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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第2章 ピルピル草栽培開始!

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第044話 砂漠の国より出でし漆黒の悪魔


「従来(じゅうらい)どおりのやり方でほんの僅(わず)かな改善(かいぜん)を求めるか、劇的(げきてき)にやり方を変えて新たな方法を模索(もさく)するのか。どちらも正解な気はするけど、さすがにそうそう簡単(かんたん)にはいかないよねぇ」


 翌(よく)早朝、村の畑の真ん中で準備を終えたピルピル草の種を見つめながら呟(つぶや)いてみる。しかし「誰(だれ)と喋(しゃべ)ってるの?」と聞いちゃったマーロンさんのせいで、ひとり浸(ひた)っていた俺(おれ)の雰囲気(ふんいき)は台無しである。別にいいけどさ。


「マーロンさんは、どうするのがいいと思います? 今までどおりか、もう少し粘(ねば)ってみるか」


「う~ん。それさ、トアは本当にその答えを私(わたし)に聞きたいと思ってるの?」


「……と、おっしゃいます心は?」


「本当は自分の中で、もう答えが決まってるんじゃないのってこと。そうでしょ?」


「…………なんでもよくご存知(ぞんじ)で。だけどね、俺(おれ)だって悩(なや)むことくらいあるんですよ!」


「そんなの私(わたし)だってあるよ。これから村はどうなるのかなぁとか、私(わたし)なんかがAランクの冒険者(ぼうけんしゃ)でいいのかなぁとか、今日(きょう)の晩(ばん)ご飯(はん)どうしようかなぁ、とか」


「……。最後の疑問(ぎもん)に対する答えは置いておくとして、そのほかについては大丈夫(だいじょうぶ)だと思います、俺(おれ)が保証します」


「ホント、簡単(かんたん)に言ってくれちゃってさ。あれ? そういえば今朝(けさ)はポンチョと一緒(いっしょ)じゃないの? いつも一緒(いっしょ)なのに」


「まだ部屋(へや)で寝(ね)てます。それに……、俺(おれ)だってたまには一人(ひとり)になりたいときくらいあります。知ってて言ってる癖(くせ)に……」


「ウフフッ! あ、そうだ、今日(きょう)の朝ご飯だけど、良かったらウチに食べにこない? たまにはご馳走(ちそう)したいってさ、族(・)長(・)様(・)が」


「あはは、そんな言い方されたら断れませんって。わかりました、ポンチョを連れてすぐ行きます。……今日(きょう)の俺(おれ)は、食いますよ!(宣言(せんげん))」


 招かれるまま豪勢(ごうせい)な朝ご飯のご相伴(しょうばん)にあずかることとなった俺(おれ)たちは、朝からウキウキ上機嫌(じょうきげん)なポンチョを連れて族長宅(たく)を訪(おとず)れた(※猫(ねこ)族の皆(みな)さん、もうほとんどが俺(おれ)の自宅(じたく)近くに移住完了(かんりょう)済(す)みです……)。未(いま)だ崇(あが)め奉(たてまつ)るように敬(うやま)ってくれる族長にはいつも恐縮(きょうしゅく)してしまうけど、こんな俺(おれ)なんかのことで皆(みな)の機嫌(きげん)が良くなってくれるのなら本望(ほんもう)だ。


「ハク殿(どの)、それでピルピル草の栽培(さいばい)には目処(めど)が立ちそうなのですかな? 此度(こたび)もコリツノイモのような、まっこと素晴(すば)らしい逸品(いっぴん)がすぐにも食(しょく)せるかもと想像してみるだけで、生きることが楽しみになりますぞ」


「ちょっと族長サマ、そのようなことを簡単(かんたん)に言わないでいただけますか? ハクも私(わたし)たちも必死にやっているんですから」


「何をお前のような未熟者(みじゅくもの)が生意気を。ハク殿(どの)にかかれば、ピルピル草の一本や二本、容易(たやす)いに決まっておろう。ですよね、ハク殿(どの)?」


