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今後の取り決め

 新しい神官が身支度を終えた事で、彼等は今後の話を始めた。

リシェアオーガの用事は、この国の様子を見る事と国の安定の為の手伝い、七神からのとある要請、そして、ラングレート家の事だった。

特に後者は、母である大地の神と父である光の神が気にしていて、リシェアオーガに御使いを頼んだのが、この国への降臨の起因でもあった。

そして…最も重要な事は、リシェアオーガが神であり、神龍王である事をこの世界の人々に知らしめる事。

故に、彼が邪気を以て、破壊の限りを尽くした国が、正式な最初の降臨先に選ばれ今に至った。只…彼等の誤算は、ここの神殿でのリシェアオーガの神官の誕生であった事は、言うまでも無い。


行動の確認と説明を終え、ふと、神龍達は思い出した人物がいた。

この国の国王・エーベルライナスと炎の騎士・アーネベルア…。

彼等にリシェアオーガが、ここに居る事を知らせた方が、今後動き易いと思ったのだ。それは、リシェアオーガも同じ考えだった。

「リシェア様。

取り敢えずこの屋敷に、リシェア様と私達が滞在している事を、ライナス陛下とべルア殿に知らせますか?」

ノユに言われ、直ぐに頷いたリシェアオーガは、使いの者として風の神龍のエルアと、炎の神龍のフレアを選んだ。

ここから王宮へは少し遠い事と色々な手続きがいる為、それを無視出来るエルアを国王の許へ、炎の屋敷なら適任と、フレアをアーネベルアの許へ向かわせる。

数分後か、数十分後に、彼等は帰って来た。

エルアは国王から書状を持ち帰り、リシェアオーガへ渡した。

それには、明後日の午後に会いたいとあり、その返事を書き留めてエルアに渡し、再び王宮に向かわせる。

フレアの方は、炎の騎士からの書状は持っていなかったが、伝言を頼まれたらしく、リシェアオーガへ伝えた。

「炎の騎士殿から伝言です。

今暇だから、炎の屋敷へ遊びにおいで、だそうです。…どうします?」

「べルアは屋敷にいたのか…。判った、直ぐ行くと伝えてくれ。」

「判りました、リシェア様♪そう、伝えてきますね~♪」

主の返事を嬉しそうに受け取って、フレアは再び炎の屋敷へと向かった。彼等が去った部屋では、ノユがリシェアオーガに話し掛けた。

「リシェア様、お仕度を。」

「ノユ、このままの格好では駄目か?」

知人の屋敷に行く為に、態々着替える必要性を見出せなかったリシェアオーガに、ノユとユコが食い下がった。

「…正式な物に着替えた方が、良いかと。ね、ユコ。」

「今着ている下の服を騎士服、神龍王のものか、戦の神のものに替えて、上着を正式な神子の衣装にしましょうね。」

彼女等の意見に、周りの神龍達も頷き、リシェアオーガは反論出来なかった。

余り時間を掛けたく無いと思っていた彼だったが、何かあったら、今の自分の立場を示せる物が必要になる事に思い至り、それに従う。

下の服を騎士服である戦の神の物に、上着を神子として正式な物…と言っても、装飾は同じで、長さが足首までという物に替えた。

装飾品の類は華美になってしまう為、額飾りや肩飾りは着けなかったが、右腰の剣と防具にもなる腕輪は、服の下に着けられた。


リシェアオーガの支度が終え、いざ、炎の屋敷に向かう事となった。供として行く者は、リシェアオーガ自身が決めた。

「ユコとフレア、付いて来てくれるか?

人間の姿で、服は…そうだな、精霊の騎士服にしてくれ。」

指名されて、服装も指定された二人の神龍は、不思議そうな顔をした。

「リシェア様、何故、わたしとフレアなのですか?

まあ、精霊騎士の服と言うのは、推測出来ますが…。」

「そうそう、何で、あたしとユコなの?神龍である事を隠すのは、判るけど…。」

二人に問われ、リシェアオーガは素直に返した。

「私がまだ、邪悪を内に秘めていると疑われない為だ。

べルアだけなら良いが、もし他の者が、彼を訪ねた時の予備に…だな。」

炎の神の創りし剣の担い手である炎の騎士・アーネベルアが、今、就いている地位を考えての指名に、炎の神龍がその理由に気付く。

「あ…そっか、べルアって今、将軍様だったんだけ。

休暇中でも何かあったら、屋敷に誰か来るね。」

フレアの言葉にリシェアオーガは頷き、後の者達へ屋敷で待機する様に言い渡した。不服そうな者たちもいたが、彼などには国王との面会の時に、彼女たち以外を連れて行く事で納得させる。

特にコウが、不服そうな顔であった為、ユコが説明をした。

「ここにルシェが到着していたら、わたしじゃあなくて、ルシェを連れて行ったと思うわ。それとレアか、リュナンと一緒にね。

だけど、アレィやランじゃあ、駄目だと思うわ。」

「…本当にそう思う?」

未だ不満げに告げる闇の神龍へ、今度は光の神龍で無く、彼等の王が答える。

「ユコの言う通りだ。闇の者では説得力が無いし、精霊騎士とは言え木々の精霊では、炎の屋敷の者に要らぬ気遣いを掛ける。

…それに…残った者には、カルダルアを護って欲しい。」

リシェアオーガの神官を護れと言われ、残り組は納得して頷いた。己が神の、大切な神官を護るという使命が、王の傍にいるという願望より勝ったらしい。

信頼しているからこそ、託された、そう彼等は感じた。

全く以て、その通りだった。

神龍達はリシェアオーガにとって、最も信頼に値する者。

家族以外では彼等が、リシェアオーガの一番信頼の置ける者だった。

ちなみに精霊騎士の一部は、リシェアオーガから家族として認識されている。

敢えて、誰とは言わないが……。


支度の終えたリシェアオーガは、久し振り向かう炎の屋敷を見つめていた。

そこで、波乱に満ちた再会を果たす可能性を、思い描きながら……

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