帰り道
一年で一番寒い気がする一月下旬。この町にも雪が降り、毎日が寒い。
「うー、寒い!」
「そうだねー」
『寒い』と叫んでみたところで、急に暖かくなるわけでもないことを判りつつ、私、七瀬理香は呟かずにはいられなかった。
いつも通りの学校が終わり、友達の杉原桜花と駅へ向かっていた。
数日前に降り積もった雪が残る道は、見ているだけで寒そう。それに、転びやすくなっているし。
二月になったら、残り一ヶ月と少しで学年が終わる。四月には新学年になって、クラス替えが行われる。クラス替え。
「クラス替え、嫌だなぁ」
考え事の途中で出てきた、一つの出来事。そのことについてぼやけば、隣を歩く桜花が不思議そうに首をかしげながらも、言葉を返してきた。
「早くクラス替えをしたいと思うよりは、嫌だと感じる方がいいんじゃないかな」
「どうして?」
「だってさ、クラス替えが嫌だって思えるってことは、そのクラスに良い思い出がたくさんあるってことでしょう?」
なるほど、と思った。
「そっか。……そうかも、ね」
普段は子供っぽいくせに、いつから……。
「何、思い出したの?」
緩んだ口元に気付いた桜花が尋ねてくる。
「ひみつー」
笑ってそう答えると、頬をぷっくりと膨らませる。
「えー、ひどーい」
「酷くないよ」
だって、悔しかったんだ。
桜花が大人っぽいことを言うから。
ほんのささいな、くだらない嫉妬。
「もう」
拗ねたようにふい、と前を向いてしまう姿はまだ幼い子供のようで可愛らしい。
高校に入って出会った、この素敵な友達と、来年も同じクラスになれたらいいなと思いつつ。
雪が溶けだしている道を、一緒に歩いた。
Fin.
…ひとやすみ…
ある一月中旬の日、帰りの駅のホームで耳にした会話からできたお話です。
私より1,2年下の女子高生二人がクラス替えの話をしていました。その会話が聞こえてきて、いいこと言うなぁ、なんて一人思いました。それで、ssに使えそう。というか、書いてみたくなって執筆しました(笑)
H25 1/27 執筆




