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2話目です

 大きな大きな部屋。

 それでいて白く、間に暗さがない程度に灯りが設置されている。

 窓はない。強いていえば、僕たちが入ってきた場所からのみ外と繋がっている。

 今度も僕は一番乗りでそこへ踏み入れた。

 地面は硬く、これもコンクリートだろう。

「まだ何もないが、ここはやがて大きな夢の架け橋になる場所だよ」

「橋ができるの?」

「ふふ。まあそういうところだ」

 僕たちはすぐそこを後にし、来た道を戻ることとなった。

 先ほどの番号が書かれた扉の一つの前で止まる。

「またアレやるの?」

「いや違うよ、今度は鍵がちゃんとある」

 木本首相はここに来るまでにずっと共にいた男の一人に鍵を渡し、扉を開けさせた。

 また廊下が広がっている。しかし今度の廊下は今いる廊下よりも大分広く、ここも相当な広さなのだがその上をいく幅であった。

「君たち家族が住む部屋があるはずだよ。探してごらん」

「ここに住むの?」

「そうだよ、ここが光一君たちの家になるんだよ」

「ふぅん。部屋があるってことは一人一つはあるの?」

 父がそろそろ割って入り、説明しようかと戸惑っているが木本首相はそれを制して続けた。

「いや、一つの部屋にみんなが住むんだ。けど心配しなくていいよ。広さは光一君の家よりもずっと広くて大きいはずだよ」

「じゃあ庭にアサガオを植えれるね」

 僕は祖母の友達からもらったアサガオの種を庭に植えるつもりでいたのだった。

 種は家に置いてきてしまったがまた取りに戻り、ここで育てればいいだろう。

「うーん……それはちょっと無理かな」

「どうして?そんなに広いのならアサガオくらい植えたって平気でしょ。たくさん植えるつもりもないし、大丈夫だと思うけどなあ。番号を教えて、ちょっと中を見てくるから」

 木本首相の言葉に違和感を覚えることなく僕は早速教えてもらった番号が書かれた部屋を探した。

僕たちのすぐ近くの番号は1001で、僕たちの新居は1045であったため、時間をかけることなくすぐに見つかり、それは右手にある部屋であった。

 しかし扉には鍵を挿す場所はどこにもなくドアの取っ手すらないの。スーパーのように近づけば開くのだろうかギリギリまで近寄ってみたが反応はなく、思いっきりその場で飛んで勢いよく着地して見せたが何も起こらない。

 木本首相の真似で手のひらを押し付けてもないので戸惑っていると父がそこへやってきた。

 家で話したのが最後で今なお口を割ろうとしない父は手に渡されていた少しばかり分厚い本をペラペラとめくりながらブツブツと独り言と言っている。

 そして何かを分かったのか本を閉じると、ドアの右側に手を押し付けた。

 何かが浮き出てはじめた。

 それは携帯電話機のような画面とボタンが付いた僕の手よりもふた周り大きいものであり、通話するためのものではなかった。画面上半分にカメラのアイコンがあり、それは僕たちを見つめている。

 父は何も映っていない画面下半分に手を横にして中指を置いた。

”認証しました”

どこからともなく女性の声が聞こえた。

 僕は母かと思ったがそれはその携帯電話のようなものからの音だと分かり、次に訪れた何を認証したのかという疑問に取り組んだ。

「光一、やってごらん」

 半信半疑で僕は父と同じ通りに指を置いた。

”認証しました”

 僕の前のドアが開いた。

 最初に玄関が目に入り横に設置された靴箱、各部屋と接する短い廊下が目に映った。

”認証しました”

”認証しました”

 家族が済ませると木本首相は何も言わずに去っていった。

 僕はそのことに気づかずに靴脱ぎ捨て新居を探索しはじめた。

 二階はなく部屋は全部で6。各部屋は自宅のキッチンと居間を足して余るぐらいに広い。

 テレビも冷蔵庫も新しいものばかりでここが新しい家だとするなら文句がない。

「光一。庭をみてきな」

「うん、おばあちゃん」

 僕はまだ見つけていない庭の捜索へとりかかった。家中の隅々まで見るが見当たらない。

 それどころか外へと繋がる窓すら無い。太陽は東から上ると理科の時間に教わった。今それはどこにあるのだろうか。陽を求め僕は部屋を次々と訪れるがどこにも差し込んでいない。代わりに取り付けてある照明機がセンサーで僕を感知して出迎えるだけなのだ。

 僕は疲れ果ててしまい、皆が集まっている居間へと戻った。

「庭がないよ!」

 皆の目が僕に向けられた。悲しさと諦めを含んだ瞳で僕を可愛げに見つめた。

 父が言う。

「ここには何もないよ」

「え?」

 僕がこの意味を知るにはまだ時間がかかった。学校のことも友達のことも何もかも忘れていた。

読んでいただき、ありがとうございました。

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