12話:侵略村⑩
トーア達の目の前で差形とレヴァンによる熾烈な戦いが繰り広げられる。
攻撃を食らってこそいないがレヴァンが押されているように見える。
「どうしたー、世界最強はこの程度か?
それじゃあこれはどうかな?
スキル『支配者』第二技能『傀儡支配』」
差形の左手から魔力の糸が伸びる。
糸は村の木や建物につながる。
「この糸はつながったものを生物、非生物問わず自在に操る。」
その言葉通り、糸がつながった建物や木が地面から引き剝がされ
レヴァンに向かって飛んでいく。
レヴァンは飛来物すべてを切り刻むが
すかさず差形が襲い掛かる。
差形がさらに攻勢を強めていく。
「このままじゃいくら局長でもきついはず。
俺たちで何とかしないと。」
「何とかって言っても私たちじゃどうしようもないでしょ。」
「トキナ、魔力どのくらい残ってる?」
「えっ、どのくらいってあと6~7割くらいは残ってるわよ。」
「よし、それならもう一度、断界防陣を張ってくれ
そうすればサガタに隙を作ることができるはずだ。」
「断界防陣を?あっ!そういうことね、分かったわ!
やってみる価値はありそうね。」
トキナは断界防陣の術式陣の中心に立つ。
「スキル『結界術』第四技能『魔力術式』」
そう言うと断界防陣の術式を中心に魔力が地面に広がっていく。
そして広がった魔力が村を覆うほどの巨大な術式陣を描き出した。
第四技能『魔力術式』はトキナの魔力を使い地面に術式陣を刻む技能。
事前の術式陣の準備が不要であり、かつ準備が困難な巨大な術式を刻むこともできる。
しかし魔力を使い地面に術式陣を刻むには膨大な魔力が必要となる。
「行くわよトーア!多分、長くはもたないわ。
隙を逃さないでね。
スキル『結界術』、第一技能:『断界防陣』!」
そうしてギゼルの村を覆うほどの巨大な結界が作り出された。
「ありがとう。」
トーアはトキナに感謝し、差形に向かって走り出した。
「おい、トーア!何か考えがあるんだろうな!!」
近づいてくるトーアに気づいたレヴァンは差形の攻撃を受けながらトーアに問いかけた。
「信じてください!」
今は説明している暇はない。
トーアは簡潔でそして十分な一言を叫んだ。
「おいおい、他人の心配するなんてずいぶん余裕だな!」
差形は思いきり魔力の剣でレヴァンへ斬りかかる。
レヴァンは右手の剣で咄嗟に受け止めるがそのまま剣もろとも
右肩を斬られてしまう。
「ぐっ!」
一歩退き、膝をつくレヴァン。
「お終いだ!世界最強!」
差形がレヴァンにとどめを刺そうと飛び掛かる。
その時
差形を覆っていた魔力がすべて消える。
「なにっ!?」
膝から崩れ、両手を地に着く差形。
「(なんだ!?何が起きた?
魔力の供給が止まっている?。)」
この隙に一気に差形へと詰め寄るトーア。
差形は起き上がりトーアを迎え撃つ。
「なめるなよ。異界の原始人が!
お前ごとき、他人の魔力なんて無くても十分だ!」
差形がトーアへ攻撃を仕掛けようとする。
その時、差形の背後にレヴァンが立っていた。
「なにっ!?」
咄嗟に振り向こうとする差形。
しかし、それより早くレヴァンの剣が差形を背中から貫く。
レヴァンはそのまま腹を突き破り剣を地面へと突き刺した。
「ガフッ、バ、バカな。
俺の技能を忘れたのか?
こんなことしても村の人間が死ぬだけだぞ。」
吐血し、息を切らしながら問いかける差形。
「そうだな。だからこれは賭けだ。
君のスキルは剣が体を貫いている今みたいに
被害が確定、完結していない状態では発動しない。
その可能性に賭けたんだ。」
「はぁはぁ…、サイコパスが…」
ついにトーアが差形の目の前にまで近づき、右手で差形に触れる。
「お終いだ。サガタ!
俺たちの世界から出ていけ!
『異界送還』!』
差形の体が白く光り始める。
「ぐっ、ちくしょう…」
差形は一言つぶやくと全身が光に包まれた。
光は天に向かって登り、消えていった。
後にはレヴァンの剣だけが地面に突き刺さっていた。




