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元チート級暗殺者のもこもこ村開拓記 ~すでに2度死んでる最強の殺し屋ですが、新たな人生はもふもふケモナーさんに囲まれた優雅で静かなスローライフを送りたい!  作者: THE TAKE
第1章 村作り開始!

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第030話 超希少種


「おい、聞いたか。モリスの森の東側で、またゴールデンワイルドボアが出たらしい。しかも今回のは、以前とは比べ物にならないほどデカいらしいぞ」



 その情報は森の東側へクエストにやってきた冒険者(ぼうけんしゃ)によって目撃(もくげき)され、瞬(またた)く間(ま)に噂(うわさ)として広まった。しかも目撃(もくげき)されたボアは、以前マーロンさんによって倒(たお)された(※嘘(うそ)ではあるが)ものとは比較(ひかく)にならぬほどの大型種とされ、ギルドでは緊急(きんきゅう)の対応案件として冒険者(ぼうけんしゃ)たちが招集される騒(さわ)ぎとなっていた。


 言わずもがな、真実は冬支度(ふゆじたく)のためたらふくイモを食った結果、ボアボアがどっぷりと太ってしまったのが原因なのだが、しかしそれをギルドに報告するには時期尚早(じきしょうそう)な気がしている。さて、どうしたものか……。


「私(わたし)も緊急(きんきゅう)招集に応じてギルドへ行ってまいりましたが、皆(みな)さん酷(ひど)い慌(あわ)てようでした。我(われ)ら猫(ねこ)族がボアを管理していることになっているとはいえ、あれほど巨大(きょだい)なボアをどうにかできるものかと疑(うたが)いまでは消せずで……。このままでは、少なくとも数日のうちに冒険者(ぼうけんしゃ)たちがボアボアさんを討伐(とうばつ)にやってくるに違(ちが)いありません」


「う~ん、それは困(こま)ったなぁ。まだボアボアに死んでもらうわけにいかないし……」


 と言いつつ、ボアボアをチラッと見る。

「そんなッ!?」と悲しい顔をするボアボア。いや、さすがに討伐(とうばつ)させるわけにはいかないから安心しなって。


「また少し牙(きば)を拝借(はいしゃく)して提出しても誤魔化(ごまか)すことはできないかな? ボアボアも随分(ずいぶん)牙(きば)が伸(の)びて元に戻(もど)ってることだし」


「さすがに今度ばかりは難(むずか)しいかと。前回の討伐(とうばつ)(※虚偽(きょぎ)報告)も、本当はボアを討(う)ち取(と)り損(そこ)ねており、討(う)ち漏(も)らした個体が巨大(きょだい)化したのではないかと疑(うたが)う者もいると聞きます。今となっては確認(かくにん)の方法がないと言(い)い含(ふく)めているそうですが、今度こそ証拠(しょうこ)を提出しないと納得(なっとく)されないでしょうね」


「そっかぁ……。族長はどうするのが良いと思う?」


「我(われ)らはハク殿(どの)に従(したが)うまでのこと。ハク殿(どの)がギルドに真実を公表するというのならば、それに従(したが)うまでです」


「いやいやいや、だって俺(おれ)、実際はまだFランク(※1ランクアップした)なんだよ。そんな奴(やつ)がボアボアを従(したが)えてます、なんて言って、誰(だれ)が信じてくれるのよ」


「ならば代役を立てるほかありますまい。マーロンよ、できるな?」


 族長の問いにマーロンさんが驚愕(きょうがく)の表情を浮(う)かべている。なんだか面倒(めんどう)くさいことは全部マーロンさんに押(お)し付(つ)けてる気がする。ごめんなさい、マーロンさん。


「ですがお待ちください! もし我々(われわれ)が管理していると報告したとして、それはこの地にゴールデンワイルドボアが存在(そんざい)する事実を認(みと)めることになります。ゴールデンワイルドボアは、超(ちょう)が付く希少種です。その毛や皮、肉や牙(きば)などを狙(ねら)い、マイルネだけでなく他国からも冒険者(ぼうけんしゃ)たちがやってくるでしょう。それをどう対処(たいしょ)するおつもりですか!?」


