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「……死んだ」
魔力量を間違えて無茶して体を動かし、バランス崩して顔から地面にダイレクトアタックした。
それが地味に痛い。
慣れないことを調子に乗ってするもんじゃない。
ゲーム内にもなかったリアルな感触が楽しくて、つい乗りに乗ってしまった。
「けど」
着いた。
と思ったけど。
「村?」
マップ再確認した。
領内ではあるけど、最端の村みたいだな。
「にしても、んー」
はじめての村にしては、貧困そうな小さく、あまり発達もしてないような。
とりあえず入ってみよかな。
「ちょいと待ちな」
野太い声が聞こえた。
ガタイがいい男性。
「村の方ですか?」
「そうだ。門番みてぇなもんだ」
みたいってことは、役割は固定してないのか?
「お嬢ちゃんはこんなとこで何してる?」
「お嬢ちゃん……あ、少し迷いまして」
「こんなところにか?」
一瞬、自分が女の子だと忘れて反応が鈍くなってしまった。
怪しまれなかったかな?
いや、怪しいだろう。
一人で、まさしく辺境のさらに端にある“こんなところ”だから。
「そうなんです」
「見たところ、よそから来たんだろ?あっちの村か?」
「いえ、砂漠方面です」
「は?」
めっちゃ訝しがれました。