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屍の声  作者: もちづき裕
船の謳
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第五話

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

「Hey! Taku! (ヘイ!タク!)」

「Bem Vindo ao NAUMI Cho! (ようこそ!波羽美町へ!)」


 結局、僕がアップした動画を見てオカルト好きの外国人は八人ほど日本を訪れることを計画することになったんだけど、実際に波羽美町のお祭りに参加をすることが出来たのはポーランド人のカミルとポルトガル人のジョアンの二人ってことになったんだ。


 波羽美町はローカル線の駅があるということもあって、外国人観光客を受け入れる土壌は出来ている。たとえ本数が少なかったとしても『秘境』を求めてツーリストは何処までも移動をするものなんだ。

『『Did you bring the mask of horror? (お前はホラーマスクを持って来たかあ?)』』

『Yep, of course! (もちろんだよ!)』

 母国語の言語も違う僕らが基本的に使うのは英語。もちろん日本人の考えるようなスマートなネイティブな発音の〜とかじゃないよ?英語が公用語に何故なったのかって(日本人にとっては言語の形態が違うから難しいけど)外国人にとっては覚えやすいし適当に話しやすいからさ。


 お祭りが行われる波羽美海水浴場まで僕を運んで来てくれたのはゼミの先輩たちだったんだけど、

「ああ、あっという間に玉津があっちの世界に行ってしまった」

「オカルトマニア?お友達の外国人もオカルトマニアなの?」

「勿体無い、あっという間に三人ともゾンビマスクをかぶってしまったからビジュ最高をエンジョイ出来なかった!」

 先輩たちの声なんか聞いてらんないよね。


 普通、民族学科のゼミ合宿なんていったら鄙びた山村でのフィールドワークを想像されると思うんだけど、そういうフィールドワークは個人でやるものとして、神村ゼミが合宿として取り掛かるのは大掛かりなイベント。


【あっぱとねえ祭り】


 あっぱとねえとはこの地域の方言で「慌てないで落ち着いて」という意味があるらしい。ちなみに昨年、神村ゼミの合宿が行われたのは棚田が有名な村だったらしく、そこで行われる【そこんとこ祭り】というものにも外国人観光客は山のように押し寄せたらしい。ちなみに【そこんとこ祭り】の意味は「静かにして」という意味があり、祭事が行われている間は言葉を発してはいけないという秘祭という部類に入るものになるらしい。


 僕よりも前に現地入りしていた彼ら二人はすでにボランティアのマークである会員証を胸からぶら下げていて、外国人向けのお祭りの受付を任されているようだった。

『いやー、日本は暑い、暑いと聞いてはいたんだけど、ここまで暑いとは思わなかったなあ』

 と、頭が禿げて皮膚が紫色に変色した奇抜なゾンビマスクをかぶるカミルが言うと、

『ほんと、ほんと、氷バケツがなければ受付の続行は完全に無理だったよ〜』

 と、頭がモヒカンで目玉が落ちかけたゾンビマスク姿のジョアンが、うちわをパタパタさせながら言っている。


 あぱっとねえ祭りは参加型の祭りなので受付でお金を払って船を購入すると参加券が渡されることになる。購入する船は支払った金額によって大きさが異なるので説明が必要!ということで、カミルとジョアンが早速ボランティアとして活動しているってわけだね。


 小学校の運動会なんかで用意されるようなテントの下には、小学校の会議室に置いてあるような長テーブルが用意されているんだけど、そこに外国人観光客用の受付として二人が並んで座っていたんだけれど・・

『えーーっ!氷バケツってなんだよ!ずるいよー!』

 彼らは短パンにTシャツ姿だったんだけど、氷も入れた水バケツに両足を突っ込んでいるんだよね。

 ゾンビマスクをかぶった僕が彼らの隣の席に座って文句を言っていると、

『¿Acaso Japón era un país que hacía fiestas de Halloween en julio? (日本は7月にハローウィンパーティーをする国だったのかしら?)』

 メキシコから来たご家族が、僕らを見下ろしながら困ったように笑っている。

 メキシコの人だったらジョアンにお任せ。ジョアンの母国語であるポルトガル語とメキシコの母国語であるスペイン語はめっちゃ似ているので、問題なく任せられるんだ。


 さてさて、この【あぱっとねえ祭り】は慌てないで、落ち着いてという意味を持つ7月盆の時期に行われる船祭りなんだけど、この周辺地域は8月にお盆を行うというのに、ここだけ7月にお盆のお祭りをするのは、

「失敗しても8月に持ち越せるから落ち着いて!」

 という意味があるらしい。


 まずこの波羽美町という町の紹介から始めることにすると、都心からは車で3時間はかかる場所にある港町も有する小さな町で、お祭りの時期になると外国人観光客が増え、地元のテレビ局が取材しに来るようになったのは、

「このお祭りは絶対に途絶えさせてはいけません!」

 と、うちの教授が言い出したから。


 元々、この地域の歴史を紐解いてみると、地震による津波が多く訪れるような場所だったということがすぐに分かるし、水難によって亡くなる人が多かったことから神を鎮めるための独自の祭事が発展していったということがすぐに分かる。


僕らが並ぶ受付テーブルの上には旅館で出される舟盛りに利用されるような大きさの木製の船が三種類並べられているんだけど、小さい物から三千円、五千円、八千円という値段が外国人観光客用に付けられている。


 ちなみに現地の人(波羽美町の住人)事前に購入するようになっていて(価格はかなり安い)ここで船を購入する人は観光客のみ。


 お盆で灯籠流しを行うように波羽美町では木製の船に人型の紙と供物を乗せて海に流すようなことを行うんだ。だから興味がある外国人観光客はここで自分たちが流す船の大きさや、何を供物として載せられるのかを確認する必要があるってわけだね。


 夏になると連日のように水難事故に遭って亡くなった人の情報がテレビで報道されるけれど、実際問題、水の事故で家族を亡くしたという人は日本でも日本以外でも、それなりの数の人がいるわけで、

『『『これで魂を供養出来るのなら』』』

 という考えでお祭りに参加をする人はそれなりの数居るし、そもそも船を購入した人は漁船に乗り込んで自分自身で船を海に流すことが出来るので、

『『『そういうことだったらやってみたい!』』』 

 と、考える人も多いんだよね。


なにしろ今は円安、他国と比べたら驚くほど物価安の日本では、外国人観光客の財布はかなりゆるゆるだからね!

『Was Japan’s Day of the Dead actually Halloween? (日本の死者の日ってハローウィンみたいなのね?)』

 金髪白人のお姉さんが声を掛けてきたらカミルとジョアンはさっとゾンビマスクを外しているよ!彼らの信念がその程度のものだってことは前から知っていたけどね!


 ちなみに海外にも先祖の霊を悼む日、死者の日という日本のお盆と同じような日はきちんとあるんだよ。ディ◯ニー映画にもなったあれはまさに「死者の日」をテーマにした物になるんだけれど、そんな死者の日とハローウィンは全く性質が異なる物になる為、

『Why Halloween? Doesn’t that miss the point? (なんでハローウィンなんだ!趣旨が違くないか?)』

 と、その後も言われることになるんだよね〜。


せっかくの三連休なのに外にも出れず、家に居るしかないってこともありますよね〜。そんな貴方の暇つぶしに!!今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!

もし宜しければ

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