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はじまり、はじまり

フィクションです。絶対にフィクションですよ。

 これは絡倉一平太の日常の物語である。そして、小説でもある。だから例え小学生がお酒をのんで車を乗り回し、そして煙草を吸うなどの描写があったとしても、それはもちろんフィクションなので大丈夫です(何が?)

 さて、何故に僕がネットの小説サイトでこんな事を書くのかといえば(もちろん、もうフィクションの世界ですよ)、それは彼が大変ユニークな存在だからです。

 さて、何がユニークなのか?(こういう読者に語りかける文章が良いというのでやってみました)それはこの話を読まれた頃には感じてもらえると思い(或いは祈って)ますので、ここでは秘密にします。

 絡倉一平太は見た目でいえば普通の人間だ。何を比べて普通と定義しているのかと思われる方もいるかも知れないが、そこは流しそうめんのように流して頂ければ幸いである。

 とにかく、そんな見た目が普通の少年がいたのだ。年齢は十八歳で熊本のS大学に彼はやってきた。最初に友達になった時までは、僕もそれほど洞察力にすぐれた人間でもなかったのでその見た目に騙され普通だと思っていたのだが、それはすぐに砕かれる事となった。

 初めて飲みに行った時だ(飲酒は二十歳からですが、これはフィクション)。僕もあまり飲める方ではなかったのだが、その認識は甘かったようで本当に飲めない人間というのは存在するのだと驚かされた。

「ゲボー」

  カクテル半分で絡倉一平太その場で吐き、そして倒れたのだ。目が丸くなったなどの表現があるが、目玉というのだから丸いのは当たり前だと思えるが、とにかく僕はその時にそんな表現方法を感じた。幸い、あまり食べていなかったので固形のモノは少ない。

 とにかく、僕は店員の冷たい視線を受けながらそれを処理し、足早に絡倉一平太を背負って店を出る事となった(こういう状況、条件で飲めるほどの神経はないのだ)。

「おい、家どこだよ?」

 重い人形となってしまった哀れな絡倉一平太に僕は話しかける。友達になって一カ月経過するが、その程度の友情で家を知れるほどの積極性は僕にはなかったのだ。絡倉一平太はうめき声を上げるだけで、まったく会話をしてくれない。

 夜風が(といってもまだ夕方)が冷たく、泣きそうになる。これが女性であったならば僕もそれなりにはりきるし、入る場所(或いは入りたい場所)もあるのだろうが相手は男。何が嬉しくてこんな事をしなければならないのだろうか。そんな嘆きを頭の中で言っていると、絡倉一平太が少しだけ回復したのかやっと言語を喋った。この小説初の、意味ある言葉だ。

「あっち」

 ただ、その言葉を理解するのは難しい。絡倉一平太は指を全く差していないのだがら。

「どっち?」

「だからあっち」

 絡倉一平太は決して馬鹿な人間ではない。それなりに頭も回るし、時々彼の考えに驚かされるぐらいに鋭い人間なのだ。つまり、これはどれほどお酒が恐ろしいものなのかという事を暗喩しているのだろう。

「住所は?」

 僕は自分でも期待しないで尋ねてみた。すると、奇跡というか必然というのか絡倉一平太はポケットから携帯電話を取り出し、僕に手渡した。画面を見ると、そこには住所がメモ帳機能のところに書いてあるではないか。口から火が出そうになった(あ、これは使い方が違うや)。

 絡倉一平太はその動作によって全力を使い果たして(ぜんりょくではなく、ぜんちから)しまったようで、また深い眠りについてしまった。僕はそんな彼に少なからずの殺意を抱きながら携帯の案内機能を駆使して絡倉一平太の家に向う。総時間八分だ。

 綺麗なアパートだ。少なくとも自分の住んでいるボロアパートとは違う(自分のアパートは部屋が歪み、ドアが閉められないレベル)。家に入れずにこのまま置いて行こうかなどの薄情な感情も少しは過ぎったが、少ない友達を失うのもあれなので(どれ?)、優しい事をアルバイトの履歴書の長所に書く僕は部屋まで連れていく事にした。部屋番号までしっかりあのメモ機能には書かれていたのだ。几帳面な奴め。

