勇者は誰だ 〜5人の戦士と最期の言葉〜
ーープロローグーー
5つの国は代表戦士を選出し、魔王討伐へ向かわせた。
各国は勇者覇権を狙う、ライバル関係にあった。
5人の戦士はパーティーではない。勇者になれるのは1人だけなのだから。
ーー勇者を選んでくださいーー
復讐リア「母を殺した魔族を許さない、絶対に。
この血を使ってトドメを刺す。」
最強ガレン「国王が言っていた『人類に希望はない』。
確かめなければならない、真実を。」
傲慢ヴァルド「おれが勇者になる、一族のために。
使えるものは使う、どんなものでも。」
平和ミル「魔族は悪。平和の為には全て滅ぼさなければならない。
他の戦士の協力が必要だ。」
狂気ルナ「もう飽きた。戦いの無い世界はつまらない。
…殺っちゃえばいいんだ、人間のフリして。」
ーー集合ーー
最強ガレン「各国の戦士が集まりました。……怪しい女が1名いるようです。」
最強国の王「問題ない。計画の邪魔になるようなら、お前が始末しろ。」
最強ガレン「了解しました。」
国王と対等に言葉を交わす唯一の男。それがガレンだった。
ーー魔族領入り口ーー
平和ミル「やっと到着しましたね。みんなで頑張りましょう!」
復讐リアは無言でフードを深く被ったまま、ただ頷いた。
傲慢ヴァルド「おれは後から援護してやるよ。
最初に死ぬわけにはいかないからな。」
狂気ルナ「勝手にすればいいじゃん。この匂い……懐かしいって感じ。」
その言葉に、誰も気づかなかった。
ただ1人、最強ガレンがわずかに眉を寄せた。
ーー秘密ーー
夜の野営地。焚き火の炎が揺れる中、
傲慢ヴァルドはふと、復讐リアの横顔を見た。
フードの下、短く切り揃えられた銀髪。細い顎。
傲慢ヴァルド「……お前、男装してるな。」
復讐リアは一瞬、肩を強張らせたが、すぐに静かに答えた。
復讐リア「自国のルールで仕方なかった。女は戦士になれないから。」
彼女の瞳には、底知れぬ執念のようなものが宿っていた。
傲慢ヴァルドは黙って頷いた。
ーー平和男死亡ーー
魔族領に入って3日目。
最初の戦闘は、予想外に苛烈だった。
平和ミル「ぐっ……強い。国で教わった情報は嘘だったのか?
他のみんなは……戦ってる。ボクが弱いだけか……はは。」
血を吐きながら、ミルは倒れた。
平和の象徴だった彼の体は、魔族の爪によって引き裂かれていた。
最強ガレン「平和国の戦士が死亡しました。かなり弱かったようです。
他の戦士はまだ戦えています。」
最強国の王「あの国は情報が古い。予想通りだ。」
最強ガレン「了解しました。」
ーー女2人ーー
森の奥、狂気ルナは復讐リアに近づく。
狂気ルナ「おまえ、魔族か?」
復讐リアの瞳が鋭く光った。
復讐リア「おまえと一緒にするな。」
狂気ルナは肩をすくめ、狂ったように笑った。
狂気ルナ「弱いやつに話すことはないかな。殺っちゃうよ?」
空気が凍りつく。
2人の間を、魔力の火花が散った。
ーー絡まれるーー
さらに2日後。狂気ルナが最強ガレンに近づく。
狂気ルナ「あんたさ、実はかなり強いんじゃない?」
最強ガレンは静かに答えた。
最強ガレン「ヴァルドさんも強いですよ。」
狂気ルナの目が細まった。
狂気ルナ「ふーん。」
突然、狂気ルナが襲いかかってきた。
狂気ルナ「きゃははは、やっぱ強いじゃん!最高!」
最強ガレンが剣を振るい、狂気ルナの攻撃を弾いた。
最強ガレン「お前、人間ではないな?」
狂気ルナは血を拭いながら、恍惚とした表情で笑った。
狂気ルナ「ははは、そんなの関係なくない?もっと楽しもうよ!」
ーー最強男死亡ーー
激闘の末、最強ガレンが倒れた。
彼は最後の力を振り絞り、通信石に向かって囁いた。
最強ガレン「国王……申し訳ありません。怪しい女は魔族でした。
