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第5話。

思い切って通信を入れてみたが、また返信はなかった。


再度「通信傍受」を使用すると別の周波数を拾ってきた。試しに無言で一瞬だけ通信を入れてみると、レーダーに受信地点が表示された。さっきと同じ位置だ。


(よし、仕切り直しだ。)


軽すぎるノリで割り込んだのを反省し、アプローチを変えてみる。


「はじめまして、わたくし先ほど通信に割り込んだ者です。皆さんに相談したいことがあるので話を聞いて頂けませんでしょうか?」


10秒待つ。やはり返信はない。


「通信傍受」さんが気を利かせてウィンドウを開きっぱなしにしていてくれた。


周波数を合わせて「あのー…」と呼び掛ける。すかさず無言で一瞬だけ通信を入れる。


(もう周波数変わってるし。)


諦めずに周波数を合わせて無言で一瞬だけ通信を入れる。レーダーに受信地点が映る。少し経ってからまた一瞬だけ通信を入れた。レーダーに受信地点は映らなかった。


(一瞬通信入れただけで変えやがった。)


話を聞いてすらくれないことに段々苛立ってきた。


(こうなったら話をしてくれるまで何度でも周波数拾ってやる。)


完全に自分に変なスイッチが入る。


(予備の周波数も無制限ではあるまい。ふふ…ふははははは!)







怒濤のワン切りは20回以上続いた。

あと「通信傍受」さんは、対象の周波数が通信中でなくても見つけてくれるらしい。マジ有能。


「どうやら、何回チャンネル変えても無駄なようね。」


やっと返信をくれた。女性の声、キャリアーという人の声だ。


(もっと早く無駄だということに気付いて欲しかった。あとチャンネルって言い方がちょっと可愛い。)


「あのー、精神的にこれ以上変えられるのはキツいんで、精神的に。ちょっと話聞いてくれるだけでいいんで…」


「あぁ、なんか、ごめん。」


この声はクーゴって人だ。もしかしたら良い人かもしれない。


「それで、何?」


キャリアーが明らかに敵意を剥き出して問い詰める。


「まず名乗れ、敵か?味方か?」


「俺は十蔵。あなたたちの味方になるつもりです。」


「なんだと?」


「クーゴさん、今あなたは仕事をミスって徒歩でキャリアーさんと合流しなければならない。そうでしょう?」


返事がない。構わず話を続けた。


「キャリアーさん、あなたは輸送車で来ているはずだ。AT一機運べるくらいのね。」


ATというのはこの世界のロボットのことで、「アームドタイタン」の略だ。


「なのにクーゴさんを輸送車で迎えに行かないのは、輸送車を隠してあるからでしょう?」


「何であんたがそんなことまで知ってるんだ?」


「言ったでしょう?自爆を解除したって。ログが残ってるんですよ。」


「馬鹿な、あれを短時間で解除できるものか。」


「解除されたからこんなことになってるんじゃなくて?クーゴ。」


「ねぇ、ジューゾーって言ったかしら?味方になるつもりって言ったわね?あなたは私達に何をしてくれて、私達はあなたに何をすればいいのかしら?」


(話が早くて助かるな。)


「あんた達を安全に逃がす代わりに、俺の悩み事の相談にのって欲しい。」


「曖昧な条件には返事したくないわ。」


「こっちも複雑なんだ、頼む。」


「言っとくが金はねーぞ。あんたが乗ってる実験機を売って今日の飯代にするつもりだったからな。」


(そんなに金に困っていたのか…いや、まてよ?)


「あんたたち金が要るのか?」


「誰だって要るだろ。」


「壊れたATは金になるか?ちょうどここに3機転がってる。」


「…え?」


「そうだ、輸送車も付けよう、AT4機積めるやつがこれから手に入る。」


「すまん、言ってる意味がわからん。」


「あんたたちを安全に逃がして、金目のモノも渡す。だから俺の相談にのってくれ。」

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