二話
僕は驚いて、返事が返ってきた方を見る。
すると、いつの間にか、そこには
黄金色の髪と耳をした少女と、み空色の髪と耳をした少女が立っていた。
「忘れの郷?」
「そう。ここは忘れの郷。」
「あんたは、迷い込んできたの?それとも........」
「自分からここに来たの?」
「それは..........分からない。」
「........」
「僕は、帰れるんですか?」
「それは.......」
「可能性はなくはないけど、帰れる可能性は無に等しいです。」
「......何故?」
「さっきも話した通り、ここは忘れられたものが流れ着く、忘れの郷です。」
「ここにいるってことは、あんたは忘れられてしまったってこと。」
「もしくは、自分から忘れられてしまいたいと強く願ったか。」
「あんたが自分から来たなら、誰かが思い出してくれれば帰れる。」
「だけど、忘れられてしまったなら。」
「残念だけど、帰れない。」
「...僕は、どうすれば?」
「あんたが帰りたいかどうかによるわね。」
「帰りたいですか?」
今は、帰りたくない。
この失われてしまった美しさが残る地を、
もう少しだけ、見てみたい。
「ここを見てから、帰るかどうか決めてもいい?」
「時間を置くと、帰れなくなる可能性が高まるわよ?それでもいいの?」
「お姉ちゃんの言う通りです。帰るなら来たばかりの今が一番いいんです。」
「それでもいい。」
「そう。ならあんたのガイドをしてあげる。」
「お姉ちゃんが行くなら私も行きます。」
「ありがとう。君たちの名前は?」
「あたしは、天雲 稲よ。よろしく。」
「私は、天雲 空です。よろしくお願いします。」
「あんたの名前は?」
「叶山 想夢だよ。よろしく。」






