第四話
お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。
民俗学とは、人々の日常生活や社会・文化に関する伝承を研究する学問。儀礼、信仰、祭り、衣食住、伝説、民話、生活用具、家屋など、古くから伝わる有形、無形の民俗資料から人々の歴史的転換点や文化の仕組み、価値や知恵をフィールドワークを用いて明らかにするとAIに問いかければすぐに教えてくれるよね。
都市部への人口流入が激しくなる以前から、僻地と言われるような場所から先祖代々伝えられてきた歴史や文化というものが失われて行って、
「あっ、これ、せめて文章にして残さないと大変なことになるんじゃないのかな?」
ということで、歴史の証拠として文章に残して来たわけだけれど、
「これ、ただただ研究して文章に残していくだけじゃあまずい地点に来ているんじゃないのかな?」
と、うちの教授はかなり早い段階から思っていたみたい。
日本という国は地形的に山は多いし、インフラの関係上過疎化になりやすい海岸部だって非常に多い。そんな不便な場所から脱出して都市部へ移住しようと考える人は団塊の世代と呼ばれる時代から山ほど出るようになって、都市部の人口流入は今現在もなお続いているような状態だ。
先祖から受け継いできた歴史を守るように、受け継いで来た土地にしがみついていた人達も年齢を重ねれば誰かの助け無くして生きてはいけない状態になるのだもの。そうして子供の住む街へ、施設がある町へ移動をしていくうちに廃村となる場所が山のように増えていく。そうして消えていくその土地固有の社会や文化、祭事は、超過疎地と言われるような場所に限らず、どんどん、どんどん、増えていくような状態で、
「こりゃまずい状態になったなあ・・まさか国としてここまで放置する結果になるとは誰もが思わなかっただろうしなあ〜」
ということで、うちの大学の名物教授と言われる神村教授は大学を利用して、その土地固有の社会や文化、祭事が後世にまで残るような活動をしているってわけなんだよね。
「玉津くん、君、今年の夏はオカルトフェスに行くつもりはないみたいだね?」
今年はチェコでやる予定だったオカルトフェスが主催者の都合でキャンセルになった三日後に、教授が僕のところまでやって来て言い出した。
「それじゃあ、今年は君、うちのゼミ合宿に参加したらどうだろう?海外のフェスに参加することを考えて早めに単位は取っておきたいとか何とか以前に言っていただろう?」
「そりゃまあ海外のオカルトフェスに行ったら2・3週間は滞在したいんで、進級に必要な単位は取れる時に取れるだけ取りたいですけど」
「それじゃあ海外にいるオカルト好きな人達に向けて、こんなフェスティバルが日本にあるよ!来てみて!って発信しておいてくれないかな?」
「えーっと」
その時、僕は半分腐りかけた容姿のゾンビマスクを装着していたのだが、
「いいですよ、発信するだけならいくらでも」
と、安請け合いをしてしまったんだよな。
今回、神村教授がゼミ合宿の場所として選んだ波羽美町には『あっぱとねえ』という名前の祭りがあり、町おこしも兼ねて十年以上も前から神村ゼミが介入し続けている船祭りの一つになる。震災の影響もあって祭りの存続が危ぶまれることにもなった『あっぱとねえ祭り』なのだけれど、このお祭り、途絶えさせてはいけないものだと教授は判断したらしい。
「今年は外国語が出来る学生はどんどん波羽美町にスカウトするつもりだから、玉津くんもそのつもりでいておいてね」
「要するに今年もまた、外国人観光客を呼び込むということなんですよね?」
「そうだよ、去年は有名なインフルエンサーが来てくれたおかげで大バズりしたんだから!」
忘れられてゆく民間伝承や文化を継承し続ける為には人々の注目がまずは必要だし、お金だって絶対に必要だと教授は考えているんだ。今現在、円安、自国と比べたら天国だと思えるほど物価安の日本にやってくる外国人は、とにかく、財布の紐がゆるい。そんな特徴に目を付けた教授は、町おこしの起爆剤となる祭りに外国人を利用することにしたってわけだ。
「おい!玉津!今年のゼミ合宿、お前も参加するって本当か?」
神村ゼミの先輩たちは僕が参加するってことでかなり驚いたみたいだけれども、
「英語が出来る奴が来てくれて本当に良かったよ!俺、書くのは出来ても喋るのはちょっとだからさあ〜」
と、言い出した。英語については書くのは出来ても喋るのはちょっと・・と言い出す人って多いよね。それじゃあ筆談みたいに書いて出せば良いじゃないかって思うんだけど、そういうことじゃないってことを知っている。
「ええ〜!玉津くん英語できるの?」
「助かる〜!」
英語は完璧に喋らなければならないと考えちゃうのは日本の受験方式にあると思うよ。一つ単語の順番を間違えればバツになる採点方式なんだもの。そりゃ、
「先輩たちも適当に喋れば案外通じますよ?」
と言っても、
「「「無理―〜!」」」
ってなっちゃうんだよなあ。
「玉津!お前、ゼミ合宿参加するんだって?」
「まさかお前、合宿中もゾンビのマスクをかぶるつもりじゃないだろうなあ?」
「汗で蒸れて大変なことになるよ!すぐに外すことになるんじゃない?」
「いや、僕はかぶりますよ!当たり前じゃないですか!」
海外にいるオカルト好きなグループに祭りの告知を行ったところ、早速、
「その日に合わせて日本に行くよ!」
「楽しそう!俺行ってみたい!」
と、言い出す輩も出て来たので、祭りの日はゾンビマスク愛好家で溢れるかもしれないもんな!
後輩である天野さんの生き霊騒ぎがあった時でさえ、
「いや、悪いけど、国外からお祭り目当てで友達もやってくるし、ゼミの合宿だけは天野さんを置いてでも行ってくるから」
と、僕は前のめりで言っていたんだけど、後から振り返って思うんだ。
「絶対にあの時点から呼ばれていたんだよ・・」
だってだよ?これだけ引きこもりで出不精の僕がだよ?
「いや、悪いけど、国外からお祭り目当てで友達もやってくるし、ゼミの合宿だけは天野さんを置いてでも行ってくるから」
なんて言うか?いや、言わねえよ。国外から友達が来たって、そっちはそっちで勝手に楽しむでしょうくらいのつもりで、
「後輩が大変だから、今回は招待した祭りに行けそうにないわ」
とか言っちゃうわ。
まさか問題の合宿で災害級の霊に目を付けられるなんて・・僕に起こった恐ろしいお話はもうちょっと続くことになる。
せっかくの三連休なのに外にも出れず、家に居るしかないってこともありますよね〜。そんな貴方の暇つぶしに!!今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!
もし宜しければ
☆☆☆☆☆ いいね 感想 ブックマーク登録
よろしくお願いします!




