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異界強制送還  作者: ヤッスー
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13話:侵略村 完

差形を元の世界に送り返してから5日後、トーアたちはユニオン本部まで戻ってきていた。

戻って来るや否や、レヴァンはユニオンの局長級会議があると言って、足早に仕事へと戻っていった。


トーア達3人が入界管理局の部屋まで行くとナヴィーが皆を出迎えた。


「みんな、本当にお疲れさま。

 あなたたちのおかげでヒューブリッツは、この世界は守られたわ。」


ナヴィーの言葉を受けて、ザッシュとトキナは気恥ずかしそうにしている。

そんな中、トーアは悔しそうに答えた。


「俺は何もしてません。いや、できませんでした。

 トキナにザッシュ、そして局長。みんなが必死に戦っている中

 俺は後ろで守られているだけでした。

 だから、俺は別に…」


悔しがるトーアにナヴィーは優しく声をかける。


「トーア君、あなたがいたからサガタを送り返すことができたのよ。

 あなたという勝ちへの希望があるから、

 トキナさんもザッシュ君も命がけで戦えるの。それだけは忘れないで。」


「はい…」


それでも悔しそうな様子のトーア。

気まずくなったのかトキナが口を開いた。


「そういえば、あの後、村の人たちはどうなりました?」


「そのことなんだけど、各村の支配されていた人は

 ヒューブリッツ軍に拘束されていたのだけど、あなたたちの活躍の後

 無事に解放されたようよ。目立ったけが人の報告もないらしいわ。

 それに行方が分からなくなっていたウチの調査員2名も無事に見つかったわ。」


「よかったー!正直、ギゼルに着いてからはサガタに気を取られて

 調査員の方たちのことは忘れてしまっていました。

 無事で本当に良かったです。」


「ただ…、拘束されていた人達のなかで

 突然亡くなった方がいたようよ。それも2人。

 場所は違うけど、亡くなった時の様子が酷似しているらしいの。

 2人とも手首から先がなくなっていて、死因は失血死らしいわ。」


「それは…、それはサガタのスキルによるものです。

 上手く言えませんが、サガタが受けた怪我の肩代わりをさせられたんです。」


「そうらしいわね。話はレヴァンさんから聞いてるわ。

 突然、魔力欠乏を訴える人もいたらしいけど、それもサガタが原因らしいわね。

 つくづく異界人の持つスキルはとんでもないわね。」


ナヴィーの話を聞いて、トーアは少し安心していた。


「そうですか。じゃあ局長は最後の賭けに勝ったんですね。」


「賭け?なんのこと?」


「いえ、なんでもありません。」


「そう。あとこれはついさっき聞いた話なんだけど…」


そう言ってナヴィーは事件後の状況について教えてくれた。


ナヴィーから告げれらた内容はあまりにも後味の悪いものだった。

それは支配されていた人同士で争いが多発し、後を絶たないということ。

また、差形に支配された直後に自分の母と妹を支配したという

ギゼルの女性はトーアたちが村を発った後、

支配から解放された妹によって刺されたということだった。


「そんな…」


同じこの世界の人間同士による悲しい出来事にトキナは口を押えて驚く。


「サガタがいなくなっても、彼らが自分たちの意思で他人を支配し

 言いなりにしていた事実が消えるわけじゃないわ。

 サガタがいなくなって、再び対等な立場になった時

 自分たちを支配してた人に復讐しようとする人がいても不思議ではないわね。」


「でも、その人たちだって他の誰かを支配していたんじゃないんですか?」


「そうね、だから自分が狙い狙われる立場である人は殺気だっているでしょうね。

 その結果、必要のない争いまで起きている。そんなところかしらね。」


「自分も酷いことをした自覚があるのに、それでも復讐をしようだなんて…」


「そうね、おかしいわよね。

 でもそれが人間なのよ。

 自分が他人にしたことは簡単に忘れるし、罪の意識だって忘れる。

 でも自分が他人にされたことはずっと覚えていて、

 その人のことを恨み続けるわ。」


「そうですね。

 今回の場合は自分を支配しこき使ったやつのことは許せないけど、 

 自分が他人を支配したことに対しては

 ”仕方がなかった”とかで罪の意識は薄いでしょうね。」


「そんな…」


やるせない顔をするトキナ。


「で、でもそんな人ばかりじゃないっすよね?

 ちゃんと自分のしたことを反省して

 自分を支配した人のことも許せる。

 そんな人だっているっすよ。」


ザッシュはトキナを励まそうとするが、

皆黙ってしまった。


「とにかくサガタが元の世界に戻って、スキルの影響もなくなったけど

 サガタが残した被害の爪痕は想像以上に大きかったってことね。

 それだけ異界人は脅威なのよ。

 私たちも気を引き締めなおさないとね。

 改めて3人ともお疲れ様。

 今日はもう帰って体を休めて頂戴。」


ナヴィーに促され、3人は自宅へと帰っていく。

何とも言えないやるせなさを胸中に抱えて。


差形は居なくなった。

しかし支配されていた人達が互いを許し、元の日常を取り戻すにはまだ時間が掛かりそうだ。





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