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屍の声  作者: もちづき裕
船の謳
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第三話

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 パリピなビーチでアルコールを飲み、ビーチボールを使ってはしゃいで遊び、海にどぼーんと飛び込んだ先輩は無数の女性の手(幽霊の手)に引っ張られることになったそうです。

 そもそも神村教授のゼミ合宿とパリピのビーチが全く繋がらない状態なのですが、まずはベタな展開についてツッコミを入れることにしましょう。


「先輩、そんな良く聞くオカルト的な展開の話なんか聞きたくないですから!」

 私はゾンビマスクを装着したまま正座をする先輩に向かって言いました。

「夏には死亡事故も多い琵琶湖では、何かの霊に足を引っ張られたと言い出す人が大勢出て来るらしいんです!あれって琵琶湖の底に溜まった砂に足を取られて溺れた人が砂に絡まる際の感触がまるで誰かに引っ張られているように感じるから、錯覚してそんな風に考えちゃうらしいんですよ!」


 私はゾンビマスクを装着したまま正座をする先輩に向かって言いました。

「今年はいち早く阪神がリーグ優勝して道頓堀にダイブする人が複数人居たみたいなんですけど、道頓堀にダイブした人の中には、底に溜まった砂とかゴミに足を取られて水面へ浮上することが出来なくて死亡したという人も過去にはいるみたいなんですよ!」


 私は胸の前で腕を組み、胸を張って言いました。

「湖とかでも足を引っ張られて溺れて死んだみたいな話が多いですけど、やっぱり底に溜まった砂に足を取られて浮上出来なくなってという原因が多いみたいですよ?そう考えると先輩は酔っ払ってご機嫌で海にダイブしたわけですから、海の底に広がる砂に足を取られて溺れかけたってだけの話では?」


「それじゃあさ!」

 正座姿の先輩は不服そうに言い出した。

「僕を乗せて帰ろうとした車は全てが全て、バーストを起こすのは何故なんだ?」

「えーっと」

「仕方がないから電車を乗り継いで帰ろうとしたら、人身事故が五回、車両の故障が三回、バスのタイヤのパンクが二回、これはどう説明するんだよ?」

「えーっと」

「挙げ句の果てには突然起こった線状降水帯だよ。みてみろ、僕が君の家へ移動する方向へ雨雲が動いているじゃないか?まるで僕を追いかけるようにして動いているけど、どう説明してくれるんだよ?」

 先輩は私に向かってスマートフォンの画面に映る雨雲レーダーを見せている。

「たまたま」

「たまたまで、これほど僕を追いかけるようにして雨雲が動くのか!」

 私とゾンビマスクはしばらく睨み合っていたんだけど、そこでタイミング良く友達の由美ちゃんから電話があったの。


「由美ちゃ」

「さつき?ごめーん!明日のバーベキューなんだけど、線状降水帯が発生しちゃってキャンプ場自体が閉鎖している状態みたいなのね!せっかく予約してたんだけどキャンセルになっちゃったみたいなのよ!」

「由美ちゃ」

「バイト先で知り合ったカッコ良い男の子を紹介しようと思っていたんだけど、また、別日で計画するわ!そんな訳でよろしく!」

「由美ちゃん!」

「それじゃあね!また連絡するね!」

「由美ちゃーん!」


 一方的な会話で電話が切れてしまったんだけど、ゾンビマスクをした状態でも先輩がマスクの内側で皮肉な笑みを浮かべているのがよくわかる。

「僕が心霊現象に悩みまくっている中で、君は友達がバイト先で知り合ったカッコ良い男の子とバーベキューの予定だったのか!」

「いや!中止になったの、目の前で見ていましたよね?」

「雨が凄いもんねえ」

 ゾンビは雨が打ちつける窓の方を眺めながら言い出した。

「ここに停滞していたら、洪水で君のアパートは沈没するかもしれないよなあ」

「え?変なことを言うのはやめてくださいよ!」

「いや、本気で言ってんだよ」


 ゾンビは雨が打ちつける窓の方を眺めながら言い出した。

「関わった霊体が大きすぎて僕だけで対処は無理、うちの神社でも無理、天災を起こすレベルが関わっているから君に何とかして貰わないと」

「はああ?」

 ちょっと呆れちゃうんだけど!

「また巫女シャーマンがどうとか言い出す訳じゃないですよね?私、沖縄出身じゃないんですよ!」

「秋田出身でも巫女の家系は巫女の家系なんだって!」

「ちょっと待ってください」


 私はワンルームのボロアパートに住んでいるのですが、親が用意してくれた小さなテレビがあるんですよ。あんまり見ることもないテレビなんだけど、電源ボタンを押すと、丁度、線状降水帯を報道しているところで、

『大雨警報が出ている地域にお住みの方は早めの避難をお願いします、水嵩が増えていると感じている場合は2階に移動するなど垂直避難を推奨いたします』 

 大学の最寄り駅になる場所で報道をしているんだけど、マジで?


「いや、無理無理、天災レベルとか言われても知らないし」

「天野さん」

 先輩はゾンビマスクを外すと、正座姿のまま項垂れて言い出したのよ。

「君にこんなことを頼むのは本当にどうかと思うんだけど、君には件の漁村まで行ってほしいんだよ」

「はい?」

「僕を引き摺り出したいと暴れている怨霊が外にいるし、救いを求めている奴もいる。僕の勘では君さえ行けば何とかなると思うんだ」

「はああい?」

「僕はここでお留守番をしておくからさ」

 そうして先輩はいそいそと傍に置いていたスケキヨマスクをかぶり出しているので、思わず先輩の頭を引っ叩いてしまったのよ。


せっかくの三連休なのに外にも出れず、家に居るしかないってこともありますよね〜。そんな貴方の暇つぶしに!!今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!

もし宜しければ

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