、強い相手と戦ってみたいという訳でもなく、何か新しいおもちゃを生産したいというのでもなく、生前に果たせなかったであろう、天下統一という野望を実行した。


「これからどうする?」

「私と清少納言はどこかで静かに暮らします。危害を加える者がいなければですが・・・。」

「やった! 紫式部さまと一緒!」

「清少納言、置いて行きますよ。」

「すいません・・・。」

「そうか、じゃあ俺は姫様を安全な所まで送ってくるわ。それから聖徳太子を斬りにいくわ。」

「ご自由にして下さい。それでは失礼します。」

「バイバイ!」

「鬼0式もついてらっしゃい。」

「・・・。」


紫式部は黙々と清少納言は笑顔で手を振りながら去って行った。鬼0式もついて行くようだ。ヤマトタケルは呆れたように頭をかきながら清少納言は仕方がない奴だと思っている。残されたヤマトタケルは首里姫に尋ねる。


「どうする? お姫様? 琉球に帰るかい?」

「いいえ! ライに会いに行くわよ!」

「いいね! そうこなくっちゃ! 」

「意外と私たち気が合うわね。」

「楽しい旅になりそうだ。」

「ワッハッハー!」


人間の首里姫と歴史に名を残す者のヤマトタケル。同じ壁に埋め込まれていた2人はお互いのことを知る時間があったのと、ライという共通の話題があったことが幸いして、すっかりと打ち解けていた。


「とりあえず、西でも目指すか。」

「ライ! 首を洗って待ってなさい!」

「ワッハッハー!」


2人は知らない。ライは東日本の甲斐にいることを。


つづく。

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