 確かに彼女(かのじょ)の言うことは最もだ。

 ゴールデンワイルドボアはその存在(そんざい)自体が超(ちょう)貴重(きちょう)で、以前ギルドに提出した牙(きば)に関しても、恐(おそ)ろしい価格で取引されたと聞いている(※前回は討伐(とうばつ)隊の招集費用としてギルドに譲渡(じょうと)した)。管理している者がいると知っても、もしその存在(そんざい)が明らかになれば、命を狙(ねら)って忍(しの)び込(こ)もうとする輩(やから)は確実に出るだろう。


「ようやくボアと猫(ねこ)族の関係性が確立されつつあるのに、今ボアボアがいなくなるのは絶対に避(さ)けたい。こうなったら、俺(おれ)の方でなんらかの対策(たいさく)を打つしかないか……」


 しかしゆっくり考えている暇(ひま)はない。

 俺(おれ)は急ぎマーロンさんとギルドを訪(おとず)れ、実はゴールデンワイルドボアを猫(ねこ)族との間で管理していることを窓口(まどぐち)担当者(たんとうしゃ)であるローリエさんに伝えることにした。




「な、な、な、なんですって……? もう一度、仰(おっしゃ)っていただけますか……?」


「はい、ですから、我々(われわれ)猫(ねこ)族が管理していたボアたちの中から、新たにゴールデンワイルドボアが発生したと。しかし問題なく管理できているため、町を襲(おそ)ったりする心配はありません」


「そ、そ、そ、そんなことって、ご、ご、ご、ご、ゴールデンワイルドボアを管理って、本当にそんなことが可能なんですか!!?」


 居ても立っても居られず、ローリエさんが立ち上がったままビシビシとマーロンさんを指さしている。その姿(すがた)はもはや叱責(しっせき)されていると言っても過言ではない。


「は、はぁ……。特に問題なく、良好な関係を築けているかと」


「は、ははははは、ははは、ゴールデンワイルドボアって、少なくともBランク、しかも超(ちょう)巨大(きょだい)となればAランクでも討伐(とうばつ)不可って言われてる化け物級の魔物(まもの)ですよね? それを飼いならすって、猫(ねこ)族とはそれほどまでに強い種族だったのですか!!?」


 錯乱(さくらん)状態で手足をビシバシ動かしながら叫(さけ)ぶローリエさんに気付き、「なんだなんだ」と別の人物が裏(うら)から姿(すがた)を現した。


「ローリエくん、少々落ち着きたまえ。そんなに慌(あわ)てていては、皆様(みなさま)からまともに話を聞けんでしょうが」


 現れたナイスガイは、自分のことをロスカート・テーブルと名乗り、ローリエさんの上司だと挨拶(あいさつ)した。しかし……


「ま、マスター! と、突然(とつぜん)出てこないでくださいよ、また話がややこしくなる~!!」


 これは驚(おどろ)いた。

 どうやら彼(かれ)は、このギルドのギルドマスターらしい。


 飄々(ひょうひょう)としているものの、全身からは強者のそれが滲(にじ)み出(で)ており、恐(おそ)らくは過去それなりに名を挙げた冒険者(ぼうけんしゃ)だったに違(ちが)いない。身長は俺(おれ)よりもずっと高く、ことすれば威圧感(いあつかん)のある体格といっていい。また全体が青みがかった黒髪(くろかみ)に、前髪(まえがみ)だけが白髪(しらが)のメッシュ。左目は過去のものだろうか、縦(たて)に傷(きず)が入っており窺(うかが)い知(し)ることはできない。


「これはこれは、以前もお世話になったそうですね。確かお名前は……、そうそう、猫(ねこ)族のマーロンさんでしたか」


 ローリエさんの隣(となり)に腰掛(こしか)けたギルマスは、私(わたし)のことはテーブルと呼(よ)んでくださいと前置きしてから、いわゆる本物の顔を見せながら、マーロンさんに質問した。


「聞くところによれば、通常種の三倍はあるゴールデンワイルドボアを管理している、とか……。しかし妙(みょう)ですね。この短期間に、それほどまでに巨大(きょだい)な希少種が頻発(ひんぱつ)するものでしょうか」


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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