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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第2章 ピルピル草栽培開始!

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第047話 フィールドワーク開始!


「フィーーーーールドワーーーーークッ! フィーーーーールドワーーーーークッ! フィーーーーールドワーーーーークッ、yeah~~~!!」


 妙(みょう)なテンションと異様(いよう)な奇声(きせい)、そしてへんてこな動きで森を闊歩(かっぽ)する様は奇怪(きかい)と呼(よ)ぶに相応(ふさわ)しく、これだけ存在感(そんざいかん)を放っているにも関(かか)わらず、魔物(まもの)どころか虫すらも寄り付かない。ここがシンと静まり返った夜の森なのが不思議なくらいに、俺(おれ)たちの周辺だけはお祭(まつ)り騒(さわ)ぎである。


「ほら、お二人(ふたり)ももっと声を出して! せっかくのフィールドワークですよ、元気にいきましょう、元気に!」


 子供(こども)が使うタモのような道具片手(かたて)に全身迷彩柄(めいさいがら)で森に溶(と)け込(こ)んだリッケさんは、高笑いしながら随分(ずいぶん)と楽しそうである。反面、引きに引いているマーロンさんは、彼女(かのじょ)と目を合わさぬよう努めながら、ずっと他人のふりを決(き)め込(こ)んでいる。いや、無理ですけどね。


「そういえば、お二人(ふたり)のお名前を聞いていませんでしたね!? お名前をお聞きしてもよろしいですかー!!?」


「あの……、もう少し小さな声でお願いしてもいいですか。俺(おれ)はハクで、そちらはマーロンさん。彼女(かのじょ)はこう見えてAランクの冒険者(ぼうけんしゃ)さんです。よろしくお願いします」


「え、Aランク!? 超(ちょう)一流の冒険者(ぼうけんしゃ)さんじゃありませんかー! だったら私(わたし)もひと安心ですね。森の魔物(まもの)に襲(おそ)われたとしても。襲(おそ)われたとしても!! アーッハッハッハ!!!!」


 ヤバいなこの人。

 興味と期待とテンションがブチ上(あが)りすぎてて、もはや正気を失っている……。


「して、ハクさんマーロンさん。これから私(わたし)はどこへ向かえばよろしいので?」


「え? いや、そう聞かれましても」


「何を仰(おっしゃ)っているのですか! お二人がいなければ、私(わたし)はどうすることもできないのですよ!?」


 恐(おそ)ろしいことをサラッと言ってのけたリッケさん。あれだけの博識でありながら、興味の前では狂信者(きょうしんしゃ)となってしまうその脳(のう)ミソ、感服いたします。


「どうしましょうマーロンさん、危(あぶ)なそうな人だしお茶を濁(にご)して誤魔化(ごまか)しましょうか(ヒソヒソ)」


「ですね。もしくは危(あぶ)ない人でしょうから、このまま森の奥(おく)に捨(す)ててくるのもありかと思います(ヒソヒソ)」


「そこッ、聞こえてますよ! いいから早く私(わたし)を蟻(あり)のもとへと導きなさいッ! 今すぐッッ!!」


 場にそぐわない賑(にぎ)やかさは異常(いじょう)そのもので、こんな状態では慎重(しんちょう)な蟻(あり)たちとの遭遇(そうぐう)など夢のまた夢である。何より彼(かれ)らと出会うためにはトゲトゲさんの助力が絶対不可欠ではあるものの、彼(かれ)本来の姿(すがた)をリッケさんに見せるのは問題が大きすぎる。


 しかしそんな俺(おれ)たちの動揺(どうよう)を簡単(かんたん)に打ち破り、スタスタとこちらへ近付いてきた彼女(かのじょ)は、俺(おれ)の影(かげ)に隠(かく)れていたトゲトゲさんをむんずと掴(つか)むなり、子供(こども)のように抱(かか)え上げ、その恐(おそ)ろしいほどに迫力(はくりょく)の増した顔面を近付けて言った。


「ブラックデモンズフォーグの亜種(あしゅ)ですか。まさかこれほど高ランクの個体に生きた状態で出会えるとは思いもしませんでした。書庫でこの子を見かけたあのとき、私(わたし)の心がどれほど躍(おど)ったことか。貴方(あなた)がたにはわかるまいッ!?」


 圧倒的(あっとうてき)戦力であるトゲトゲさんがビビり散らかすほどの顔で迫(せま)ったリッケさんを引(ひ)き剥(は)がし、俺(おれ)はため息つきながら「ひとつ、約束してください」と忠告(ちゅうこく)した。


「ここで見たことを絶対に他言しないこと。それを約束いただけるなら……、仕方ないですね」


 すると彼女(かのじょ)は右目のメガネに手をかけ、不敵に微笑(ほほえ)みながら変なポーズをとった。そして「当然です」と呟(つぶや)きながら、今度はヒーローにでも変身するかのように言った。


「こう見えて、わたくし口はちょー堅(かた)いのでございますよ。何より研究結果を他人に伝えるなど言語道断、この命尽(つ)きるまで、何人にも話すことなどあり得ないことを此処(ここ)に誓(ちか)いましょう!」


 キメながらドーンとポーズ。

 この人あれだな、本当にヤバい人だ。


 しかし小型化したトゲトゲさんの正体をひと目で見破った人は初めてだ。そもそもその正体を知っていてなお、彼女(かのじょ)は冷静どころかその先に眠(ねむ)っている真実にしか興味がない様子。これは相当にア(・)レ(・)な人物に決まっている!


「なるほど、これで合点がいきました。近頃(ちかごろ)モリスの奥地(おくち)に異様(いよう)な魔物(まもの)が住み着いているとの噂(うわさ)がありましたが、この子がその正体でしたか。幻惑(げんわく)とその巨体(きょたい)で他者を圧倒(あっとう)するブラックデモンズフォーグらしい戦い方ですね。しかもその子を操(あやつ)っているのがAランクの冒険者(ぼうけんしゃ)となれば……。お宝(たから)の匂(にお)いがしますね!?」


 グヘヘとグールのような笑(え)みを浮(う)かべて舌なめずり。しかしそれを当然のことのように受け入れられる度量の大きさはなかなかのものだ。こうなってしまった以上は仕方がない。


 トゲトゲさんに声をかけた俺(おれ)は、口に指を立て、「お静かに」と忠告(ちゅうこく)する。わくわく肩(かた)を強張(こわば)らせながら上下しているリッケさんを横目に、巨大(きょだい)化したトゲトゲさんが捜索(そうさく)を開始した。

 数分後、尻尾(しっぽ)が揺(ゆ)れ、合図を受け取った俺(おれ)は、マーロンさんとリッケさんを肩(かた)に担(かつ)ぎ、尻尾(しっぽ)の先を追って飛び出した。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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