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屍の声  作者: もちづき裕
船の謳
83/106

第十二話

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

「玉津先輩は・・」

 私はミス聖上でもある寒河江先輩に向かって言いましたとも。

「2階の会議室で、今後の町おこしをどうするべきかという議論を戦わせていますけど」

「あの玉津くんが?嘘でしょう!」

 ミス聖上は驚きを隠せない様子で私を見ると、

「私もその議論に参加をするから、その会議室まで案内しなさいよ」

 上から目線で命令をして来たんですよ。


 なんか分からないんですけど、なんか分からないんですけど。

 玉津先輩が絡むと、女性という女性が敵意を感じる眼差しでこっちを見るようになるのは何故?


「使っている会議室は一つしかないですし、その会議室に玉津先輩は居るので迷うことはないと思いますけど?」

「ねえ?あなた?私のことを馬鹿にしてる?」

 私はミス聖上の何かのスイッチを押してしまったようです。

「あなた一年よね?ゼミにだってまだ入っているわけじゃないわよね?だというのに何で波羽美町まで来ているの?」

 怒涛の如く先輩は大声で私を罵り出したのです。

「まさかストーカー?玉津くんのストーカーなの?はあぁ?本当に信じられない!良くある、ちょっと優しくしてもらっただけで勘違いする痛い女になってない?そもそも玉津くんに近づく前に自分の顔をじっくり見たらどう?あんたみたいなブスが近づくだけで玉津くんの迷惑になるってこと!分からないかなあ!」

 

 私、小舟を抱えて廊下に佇んでいたんですけど、半泣き状態になっております。


「酷い・・ストーカーだなんて・・私は巻き込まれただけで!先輩のご両親からもくれぐれも宜しくと頼まれたから!ここに来ているだけなのに!」

「妄想がすごーい!妄想するにも程があるって!なんで玉津くんのご両親とあなた如きが交流するの?嘘をつくのも大概にしたほうが良いわよ?このブスが!」

「またブスって言われた!生まれて初めてブスって言われた!酷いですよ!他人の容姿を貶しちゃ駄目だっていう教育を受けたことがないんですか?」

「ブスにブスって言って何が悪いのよ!ブス!」

「ミス聖上の性格が悪すぎるー!帰ったら友達の由美ちゃんに言ってやる!」

「言えばいいじゃない?どうせあんたの言うことを信じるわけがないもの」

「由美ちゃんは私の親友ですー!絶対に信じてくれますー!」

「無理むり、あんたみたいなブスの言うことを聞く奴いないって!」

「酷いー!本当に酷いー!」


 役場の廊下でギャアギャア騒いでいるので周囲の視線がこちらの方へと集まり始めております。木製の小舟を小脇に抱えたまま背中に冷や汗が流れていくのは何故?

 絶対に、悪いのは性格がド腐れ女のミス聖上だっていうのに、何でみんな、私が悪いみたいな眼差しで見るの?


「天野さん、何をしているの?」

 階下の騒音に気が付いた様子で玉津先輩が2階から降りて来たんだけど、そしたらミス聖上ったら涙をポロリと流しながら、

「玉津くん!助けて!さっきからあの娘が酷いことばっかり言うの!」

 と、先輩に向かって言い出したのよ。

 うわー、マジか。ミス聖上って、演技をさせたら右に出る者はいないほどの悪女なんだな。


「私ね、昨年の大学祭でミス聖上に選ばれたでしょう?だけどあの娘は他の人に投票をしていたものだからミス聖上に選ばれた私のことが最初から気に食わなかったのよ!」

 え?なに?

「自分が投票した人が選ばれなかったのは私の所為じゃないのに!逆恨みにも程があるとは思うんだけど、性格ド腐れ女とか、演技をさせたら右に出る者はいないほどの悪女とか言って、日頃から誹謗中傷を続けているのよ!」

 え?なに?なに?なに?なに?

 怖い!怖い!怖い!怖い!

 頭の中身を読まれたみたいで、めっちゃ怖いんだけど!周りの人間は寒河江先輩の言うことを信じこんでいるみたいで私のことをそれは白い目で見つめているのですけれども!


「先輩!私はそんなことは(心の中で思っただけで)口に出して言っていません!」

 寒河江先輩を腕にぶら下げる玉津先輩に向かって必死に叫んでいるのに、私の思いが通じているようには思えない!

「最初にブスって言ったのは寒河江先輩の方ですよね?最初に喧嘩をふっかけて来たのは寒河江先輩じゃないですか!」

「ブスにブスって言って何が悪いの?」


 そしたら近くのトイレから出て来た聖上大学生らしき人が言い出したのよ。

「寒河江さんは大学のミスコンに選ばれるほどの人だし、そんな人と比べたら君なんて地中に潜っているミミズも同然でしょう?」

「ミミズ?私に向かって今、ミミズって言いました?」

 失礼にも程があるでしょう!私がみみずならお前はアリンコ以下だろう!このバカが!


「高野くん、その女、高野くんに向かってアリンコ以下だって言っているみたい」

「はあ?アリンコ以下だって?」

 言ってない、言ってない。心の中で思っただけで口に出して言ってないって!

 怖い、怖い、怖い。

 今現在、玉津先輩の腕に自分の腕を絡めて勝ち誇った笑顔を浮かべている女が怖い。


「あああ〜、もう無理かもー〜」

「うん、無理だよねえ、わかるわかる、さつきちゃんの気持ちは良くわかるよ〜!」


 そこでOBの槙野さんがタバコの煙みたいなものを吸い込んで思いっきり吐き出すと、何かの呪文を口の中で呟きながらパンッと手を叩いたのよ。

 槙野さんが手を叩くとミス聖上がパタリとその場に倒れて、私のことをミミズ呼ばわりした人はトイレへとUターンをして、

「ウエエエエッグゥウエエエエッ」

 何だかよく分からないけど嘔吐しているみたい。


まだまだ残暑が続く日々の中、今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!

もし宜しければ

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