教会騎士
前回の題名に「1」って付いてるのに今回「2」にならなかった(^^;
「よく来てくれた、状況の説明を開始するぞ」
どうやらもうただ事ではなくなっているようで部屋の前に立つのが職員からギルドマスターになっている
周囲を見渡すと討伐隊に召集されなかったCランク以上の冒険者はほぼ全員呼ばれているようだ
「諸君も知っていると思うが討伐隊が壊滅した
それを受けて領主様は直ちに部隊の再編を始めたが、再編が終了するまで騎士団が行っているこの街の周辺の警備をわれわれが代行することになった…」
要するにそういうことらしい
また魔法使いと戦えといわれるのかと思って戦々恐々していたが、さすがにギルドの最高戦力を打ち砕かれた相手にそれ以下の戦力をぶつけるような愚は侵さないようだ
状況説明が続いているが俺は既に知っているので話半分に聞き流していた
「それでは解散とする、明日から頼むぞ!
ではケイとランドは残ってくれ」
やっと終わったと思うと今度は個別に呼び出しを食らってしまった
周囲も俺たちが第一発見者であることを知っているので特に気に留めた様子もなく部屋を後にする
「ちっ、めんどうなことにならねぇといいんだがな」
そう呟くランドに概ね同意だった
「こちらは教会騎士団のミーファ殿だ」
ギルドマスターに紹介されたのはシスター姿の2人の女性だった
見た目は俺と同い年かちょっと若いくらいかと思われる
金髪をサイドにまとめていて真面目そうな出で立ちだった
そばには割りと大き目の剣が立てかけてありそれがシスター姿とのアンバランスさを際立たせている
そしてその後ろにはさらに若そうな、同じくシスター姿の少女が一人
こちらは茶髪を短くそろえており活発そうな雰囲気を醸し出していた
腰に同じく剣を差しておりこちらも教会騎士団の騎士だと思われる
「へぇー、弟子がいるってことはマスタークラスか…
で?なんでそんなお方が俺たちに何のようで?」
ランドが前半は俺に聞こえるくらいの小声で、後半は相手に伝わるようにただし警戒している感じを出しながら訪ねた
「今回の盗賊討伐に協力してもらえるようになったのだ
なので今回の賊の情報を聞きたいそうだ」
ギルドマスターが代わりに答える
「…別に俺たちじゃなくてもいいんじゃないんですか?一番新しい情報は今回出陣した騎士団とかの方があるんじゃないんですか?それに俺たちは負傷していて戦力にはなりませんよ」
「まぁそういうな、騎士団も再編でそれどころではないし、今回でた冒険者達も皆傷ついておる
今ちゃんと話を聞けるのはお前達しかいないのだ」
先に面倒ごとになりそうなことは釘をさしておく
するとミーファと呼ばれたシスターが近づいてきて
「そういえば魔法で腕を焼かれたと聞きましたが…少し見せてもらってもよろしいですか?」
と言ってきた
最初は何を言われているのかわからなかった
何しろ自分の能力で腕の中身は完治しているのだ、表面が焼けてるだけで
別に隠さなければならないようなことではないので袖をまくって包帯の巻かれた腕を見せる
「では」
そういってスルスルと包帯を解いていく
自分の焼けている腕というのはあまり何度も見たいものじゃないな
「あら?思ったよりも軽傷なのですね?」
「まぁ、手甲の上からだったんで」
そういって金属の表面が若干溶けて変形した手甲をアイテムポーチから取り出した
「なるほど…ちょっとこれ見せてもらっていいですか?」
手甲を見つめ一瞬険しい顔をしたあとそう言ってきた
手甲を渡すと検分し始め、それが終わると後ろに控える少女に見てみるように促した
「では、治癒を開始しますね
これは今回の情報料だと思ってください」
そういって俺の腕に手をかざすミーファ
軟らかい光が降り注ぎ俺の腕の表面が治っていく
「おぉ」
思わず声が漏れてしまった
治癒というのは始めて見るが本当に治っていく
最初に見るのが自分の腕の治癒だというのが複雑な気分だが
痕が残ることも覚悟していたので素直に嬉しい
「まぁ…そういうことなら仕方ないですね、で?何が聞きたいんですか?」
「協力感謝しますではまず、魔法の火に焼かれたのはどのくらいの時間なのです?」
「一瞬でしたよ、そもそもそうじゃないと手甲をしていたとは言え腕の形なんか残らないですよ」
あの魔法の威力を思い出して呟く
「一瞬で金属を溶かすほどの高威力だったとは…」
後ろでギルドマスターが呟いている
その辺りに認識の齟齬があったらしい
「教会騎士団って結局なんなの?」
前回話したことをもう一度話すのは結構億劫だ
聞かれたことに答えて、俺とランドはいつもの食堂に来ていた
「あー?そういえば魔法使い自体初めてって言ってたな」
そういって説明を始めるランド
教会には教皇の下に二つの組織がある
布教などを行う一般的に教会と呼ばれる組織と教会が管理する魔法使いで構成される教会騎士団だ
教会騎士団の階級には
マスター
ナイト
の2つがあり、マスタークラスになると冒険者のAランクくらいなら軽く倒せる実力があると言われる
弟子を取れるのもマスタークラス以上であり今回来たミーファは弟子がいたことからマスタークラスであることがわかる
ちなみに見習いである弟子は正式な教会騎士ではないので単独行動はできず、教会での階級もない
今回の魔法使いは俺の腕の焼き加減から見習い以上ナイト以下と思われていたらしい
もっとも金属製の手甲の惨状を知っていたらそんなことにはならなかったのだろうが
ちなみにマスタークラス以上で使徒と呼ばれる人種が存在しているとかいないとか
教会に三人しかいないらしい
アーティファクトを使いこなしその戦力は未知数だとか
(あれ?俺もアーティファクト使ってるんだけど…もしかして俺のメイスって別物?)
ちょっと疑問に思ったので聞いてみる
「なぁ、なんでアーティファクトって使える人間少ないんだ?」
「あぁ?そんなの決まってるだろ、アーティファクトの発動、それからの維持に耐えられるほどの魔力量を持った人間が少なねぇからだよ」
ということらしい、そういうことだと俺はこの世界の人間基準だと相当の魔力量を誇ることになる
そして【自己世界の王】の燃費の悪さは折り紙付きだということにも
まぁ、便利なので気にしない
「教会騎士団には外法を狩るためだけの異端審問会なんて組織もあるらしいんですよ」
教会について色々と話しているといつの間に居たのかリーネちゃんも話しに混じってくる
「あぁ、あのよく聞く噂なぁ」
どうやら有名な話のようだ
「でも、外法って元々教会騎士だったヤツのことだろ?そしたらそういう組織くらいあってもおかしくないだろ
今回のミーファさんだって案外異端審問官かもよ?」
俺がふざけて言うと
「そういえばあの嬢ちゃんマスタークラスだったな…」
「え?そうなんですか?」
あまり冗談にならないことを口走ってしまったらしい
こうして夜は更けていった
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