第七話
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「今年、神村ゼミは本当は他の場所でゼミ合宿をする予定だったのに、急にうちの『あぱっとねえ祭り』に来るとか言い出したでしょ?その時点で、絶対にまずいことが起こるとは思っていたんだけど」
大学のOBである槙野さんはタバコの煙を吐き出しながら言い出した。
「あ、これ、普段は吸わない奴、お祓いの意味で煙を吐いているだけだから、あんまり気にしないで」
そう言ってハハハッと笑い出した槙野さんは震える指に手巻きタバコを挟みながら、
「マジでヤバくないか?」
と、言い出したんだ。
海に飛び込んだ僕に飛びついて来たそいつは、完全に特級・・いや、特級超えて災害級かもしれない。真っ黒だし、真っ黒なのに腐っているのが分かるし、怨念とか凄いことになっているのが分かるし・・
「帰ります」
僕は槙野さんに言ったよね。
「これ、ここの土地に付属するものではないから、今すぐに移動したほうが良いと思います。もしかしたら移動中に途中で落ちるかもしれないし」
「途中で落ちるのかな〜?」
槙野さんは僕の後ろに取り憑く暗黒のグログロの塊の方を見ながら、スパスパ煙を吐き出しながら言い出した。
「まあ、一度トライするのもアリだと思う。ゼミの子で今すぐ出発するって言っている子たちの車があったから、とりあえずそこに乗せて貰ったらどうだろう?」
ほぼほぼ、半狂乱になりながら僕はこれから帰るゼミの先輩の車に乗せてもらうことになったんだけど、バンッ!5メートルも進まないのにタイヤがバーストしたんだよ。
その様子を見ていた槙野さんの友人が、慌てて帰ろうとする僕のために車を出してくれることになったんだけど、バンッ!5メートルも進まないのにタイヤがバーストしたんだよ。
「分かった、俺が駅まで送ってやる」
腹を括った槙野さんが交通安全のお守りを10個はぶら下げた自家用車で僕を迎えに来たんだけど、ようやっとそこで車は順調に走り出したんだよね。
「槙野さん、お願いだから僕を家まで」
「ごめん、玉津君。俺には妻と子がいるんだよ」
槙野さんはお祓い目的の薬草で作った手巻きタバコをスパスパ異常なほど吐き出しながら車を走らせ、僕を駅に下ろすと、
「多分ね、きみ、また戻って来ると思う」
と、言い出したんだ。
「次に戻って来る時には『導』が出ているはずだから、俺、とりあえず待っているよ」
教授に選ばれてここに配置された槙野さんはそれなりに見えるし、感じられる人なんだけど、謎の予言を残して逃げるように車で帰って行ったんだよね。
そんな槙野さんなんだけれども、
「はえー〜って!」
僕らを駅まで迎えに来た時に呆れ果てた様子で言い出したんだ。
「しかも彼女連れって、呑気か!みやすのんきか!」
槙野さんが芸人風のツッコミを入れている中、
「いや!私は先輩の彼女じゃないんです!」
天野さんは怒りの声をあげている。
「とにかくアホでパリピな先輩に頼まれてここまで来ることになったんですけれども!交通費と諸費用は先輩のご両親が払ってくれることになっていまして!」
「そりゃご両親も息子の命は大事だろうからねえ」
結局僕は、天野さんの家に一泊だけさせて貰った挙句(悪霊が怖すぎて一睡も出来なかった)親の命令もあって再び波羽美町までトンボ帰りすることになってしまったのだ。
槙野さんはお祓い目的のタバコを手に取って火をつけようとしたんだけど、ハタと気が付いた様子で僕の方を見た。
「え?もしかして途中で落とすことに成功をした?」
「いえいえ、まだついてきていますよ」
「ええええ?」
あたりをキョロキョロした槙野さんは、
「あっ!これだ!」
天野さんが抱えている木製の船を指差して、
「君だ!君!君がこれをやっているんだ!」
と、興奮した様子で言い出したんだ。
昨晩、線状降水帯に本気で怯えることになったわけなんだけど、
「先輩をこの場所から移動させれば洪水は回避出来るってことですよね?」
と言って天野さんが波羽美町への行き方を検索している間に雨は弱まり、うちの親から、
「さつきちゃん、悪いけどうちのバカに付き合ってくれたら交通費と諸費用はこっちできっちり持つから、波羽美町まで一緒に行ってあげてくれない?」
と、電話で言われてからは小雨となり、
「うわーっ!快晴だー!」
翌朝、外に出た時には快晴。外に待ち構えていた怨霊は天野さんが片手に持つ船の中へ移動してしまったのだった。怖い。
「君だ!全然気が付かなかったけど、君のおかげで大丈夫なんだ!」
「何が大丈夫なのかがさっぱり分からないんですけど?」
「玉津君の後輩というと一年生なのか!」
槙野さんはつくづく呆れ果てた様子で、
「ここまでそいつと一緒に来るの、大変じゃなかった?」
と、尋ねているんだけれども・・
「先輩のお母さんがわざわざ交通安全のお守りを持って来てくれたんですよ。それがあったからか電車の繋ぎもスムーズで気が付いたらあっという間にここまで到着しちゃったなって感じです」
「うぉおおお!この娘!強いわ!」
槙野さんはこの時点で天野さつきの強さに気が付き始めているみたいだ。
「まあ、正直に言って、先輩が馬鹿みたいにしがみついて来るのだけは大変でしたけど」
「えっ?でもさ、イケメンだよ?玉津君、他ではちょっとないくらいのイケメンだけど?」
「だからなんなんですか?」
天野さんの塩が酷い。
「可愛い後輩が一人寂しく家の掃除を続けている間、自分はパリピ生活をエンジョイしていたみたいじゃないですか?そんなに楽しいなら最初から誘ってくれても良さそうなものなのに!」
槙野さんは三秒ほど固まった後に、
「え?彼女とかじゃないんだよね?」
と、尋ねるので、
「違いますよ!同じ学部の後輩です!」
僕をおんぶ状態の天野さんが怒りの声をあげている。
残暑がまだ残る中での暇つぶしに!!今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!
もし宜しければ
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