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俺の出奔

 おう俺は山賊だ。

 今は塩街道の近くを根城にしてる。

 この街道にはひっきりなしに商人が行きかってなそれが美味い。

 商人共は時間が惜しいのか、ちょっと脅すと簡単に金を渡してきやがる。

 それがうめえ。


 うめえんだが、なんか違う。

 こう、ガキに小遣いをやってシッシッと払いのけられている感じだ。

 頂いてる金も小銭みてえなもんだからな。

 いやまあ、ありがてえんだけどよ。

 

 っいややっぱりちげえ!

 俺はもっと久しぶりの山賊を楽しくフリーダムに行うつもりだったんだ!

 阿鼻叫喚を奏でる客を楽しく奴隷商に売却~なんて考えていたんだが、実際は小銭と引き換えにトークンを渡す日々。

 アイリの信仰が骨の髄まで染み渡っちまったとでも言うのか?

 手が空いたと思ったらトークンを作っていやがる。

 恐ろしすぎる。

 ……まあ今いいか。

 まだユステルについてねえし、ここで腰落ち着けてもしょうがねえしな。

 っつうかユステル遠いわ!

 なんだよてっきり近いのかと思ったら、全然着かねえじゃねえか。

 困ったもんだぜ。

 

 俺には今、子分がいる。

 親分は一時廃業したつもりだったんだが、どうしても俺から離れない奴がいてな。

 びっくりな事にそいつは船を下りても付いてきやがる。

 引き離したと思ったらいつの間にか懐にいやがるんだ。

 俺はしょうがねえから子分にすることにした。

 本当は俺も迷ったんだ。

 ビアナの足を治す金を貯めて見事アジトに錦を飾るまでは一人の山賊でいようとな。

 だがよ、こいつは強硬に子分になろうとしやがる。

 ······俺は強情なコイツについ流されちまってな。

 っいや、なんだかんだ言っても俺は親分でいてえのかもな。


 紹介しよう俺の子分のシャルだ。

 こいつは有能な子分でな、行き交っている馬車を止めるのがすげえ上手い。

 走ってる馬にピョンと飛びつくとあっという間に馬を驚かせやがる。

 焦った御者が馬車を止めればこちらのもん、さっと飛び出て金と食料の要求だ。

 後はトークンを渡してハイサヨナラと。

 俺とシャルの連携は上手く出来上がっている。

 今じゃあ塩街道のネズミ乞食と言われているくれえだ。

 格好いい名じゃねえが、名は名だ。

 この蔑称のお蔭で頭の上にシャルを乗せているだけで、金を恵んでくれる奴もいるくれえだ。

 トークンがすげえ勢いでなくなっていきやがる。

 酒のツマミにトークンを作っていなきゃ今頃足りてなかっただろうな。

 あの孤独な時間に感謝だぜ。


 っつうわけで名の力で金を稼ぐことによって、時間をとられずユステルを目指すこともできてやがる。

 世の中、良い事も悪い事も表裏一体っちゅう(・・・)奴だな。

 ネズミだけにな。

 おいおいシャル、頭を叩くなよ。これ以上悪くなっちまたら大変だろうが。






 

 俺はいつものように白く染まった道の上を歩く荷馬車を襲った。

 奴は一台だった、寸分の時間を惜しむように馬を走らせている。

 俺はゆっくり獲物を見定め所定の位置に着いた。


 チュウチュウトレインフォーメーションだ。


 無謀にも走っている馬に飛び掛かり、恐慌させる事で御者の緊急停止を促すのだ。

 馬があまりにも早い場合は俺が投げ付けてやる、二人の息の合った陣形だ。

 この陣形を使うようになってからは、チーズの要求が増えた。 

 俺は信奉する悪徳の神リーファイスに祈りを捧げた。

 ネズミ乞食のお通りだってなあ。


「時間が惜しけりゃ、さっさと止まって恵みやがれ!」


 いつもの口上、いつもの陣形、いつもの獲物。

 俺は笑みすら浮かべ奴に迫った。

 これは俺の美学だ。例えトークンを最後に渡していたとしても、己の中では山賊をしていると思っている。そう思う事が重要なんだと。

 俺はいつものように子分を掌に乗せると遠投の構えをとり、いつものように子分に合図を送る。

 そうするといつものようにチュウと一声なくので、それを合図に獲物に投げ付ける。

 いつものように馬が驚き、御者が止めた。


「今ならシャルのトークンもオマケでつけてやる」

出先なので少しだけです。

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