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屍の声  作者: もちづき裕
船の謳
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第十一話

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 過疎化が進んでいる市町村の町おこしが、キンキンの課題になっているというのは授業で勉強をしているし、民間伝承や神話を資料の一つとして、一般の人々の日常生活や文化を研究することになる民族学科の学生が、地域おこし協力隊という制度を利用することもあるという話も聞いていますよ?


 地域ブランドの育成や農林水産業に従事をしながら、先祖代々行ってきた生活関連活動やその土地独特の風習を研究して後の世代へと繋げていく活動をしているという話も聞いたことがありますしね。


 聖上の学生の中には研究対象だったその土地に移住する人も多いみたいだし、OBの槙野さんみたいに伝手とコネで町役場に就職を決めちゃう人も多いことから『聖上大学は公務員に強い!』という話にも繋がるみたいだしね。


 詞之久居町は波羽美町から北に60キロほど移動した場所にある古くからある港町で、近海に風光明媚な島がポツポツ浮かんでいる関係から『映え写真が撮れるんじゃないか?』『島の近くを船で回るツアーを企画したら外国人観光客は食いつくんじゃないだろうか?』

『観光客が増えれば、都心からの移住者が増えることになってカフェや古民家を利用した宿泊施設が増えることになるんじゃないか?』と、詞之久居町からやってきた役場の人たちは考えているみたいだけど・・


「ただし、うちの場合は近海に浮かぶ島が江戸時代、藩が流刑島として利用していた島なんですよ」

 と、白髪頭の中村さんが言い、

「もう一つの小さい島は首切り島とも呼ばれているんです、かなり縁起が悪い名前ですよね?」 

 と、三十代くらいに見える佐藤さんという役場の人が言い出したのよ。


 朝も早くから起床をして始発に乗って移動をして七回乗り換えをしてパリピのビーチまでやって来たというのに、漁村の町おこし企画を全く関係がない人文学部民族学科一年の私が関わる理由があるのだろうか?


「あのー〜、すみませんー。お話、長くなりそうですよねえ?」

 そこで私は勇気をふり絞って声を上げました。

「まだ一年の私には関係ない話だと思うので、ちょっと席を外して(パリピのビーチの方に)出かけても宜しいでしょうか?」


「天野さん!」

 そこで隣に座っていた先輩が真面目な顔で言い出したのよ。

「一年生のうちからこういうことは勉強しておいた方が良いんだよ!」


 するとOBの槙野さんまで前のめりになりながら言い出したのよ。

「そうだよ!さつきちゃん!これから単位を獲得していくためにもこういったフィールドワークに入る前の事前準備みたいなものを予め覚えておいた方が良いんだよ!」

「いや、でも、わざわざ夏休みに?わざわざしなくても良い勉強をするというのも〜」


 ここで中村さんと佐藤さんは、先輩の隣に座る私の方にようやく視線を向けたわけですが、頭にハテナマークが浮かびまくっているようです。

 そこで慌てた槙野さんが言いました。


「この娘も聖上大学の生徒なんですけど、今回、玉津くんが移動する際の必要な要員として波羽美町へと来て貰っているので・・始発で移動して来たんだよね?」

「そうです!始発に乗って七回電車を乗り換えてここまでやって来ました!」

「うん、うん!疲れているんだね!そしたらそこの船を持って、外を見学して来ても良いんじゃないかな?」

「ええ!それじゃあ海水浴場の方に行っても良いんですか?」

「いいけど海には入らないでね!」

 海には入らないでね!の部分に槙野さんが圧を加えてくるし、

「天野さん、出かけるのは良いけど船は絶対に持って歩いてね、そうじゃないと人死が出るから」

 玉津先輩はよく分からないことを言い出すし。


 聖上大学は私立の割には授業料が安めだし、公務員への就職率が異常な高さを示していることでも有名な大学だということで、

「聖上大学だったら進学しても良いよ?」

 子供の安定した未来を望んだうちの両親は、地元を離れて上京することを許してくれたんだけど、お金も快く出してくれることになったんだけど。


 お祭りの企画にのめり込んだ末に移住、町役場に就職してその後結婚というOBの槙野さんをみていると、そういうパターンの就職も加えるから公務員の就職率が異常なほどに高いのだなと思っちゃうわけです。

「もう一つの小さい島は首切り島とも呼ばれているんです、かなり縁起が悪い名前ですよ」

 更にはそこに、スピ系ホラーが追加されるとなったら遠慮したくなっちゃいません?


 詞之久居町は港町だというし、そこには若くて格好良い漁師さんが山のように居て、

「君、聖上大学の学生さんなの?俺と一緒に船に乗って真っ赤な夕日でも見に行かない?」

 というナンパを受けたとて、その先にあるのは江戸時代に利用されていた流刑島と首切り島だっていうんでしょう?


「ないわ、ないわ、ないわ、ないわ」

 絶対に行きたくない、行くなら玉津先輩一人で行ってくれば良いのよ。私は波羽美町のパリピのビーチで遊んで帰るから。先輩が恐れて怯える木製の船を私は相変わらず抱えているけれど、何処かに置いたら呪われるとか言われたけれど・・


「私はビーチで遊びたいのよー!」

「あれ?天野さん?天野さんじゃない?」


 町役場の一階に降りて裏口の方から外に出ようとしたところ、後ろから声を掛けられたんです。波羽美町役場に私の名前を知っている人なんかいるわけがないと思っていたんだけど、振り返った私は思わずその場で飛び上がりそうになってしまったの。


「ああぁ!ミス聖上がここに居るなんて!」

「きゃっ!ミス聖上だなんて!そんな呼び方やめて!」


 昨年、大学祭を見学に行った私はミスキャンパスが誰に決めるのかということで一般客として投票を行っていたのです。残念なことに私が投票をした人は選ばれなかったのですが、圧倒的な票数でミス聖上に選ばれたのが今、目の前に立つ寒河江瑠奈さんで、

「さっき玉津くんの姿が見えたんだけど、また波羽美町に戻って来たの?彼、今は何処にいるの?」

 ミス聖上は凄い圧で質問をしてきたのです。


まだまだ残暑が続く日々の中、今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!

もし宜しければ

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