12
居間に通された。
「そこに座ってくれ」
家具とかはなく、地面に座るようだった。
なんか異世界というより、ド田舎に迷い込んだ気分だった。
「何もない所だろ」
「確かに」
「がはっ、正直な小娘だ」
なんか笑われた。
鏡がないから自分のこと確認できないけど、やっぱり僕女の子になったのか。なんか複雑。
「わたしは村長、ガムレスだ」
「僕は……」
そういえば名前、どうしようか。
まさか本名にするには……ゲーム名でいいか。
「エルです」
「エルか。良い名だ」
男性アバターの時の頭文字取っただけだけど。
「褒めても何も出ませんよ?」
「おなごを褒めるに見返りは期待しておらんさ」
なんて紳士な。
「それで、この村には何用だ」
「迷ったので、少しの間ここに居させてほしいのですが」
「ふむ。そうさせてはやりたいが、見ての通り蓄えも少なくてな。村の住民だけでやっとなんだ」
そうだろうな……。
「だが、子供一人くらいならなんとかなるか」
「よそ者ですよ?」
「気にするな。遠慮はいらん」
子供だからって信用できるものなのか?
「そうですか……でしたら」
「なんだ?」
「寝れる場所だけ貸してください」
「飯はいらんのか?」
「はい」
「遠慮はいらんぞ?」
「ご飯は自分で調達しますので」
「見たところ手荷物もなし、どうするつもりだ?」
「この辺の狩場など教えてくだされば、そこで……」
「なるほどな」
周辺、村の奥の方には森がある。
そこにモンスターや動物がいるはず。
なら、そこで狩りしたらば、自給自足ができる。
「ダメだ」
ダメだった。