 残念な事に二階の部屋でエレベーターなしという悪条件だったので、僕は背負いながら階段を上がる事となった。エジプトのピラミッド建設よりかはマシなどの、自分の中のもう一人の励ましがなければ諦めるところだった。

 やっとこさ、部屋の前まで着く(やっとこさって何歳だよ)。「鍵は?」と尋ねるがお休みモードの絡倉一平太は本当に人形になったかのように無反応であったので、仕方なくポケットをあさり、鍵を見つけて勝手に開ける事にした。男のポケットをあさるなど、人生でも中々嫌な思い出に違いない。

 幸い鍵は何とか見つかった(さっきから幸いという言葉を使っているが、実際は全く幸いではない)。鍵をさし、回す。ガチャリという音がしたのでノブをひねってみた。だが、ガコンと音がして開かない。どうも、鍵は元々開いていたようである。

「不用心な」

 絡倉一平太は眠っているので、現象としては独り言になるだろう。とにかく、僕は独り言を言いながらもう一度鍵をさした。すると、まだ回していないのにガチャリと音がしてドアが勝手に開いたのだ。これには心底驚いたが、勢い良く開いたドアに頭がぶつかった衝撃と痛みでそんな感想はその時にはなかった。これ、つまり後付け(フィクションだけど)です。

「誰ですか?」

 頭を押さえながら前を見ると、綺麗な女性が首を傾げながら喋っていた。声は可愛らしく、まるでアニメに出てくるのではと思えるほどだった(実は、この直感が後で間違えではない事に気づかされるがそれはまた別の時に)。

「あ、えっとコイツの友達ですけど……」

 実は、緊張していた。女性と接するのがとても苦手なシャイボーイなのが僕である。

「お姉さんですか?」

「誰のです?」

 僕の問いに女性はまた可愛らしく頭を傾げる。写真に撮りたいと思えたぐらいだ。と、女性に出会って思考力が散漫している事にこの時気がついた。『誰のです』と女性は言った。つまり、それは倉田一平太のお姉さんではない、という事である。僕は少なからずの期待を込めて、一度表札を見た。間違いなく、非常に残念だが絡倉とかいてある。つまり、それが意味している事はすぐに分かった。

「あ、彼女ですね」

 苦虫を噛んだような(もちろん、そんな経験はない)気分になりながら僕は言う。許されるならば背負う絡倉一平太を二回から投げ落としてやろうかとも思った。そんな感情を抱いた理由は二つ。一つは絡倉一平太に彼女がいた事。そしてもう一つはその彼女が美人だった事だ。これは万死に値する。

 が、そんな考えも甘かった。

「いえ、妻です」

 一瞬、頭のネジが飛んだ(もちろん僕の頭にネジはない)。ツマ? ははは、それは一体全体どういう意味かしら? などと一瞬女性言葉になってしまったほどだ。

「絡倉一平太の妻です」

 そんな言葉を顔を少し赤らめて女性は言うのであった。十八歳で大学生なのにもう嫁がいるとは何と変わった奴なのだ、絡倉一平太め。と、無理やり終わってみます。(疲れたので今日はここでお終い、続きはまた明日か或いは一週間後で。もし慈悲深い読者がおられたとするならば、どうか次回をお待ちください)


では、次回予告。


 突然現れた女性A子。絡倉一平太と名乗るその女性の正体は一体なんなのか?

「私は作られた人間なのよ」

「お前は、それで良いのか?」

「神が、正義だと誰が決めた?」

「生きていれば、生きて、いれば」

「そこが、お前の底だよ」

「動け、動いてくれ」

「やらせはせんぞ」

「皆、私を置いて死んでいくのね」

「こんな事って、ないよ」

 次回、絡倉田一平太の日常風景セカンド。『魂のモンブラン』乞うご期待。(なお予告とタイトルは変更される場合もあります)


 何かご要望が御座いましたらコメント幸いです。特に絡倉一平太については何でもお答え出来ますし、またご要望にそった話を書けると思います。

 あ、もちろんノンフィクションではなくフィクションなのであしからず。

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