16
なぜこの世界に来てしまってのか、それはわからないし、今すぐ知ることもできない。
少しずつ情報を集めるしかないだろう。
今はこの世界でどうやって生きていくかだ。
魔法ならなんでもできる。不可能なことはあるとは思うけど、生きるだけなら不都合はないはずだ。
ここまでゆっくり考えられなかったから、ちょうどよかった。
村の人にお礼しないとな。
ウインドウ見ながら考える。
ステータスやアイテム一覧、魔法一覧に召喚魔一覧と他にもあるが、音量や画面の明るさなどの設定変更は消えてる。
それもそうか。現実の世界なのに、ゲームみたいに変更できたらバグだよな。
それはそれでおもしろそうだけど。
まぁ、魔法ならできそうな気もしないでもない。
気が向いたらやってみようかな。自分の体をいじるから、あんまり無理はできないけど。
「……あ」
そういえば、アイテム一覧があるということは、武器とか装備品もあるわけで……取り出せるのかな?
手で触れないから、選択ができない。
目で追ってもカーソルが出るわけでもない。
これも魔法の要領でいいのかな?
思考するだけでいいのかな?
とりあえずやってみる。
「取り出す……取り出す」
暗示のように繰り返す。
適当に選び、呼び出す。
「出て来い、豊穣の杖、フレイティア!」
……出て来ない?
と、思ったところで突き出した手の前に出てきた。
それを慌てて受け取る。
「おおっとっ。……おお」
今日イチの感動だった。