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「モーラーワーム、ここの畑を耕して」
頷き、畑に潜っていく。
モーラーワームはモグラとミミズのハイブリッドモンスターだ。
土を掻き分け害を成す生物を食べ排泄し、それを混ぜながら土をほぐす。
排泄物は土に栄養となり、作物を育てやすくなる。
畑の神様とはこの子のことだ。
「というわけで」
畑はモーラーワームに任せて、村長に説明する。
「ということです」
「なるほどな。それなら……」
「僕にできるのはここまでです」
「いや十分過ぎるほどだ。助かる」
あまりやり過ぎても、僕がいなくなった時に困るだけ。
だから僕がいなくなっても困らない程度に助けるまで。
「よし、戻れ!」
モーラーワームが土から出てきた所で召喚解除する。
「では僕はこれで失礼します」
「もう行くのか」
「はい。やりたいことができたので」
「そうか」
僕はその場を後にする。
「おい」
「ん?」
門番の人が声をかけてきた。
「なんでしょう?」
「さんきゅな」
「どういたしまして」
もう振り向くことなく、僕は村を後にした。
……嘘、子供達が気になって少し振り向いた。
だって、ほんの少しとはいえ、楽しかったかのだから。