第62話 GⅠ四勝
市生たち四人のパーティはなかなかやるなあ。
地下一階ではスライムやスケルトンとかの低レベルモンスター相手とはいえ、かなり熟練した動きでどんどん進んでくる。
「えーと、俺たちが今いるこの場所は地下十階だよね? で、やつらがここにたどり着くまでにこいつらをおしおきしちゃえばいいわけだ」
「せやな。ただ、あたしらもともといたダンジョンはアンデッドキングたるあたしが作ったダンジョンだったからアンデッドダンジョンだったけど、ここは違う。こいつが作ったダンジョンや。あ、ローションが手についてぬるぬるしちゃったわ」
正座させられている元ダンジョンマスタ―、レイシアの紫色の髪の毛で手を拭きながらご先祖様が言う。
このレイシアってやつ、バッファローみたいな角しているなあ。
その上、とんでもない恰好をしている。
なんとマイクロビキニなのだ。
なかなかいい身体付きをしていて、たゆんたゆんのおっぱいの先っぽを、ちっちゃい布がかろうじて隠している。
俺の視線はそのおっぱいに吸いつけられて動けなくなってる。
桜子がジト目で俺を見てるけど、まあほら、見るだけだし。
俺はレイシアのおっぱいに話しかけた。
「で、お前はいったいなんのモンスターなんだ?」
「私は……悪魔なんですぅ……」
俺はおっぱいに話しかけたのに、返事をしたのはおっぱいじゃなくてその上についている頭部の方だった。
「ふーん。なんの悪魔や?」
「はい、もともと私はサッキュバスでぇ……」
ほお。それはなかなか……。
確かに、言われてみれば妖艶な雰囲気を持っているなあ。
人間で言えば二十歳そこそこくらいの見た目かな?
犬で言えば二歳くらいか。
馬で言えば五歳だな。
キタ●ンブラ●クだったらGⅠ四勝しているくらいの、つまり一番脂の乗り切った年齢だ。
で、サッキュバスってことは、つまり、エロい悪魔だよな。
「でも、私は悪魔の中では未熟で……マPもあんまりなくて、強い悪魔もあんまり呼べないし……。弱い悪魔は倒してもろくなアイテムをドロップしないみたいで、探索者がほとんどこなかったんですぅ。だから、人間と組んでおびき寄せてもらってたんですぅ……」
マPとか久々だな。
マナポイントのことで、そのポイントを使ってダンジョンにモンスターを呼び寄せたり、トラップを設置したりするのだ。
ほのかさんが不思議そうに聞く。
「ん? でも女の子をレイプして子供を産ませていたんでしょ? で、それを食べてたんでしょ?」
「はいぃ……。私、妊娠期間を一週間に短縮させられる魔法を使えるのでぇ」
ご先祖様の目がピカーッと光ったのを俺は見逃さなかった。
「なんや、こいつ使えば桜子だけで百人いけるな……」
などと呟いている。
馬鹿な、子供一人育てるのにいくらかかると思ってんだ。
桜子もそれを思ったのか俺に聞いてくる。
「慎太郎、年収どのくらいいけそう?」
……聞いてくれるな。
男の価値ってのは年収じゃないんだ、どのくらいでっかい夢を持っているかで決まるんだ!
「まあ私は悪魔なのでぇ。人間は普通に食べますぅ」
レイシアのおっぱいをガン見している俺の視線をさえぎるように桜子が俺の前に立った。
あ、くそ、見えない見えない。わざとだなこいつ。
桜子は低い声で言った。
「サッキュバスってそういうものだっけ? 男を惑わすのがサッキュバスでしょ? まさか慎太郎を誘惑したりしないでしょうね」
「私、サッキュバスとしてはポンコツなのでぇ、いまいちそういうの、苦手なんですよぉ。っていうか、男の人が苦手でぇ……なんとかしようと思ってこういう恰好してるんですがぁ……」
いやいや、ポンコツってことはないだろ、実際俺の目はおっぱいに吸い寄せられてたし。
そうか、実はこいつは一流のサッキュバスなんだ、だから俺はついついおっぱいを見てしまっていたんだ、俺がスケベなわけではなく、こいつの力が強すぎるせいで……。
いや待て待て、全然話が進まんぞ。
仕切りなおして、俺はレイシアに尋ねる。
「で、このダンジョンは結局どんなモンスターが呼べるんだ?」
「悪魔とかそれに類するモンスターがよべますぅ」
なるほどなあ。
じゃあ、マPで悪魔を呼んであいつらをぶっ倒せばいいわけだな。
そういや、俺って今マPをどのくらい持っているんだろう?
見てみよう。
俺は叫んだ。
「ステータスオープン!」
お読みいただきましてありがとうございます!
こちらの方の新連載もはじめましたのでよろしかったらどうぞ読んでください!
おっさん、異世界でうっかり救世主認定される。俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな
https://ncode.syosetu.com/n5975km/