おそらく幹部クラスです。」
最強国の王「幹部の魔族が戦士に?どういうことだ……
ご苦労だった……名は刻んでおいてやる。」
最強ガレンはかすかに微笑んだ。
最強ガレン「光栄です……っ」
傲慢ヴァルドと復讐リアが2人を発見する。
傲慢ヴァルド「お前ら何やってんだ!」
狂気ルナは地面に転がりながら、笑い続けた。
狂気ルナ「やっばー、死ぬところだったわー。人間じゃ魔王は……っ」
復讐リアが狂気ルナにトドメを刺す。
復讐リア「黙って。」
傲慢ヴァルドが振り返る。
傲慢ヴァルド「リア、おまえ……」
復讐リアは淡々と答える。
復讐リア「魔族だから、あの戦士。」
傲慢ヴァルドの目が見開かれた。
傲慢ヴァルド「は?どういうことだ……それに狂気国の女の言葉……」
ーー夕陽ーー
夕陽が魔族領の空を赤く染めていた。
2人が残った野営地で、復讐リアは初めてフードを外した。
銀色の髪が、夕陽を浴びて美しく煌めいていた。
復讐リア「私は魔族と人間のハーフ。母を殺した魔族を、絶対に許さない。
この血を使って、魔王を討つ。それだけが私の生きる意味。」
傲慢ヴァルドは言葉を失った。
復讐リアの瞳には、復讐の炎と、どこか寂しい光が混じっていた。
復讐リア「差し違えても、魔王を討つ。……それでいい。」
傲慢ヴァルドは胸を締め付けられる何かを感じた。
ーー魔王戦ーー
魔王の玉座の間は、暗く重い魔力に満ちていた。
魔王「5人と聞いていたが、2人だけか。」
傲慢ヴァルド「十分だ。」
2人は剣を構える。
傲慢ヴァルドの剣が魔王を斬りつける。
しかし何度斬りつけても、魔王の肉には薄い傷しかつかない。すぐに塞がる。
人間では魔王は倒せない。
魔王が嘲笑う。
魔王「無駄だ。」
しかし、次の瞬間——
復讐リアの紅剣が、魔王の胸を深く抉った。魔王の目が見開く。
魔王「なぜだ。人間の攻撃は効かないはずだ……
しかし、お前からは魔族の匂いがしない……お前、まさか……」
復讐リア「黙れ。」
傲慢ヴァルドは一族の秘宝、拘束指輪を発動させた。
一瞬、魔王の動きが止まる。
その隙に、復讐リアが最後の突きを放った。紅剣は魔王を貫いた。
魔王「哀れな子よ……」
復讐リア「知ってる。」
魔王の巨体が崩れ落ちる。
傲慢ヴァルド「倒した…のか…」
復讐リアの紅剣は黒ずんでいく。
復讐リア「ゔっ……」
復讐リアが倒れる。
魔族の力を使い果たしたリアの体は、崩壊を始めていた。
ーー復讐女死亡ーー
傲慢ヴァルドは復讐リアを抱きかかえた。
傲慢ヴァルド「平和な世界が訪れるのに、そこにお前がいないなんて……」
復讐リアは弱々しく微笑んだ。銀の髪が夕陽のように輝く。
復讐リア「いいの……私の最期は、幸せだったから。」
傲慢ヴァルド「ズルいぞ……」
復讐リア「そうよ。私は傲慢だから……ふふ……っ」
リアの輪郭は光へ溶け、夕陽のような金色だけが残っていた。
傲慢ヴァルド「リア……リアァぁぁぁあ……!」
ーー帰還ーー
傲慢国の王が玉座から立ち上がった。
傲慢国の王「良くぞ帰った!ヴァルドよ。
お前は勇者になったのだ!喜ぶが良い!」
傲慢ヴァルドは無表情に答えた。
傲慢ヴァルド「……勇者は、死にました。」
傲慢国の王の表情が曇る。
傲慢国の王「なに?」
傲慢ヴァルドは静かに繰り返した。
傲慢ヴァルド「勇者は死にました。」
ーー最強男の国ーー
最強国の王の謁見の間。
側近「報告があります。傲慢国の戦士が帰還したそうです。
気になることを証言したと噂が……」
最強国の王「なんと言ったんだ。」
側近「勇者は死んだ、と。」
最強国の王はゆっくりと目を閉じた。
最強国の王「……人類に希望は無かったか……」
窓の外では、平和が訪れたはずの空が、どこか虚しく広がっていた。
ーー完ーー




