第93話 手で抜くのは得意
「出でよ! 女悪魔!」
俺が叫ぶと、目の前に大きくて真っ黒な球体が現れた。
そして、その球体はだんだんと女性の形になっていき――。
女悪魔が出現した。
「ヒーハー! 我こそが異界ヴェーヌスベルクの女王! 淫蕩の女神、ヴェヌスじゃー!」
そいつは名乗りをあげるが……。
「ヴェヌス? 聞いたことないなあ」
そもそも、俺は悪魔とか詳しくないしな。
「いやいや、慎太郎、有名やないか。ほんまに知らんのか?」
「全然」
「ヴェヌス、言い方を変えればヴィーナスや」
「へ? あの美の女神、ヴィーナス!? え、あれって悪者だったの?」
「ほんまに知らんのか! 教養がないんやなあ。ヴィーナスはローマ神話の女神や。でもな、キリスト教から見たら異教の女神なわけや。あの有名なドイツの作曲家、ワーグナーの手によるオペラ、『タンホイザー』って名前くらいは知ってるやろ?」
「うーんどうだろ、マ〇カネタンホイザは知ってますけど」
「ウ〇娘の知識やないかい! その名前の元になったオペラや。ええか、ハインリヒ・ハイネの『ドイツの宗教と哲学の歴史について』によると、『タンホイザー』に登場する淫蕩の女神ヴェーヌスはベルゼブブの娘とされ、タンホイザーによって「女悪魔」(Teufelinne)と呼ばれる[8]。……ってことや」
「[8]ってなんですか、wikipediaをコピペするのはやめてください手抜きです」
俺の言葉にレイシアが卑屈な笑みで、
「手で抜くのは得意ですよ、へへへ」
「レイシアは黙ってろ。……いや、あとで頼むわ」
「頼むんじゃない!」
桜子が俺にカーフキックをお見舞いする。
「ぐえっ」
たまらずダウンする俺、最近はローキックよりカーフキックが主流になりつつあるよな。
いやそれはともかく。
目の前の女悪魔、ヴェヌスは……ロリだった。
どうみても十代前半にしか見えないけど……。
「ヒーハー! ふひひひひひ、この私を呼び出すとは、なかなかやるじゃない! あんたでしょ、ここのダンジョンマスターって! 冴えない顔してるわねえ、よわっちそう! ざぁこざぁこ! まあいいわ、私は偉大な悪魔! あんたみたいなザコに命じられるのは腹がたつから、あんた、私にお願いしなさい! ひざまずいて、ヴェヌス様、下僕の願いをお聞き入れくださいって誠心誠意頼むのよ! ざぁこざぁこ!」
おお、メスガキじゃん。
じゃ、わからせるか。
「ミカハチロウ、やれ!」
「パオオオオオオオオオオオオオン!」
★
「ぎゃあああああ! そんなおっきいの、無理無理! ごめんなさいごめんなさいゆるしてぇぇぇぇ~~~ッ!」
「やめろおおおおお! 俺は〇〇ポじゃないぞ! やめ、俺の顔がそんなところにはいるわけない……うぷう……」
「ああああぁぁぁぁぁあぁあぁぁうあううあぁぅあうjぁぁぁあ! 俺の口からぁぁぁぁぁなんでこんな液体が出るんだぁぁっぁぁくせえええうぷぷもうやめもうむりりりりりりうぷぷぷぷ」
かなり凄惨な状況になったので、これ以上の描写はしない。
想像に任せる。




