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異界強制送還  作者: ヤッスー
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19話:正義の視点⑤

2件目の事件現場となった、奴隷商店前。

店の扉は閉ざされ、店主を失った店が営業されることはない。


「それにしても変な犯人っすよね。

 1件目は殴打による殺害。2件目は外傷無しで殺害方法は不明。

 3件目は長射程の狙撃。4件目こそ2件目と同様の手口っぽいっすけど

 こんなが手口バラバラな殺人犯も珍しいっすよね。」


「3件目が狙撃なのはターゲットが離れた場所にいたからだろ。

 その証拠に4件目の手口は2件目と同じだろ?

 つまりこの手口は近距離ターゲットがいないと使えないんだ。

 だから4件目の事件、犯人は自室にいた被害者に近づいてから殺したんだ。」


「おー、なるほどっすね。なかなかの探偵ぶりっすね、トーア先輩。」


「それくらいお前もわかるようになれよ、ザッシュ。

 2件目、4件目の手口が相手との距離に関係なく使えるんだとしたら、

 3件目でも同じ手口を使ってただろうぜ。

 …。」


突然無言になるトーア。


「どうしたのよ、トーア。急に黙っちゃって。」


「どうして、1件目の事件は殴殺なんだ?」


「えっ、どういうことっすか?」


「相手を殴るってことは被害者と犯人は至近距離にいたってことだ。

 ならなぜ、2件目での手口を使わなかったんだ?

 使えなかった?そうか!

 これではっきりした!やはり英雄ベイリーは異界人で間違いない。」


「ちょっと、1人で納得してないで説明してよ。」


「1件目の事件で2件目の手口を使わずに殴って相手を殺したのは、

 単純にその時点では2件目の手口つまり技能を使えなかったからだ。

 おそらく1件目の事件が起きたのはベイリーがこちらの世界に来てまもなくだ。

 だからまだスキルのことも技能のことも認識していなかった。

 そんな中、横暴な振る舞いをし子供を殴ったイアソ子爵を目撃したんだろう。

 何を思ったかは知らねぇが、ベイリーは力いっぱいイアソ男爵を殴った。

 それ以降は、徐々に自分の力を理解していったんだろうな。」


「なるほどっすね、結局、ベイリーの居場所は分からず終いっすね。」


「まぁ、そうだな。」


「そういえば、トーアさっき貴族の目論見がどうとかって言ってたけど

 あれって結局何だったの?」


「あぁ、それな。これはあくまで俺の推察だけど、

 この国の貴族や軍はとっくにベイリーの居場所を掴んでいると思う。」


「えっ!?どういうことっすか?

 それなら今俺らがしてるのは何なんすか?」


「ちょっと落ち着け。それも今から話すから。

 今この国の貴族と市民の関係は過去にないほど悪い。

 常に緊張状態で、いつ暴動が起こってもおかしくない状況だ。

 それを貴族は軍などの武力によって無理やり抑え込んでいるんだ。

 そんな状況でベイリーが現れた。ベイリーは貴族や奴隷商を殺害した。

 貴族に虐げられ続けた市民たちにとってベイリーは自分に代わって

 恨みや鬱憤を晴らしてくれるまさしく英雄のような存在となり希望となった。

 一方で貴族はベイリーが現れたことで

 市民を武力で押さえつけれなくなることを恐れた。

 貴族にとっては英雄ベイリーという存在は許容できなからな。

 そこで俺たちに邪魔者の排除を依頼したんだ。」


「うーん。ここまではわかるけど…。

 なんでベイリーの居場所を掴んでるのに私たちに探させるのよ。」


「今、英雄ベイリーという希望が奪われたら、

 それも貴族の手によってとなればもう市民が黙っていないだろう。

 今度こそ捨て身で暴動を起こされかねない。

 とはいえベイリーの存在は捨て置けない。

 だから俺たち入界管理局が勝手にベイリーという異界人を処理したと

 市民に思わせたいんだ。

 そのために、俺たちに居場所の調査からさせて

 入界管理局は独自に動いていると市民に印象付けようとしたんだ。」


「マジっすか…。先輩。やっぱり今回の任務、俺気が乗らないっす。

 俺にはベイリーってやつが危険な奴だとは思えないっす。

 むしろ悪いのは貴族連中でベイリーはまさに英雄じゃないっすか!」


「ザッシュ…。」


トキナもザッシュの意見に共感できる部分があるようだ。


「確かに、ザッシュの言う通りかもな。

 俺もこの国は変わる必要があるとは思う。 

 だけどそれは英雄ベイリーではなく

 この世界の人間の手によって行われるべきと思う。

 それにどんなに正しい行いだとしても

 人の命を奪い続けているヤツを見逃すことはできない。

 そうだろう?」


「トーア先輩…。

 わかったっす。俺も入界管理局の一員として任務は最後までやりきるっす。

 ただ気が乗らないってのに変わりはないっす。

 この国の貴族どもは気に食わないっす。」


3人の間に重たい空気が漂う。


「それでトーア、この後はどうするのとりあえず聞き込み?」


「いや、俺にちょっと考えがある。」

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