 呆(あき)れ顔(がお)のマーロンさんと、ニコニコ顔の族長。仲良く並(なら)んだ二人(ふたり)の圧が凄(すご)いったらない。どうすりゃいいんだよ、俺(おれ)は……


「努力はします、……が、どこまで期待に添(そ)えるかはわかりません。なにしろ今回は、見ず知らずの魔物(まもの)が相手となりそうで」


「ほう、魔物(まもの)ですか。して、それはどのような?」


「それがね、森に住んでるすばしっこい蟻(あり)なのよ。お父(とう)さ……、いいえ族(・)長(・)サ(・)マ(・)、何か森の蟻(あり)についての情報を存(ぞん)じ上(あ)げませんか?」


 別に堅苦(かたぐる)しく言い直さなくてもいいのに……。などと二人(ふたり)のやり取りを見ていると、不意に族長がポンと手を叩(たた)いた。それからしばし席を外し、古い文献(ぶんけん)のような冊子(さっし)を手に戻(もど)ってきた。


「こちらは……?」


「蟻(あり)とお聞きしてピンときましてな。その昔、西の大国でグレートアントが大量発生したとの記録がございまして、確かそのときの伝記が残されていたはずと。その一節がこの文献(ぶんけん)に載(の)っていたのを思い出したのです」


 数百年前、コーレルブリッツよりさらに西の大国で、グレートアントと呼(よ)ばれる巨大(きょだい)な蟻(あり)の魔物(まもの)が大量発生し、幾(いく)つもの大国を襲(おそ)ったことがあるという話は俺(おれ)も小耳に挟(はさ)んだことがある。しかしその蟻(あり)は一匹(ひき)が俺(おれ)の背丈(せたけ)の倍以上もあるような大型種で、大量と言ってもせいぜい数は5000。あの蟻(あり)玉を作った大量の蟻(あり)たちとは比べ物にならないほど少なかったと記憶(きおく)している。


 それでも共通点がないとは限らない。俺(おれ)は文献(ぶんけん)を受け取り、さっと目を通してみた。そこには族長の言うように、過去にターゲルという王国が滅(ほろ)びかけた歴史が淡々(たんたん)と綴(つづ)られていた。


「砂漠(さばく)の国より出(い)でし漆黒(しっこく)の悪魔(あくま)は、瞬(またた)く間(ま)に王国全土を飲(の)み込(こ)み、民衆(みんしゅう)を常闇(とこやみ)の地獄(じごく)へと突(つ)き落(お)とした。巨大(きょだい)な蟻(あり)は、尻(しり)から決して刻(きざ)めぬ糸を発し、口からは強力な粘液(ねんえき)を吐(は)き敵を絡(から)め取り、我々(われわれ)の仲間を一網打尽(いちもうだじん)にしてしまった……」


 なんだろう、変な違和感(いわかん)が。

 尻(しり)から糸、そして口から粘液(ねんえき)……。


 あの……、

 それって本当に蟻(あり)ですか?


「奴(やつ)らは町を破壊(はかい)し、そこに大きな繭(まゆ)を作った。しかし我々(われわれ)は見逃(みのが)さなかった。奴(やつ)らの繭(まゆ)は火に弱い。我(われ)らは敵の寝床(ねどこ)に火を放ち、奴(やつ)らともども討(う)ち死ぬ覚悟(かくご)で勝負に挑(いど)んだ。そして見事、悪を討(う)ち取(と)ることに成功したのだ」


 いや、繭(まゆ)って書いてますけど……。

 これ、もう蟻(あり)じゃない気がするんですけど!?


「我々(われわれ)は勝利した。黒光りする漆黒(しっこく)の肉体を燃(も)やし尽(つ)くし、我々(われわれ)は勝ったのだ。しかしその栄光も、彼(かれ)らの存在(そんざい)なくしては成り立たなかった。そう、彼(かれ)らの存在(そんざい)無くしては!」


 あれ、ここにきて新しい人物の登場!?

 って、もうページがないんですが……?


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