異界の門3
地下一階を駆ける、そろそろ隠しエレベーターがある部屋に着くはずだ
「なんでか知らんけど、警備薄くね?なんかいやな予感しかしないんだけど…」
このとき城崎は知らなかったが、政府はこの「異界の門」の存在を世間や警備の人間に知られたくなかったために主力部隊をほぼすべて美術館の外に配置していたのである
「おっと、この壁怪しいな」
職員の更衣室にしては質素すぎて怪しい部屋の中に特別綺麗なところがあった
「たぶんエレベーターの整備とかの時に掃除しちゃったんだろうな」
その壁の周辺を調べるとロッカーの後ろの壁の一部が凹むようなスイッチになっていた
「ビンゴ!」
小躍りしながらエレベーターへの道が開かれるのを待つ
ウィーン
「…え?なん…だと…」
出てきたのは道じゃなくてテンキーだった
「パスワードとか…めんどくせぇ…でも当然か?ま、俺にこの類のものは無意味だけどね!俺を止めたかったらアナログな鍵穴にしときな!」
そういって集中を始め想像する
最善の未来を進んでいく俺を、そしてその未来を見つめる今の俺を…
「見えた…」
俺がテンキーに番号を打ち込んでいく未来が見えた
「37564っと、よりにもミナゴロシかよ、いい趣味してんな…」
アナログな鍵穴だったらいくら鍵を開ける未来を見たところで鍵がないと意味ないからな、デジタルの弊害ってやつだ、俺は大助かりだけど
「さて行きますか、異界へ!ってね」
プシュー!
壁が開くとともに階段があった
「うーん、さすがにセキュリティがこれだけってことはないか…おっと、さっさと行こう」
階段を駆け下りると地下二階にでたがここからのフロアは狭くて迷うようなこともなくすぐにセキュリティで閉ざされた扉を発見することができた
「ぜぇ……ぜぇ……」
同じような作業を始めて1時間、城崎は地下24階にいた
「エレベーターは…ぜぇ…ぜぇ…まだか…ぜぇ…ぜぇ…」
またひとつセキュリティを突破して地下25階へと進んでいく
そして地下25階のセキュリティを突破した先についにエレベーターを発見した
「やっと…ぜぇ…ぜぇ…見つかった…ぜぇ…ぜぇ…初めて怪盗として成功した時よりも充実感を感じてるかもしれねぇ…」
ふぅーっと深呼吸をしながら進んでいき、エレベーターに乗り込みボタンを押す
「おいおい、こいつらどこまで掘ってんだよ…これ地下堀すぎでしょ…核シェルターでもあんのかよ…」
エレベーターに乗ってから既に1分、浮遊感の感じからしてそこそこの高速エレベーターである
(そんなに重要なものなのか?ちょっと不安になってきたぞ)
そしてついにエレベーターがチンッ!という音をして停止した
開く扉を期待半分不安半分で見つめているとついに扉の向こうが見えてきた
「なっ!」
珍しく城崎がその光景に絶句し、硬直から立ち直ると騒ぎ始めた
「門ってそのまんま門じゃねーか!こんなもん盗めねーよ!!!」
そう、「異界の門」は文字通り門だったのである
おそらく研究に使われていたのであろう機材の近未来的な光景に囲まれて一際異彩を放つ石造りの立派な門があったのである
「こういう場合って指輪的なマジックアイテムなんじゃないのかよ!!!」
魔法の存在は信じてはいないけれど、なんとなく貴重な装飾品の類だと勝手に思い込んでいたのである
ここまで来てタダで帰るのも癪なので色々と物色し始めるが、研究自体は全くと言っていいほど進展が無いようで門について参考になるようなものは何も無かった
しばらくフラフラと物色するがついに何も発見することが出来ずにもう帰る算段をし始める
「マジで無駄足かよ…そうなったら上の美術館のものなんか持って行くか?」
そうつぶやきながらふと思い出した
(そういえば肝心の門調べて無いじゃん!)
まさかの大失態である、何かあるのではないかと期待を胸に門を調べようとして門に触れた瞬間
「なっ!!!マズっ!」
今まで発動していた身体強化が解除されただけでなく身体の中からエネルギーのようなものが一気に引き抜かれるような感覚が迸る、そして光りだす「異界の門」
「な、なんだ?」
ふらつきながらも懸命に立ち上がるそして目にしたのは門が開いていく光景
それに危機感を抱いて離れようとしたのが逆効果だったのか身体に力が入らない城崎は倒れこんでしまう
倒れこんだ先は光輝く「異界の門」の中
(しまった!!!)
そこで城崎の意識は途切れたのだった…
アクセス解析って面白いですね
見てくれている人がいると思うやる気でます!
プロローグはここまでなので次からもよろしくお願いします