第十七話
お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。
「キャーーーッ!」
私は悲鳴をあげました。
だって目の前には佐竹さんが!佐竹さんみたいなものが居るんだもの!
「誰か助けて〜!」
私が助けを呼んだ時の佐竹さんの顔ったら、それはそれは、とってもイヤラシイ〜下品な笑みを浮かべているのだもの!この人は真正だわ!真正の変態よ!
「ギャーーーッ!」
私が一人で叫んでいると、後ろからやって来た玉津先輩が何処から出したのか分からない瓶を逆さまにしてビシャッと真っ黒佐竹さんにかけたのよ。
「君は後ろに下がってろ!」
先輩はそう言って頭に被っていたスケキヨマスクを外すと、それを千切りながら何かの呪文を唱えている。何の呪文って、神社で唱える祝詞みたいなものなのだろうけど、内容はちっとも頭に入って来ない。
そうこうするうちに先輩は腰に差し込んでいたチャッカマンを手に取ると、千切ったスケキヨマスクに火をつけた。
先輩がかけた液体自体がアルコールだったみたいで、千切れたマスクは驚くほど良く燃え上がったんだけど、
『ギャァアアアアアアア!』
真っ黒佐竹さんが悲鳴をあげながら煙となって消えていく。
それを少し離れた場所から眺めていた私は思ったわ。
流石は神社の息子だけあるってね!
「先輩!除霊は出来ないって言っていましたけど、本当は出来るんじゃないですか!」
「除霊じゃないよ!お焚き上げだよ!」
先輩はチャッカマン片手に言いました。
「僕はお焚き上げしか出来ないんだよ!」
「それでも凄いですよ!佐竹さんを撃破したじゃないですか!」
「そりゃ、そろそろ来ると思ったから自衛の意味で用意をしておいたんだけど!」
先輩は目を大きく見開きながら、
「君には負けるよ、無理、無理、僕は君みたいには出来ないから」
と、言い出した。
これは後から知ったことなんだけど、通常、自分でお焚き上げをするとなると、白い布や紙で包んだ上で感謝の気持ちを込めながら焼却するそうで、
「それにしても・・スケキヨマスクが・・」
先輩は純白のスケキヨマスクを代用したっていうことなのよね。本当にどうかと思うんだけど、
「先輩、私、もしかして気が付かないうちにまた、何か変なことをしていませんでしたか?」
どんどんと不安が大きくなって来ちゃったわ。
「知らぬ間に外まで出て来ちゃっているし、見てくださいよ!私の足!」
片方はサンダルでもう片方はスニーカーって、一体どうしたらこんなことになるのかしら?
「君はさあ、巫女の家系だと思うんだよ」
「巫女?胡散臭いにも程があるんですけど?」
「だけどそうなんだから仕方がないじゃないか」
先輩はすっかりと晴れ渡った空を見上げながら言い出した。
「十人もの女性を殺した佐竹文彦は、殺した女性の魂までも雁字搦めにして身近に置いていたんだけど、それを君が、今さっき解放したんだよ」
「はああああ?私、沖縄出身じゃないですよ!」
「秋田出身でも巫女は巫女なんだよ!」
「どっかのファンタジー映画じゃあるまいし!」
「だけど本当に!君が十人の女性の魂を解放したんだって!」
ついさっきまで先輩のことを見直していたというのに、一気に胡散臭く見えてきたわ。
「本当に本当なんだって!それに歌だよ!歌!」
「歌?」
「君、相当危険な状況に陥ると、勝手に歌を歌い出すんだよ」
「歌?」
歌と聞いて、背筋がゾーッとしてきたわ。
「歌って何処の言語かも分からないのにやたらと耳に付くというか、頭に残るというか。そんな感じの歌ですか?」
「そう!そう!」
「その歌を勝手に私が歌っていたと?」
「そうなんだよ!」
あ・・ああ〜・・なんだか思い当たる節があるわあ〜。
大学のキャンパス内で佐竹さんに襲われた時に、確かに歌っていたような気がするもん。
「想像しやすくするために説明をするのなら、命の危機から遠ざけるためにご先祖様が乗り移ったとか、そういう判断で良いのかもしれないけど」
「それ!さっきもやっていませんでしたか?」
「やっていたから、今現在、外に居るんじゃないか!」
「うわー!夢遊病にでもなった気分―!」
知らない間に自分の体が動いているだなんて!二重人格になったか、夢遊病になったかのどっちかって感じよね!
「君はご先祖様がとっても偉大な巫女の家系で、それが理由で普段は完璧に守られているんだよ!だけど今みたいな特大な怨霊みたいな生き霊が出てきたら完全には守りきれなくなる。相手は巨大な奴になればなるほど君は命の危機に瀕することになるんだけど、そうなると君はきっと歌を歌うんだ」
「歌を歌う?」
「それも呪謳とも言われる部類のもので、言葉自体もとても古いものだと思うんだ」
「こえ〜わ!」
私は震え上がりましたとも。
これはあれかな。お酒をたらふく飲んで記憶が全くなくなってしまって、翌日、自分が記憶にないところで想像もしないことをやらかしていたということを知った時と同じような感覚?私はお酒を飲んでも良い年齢ではないので、あくまでも想像だけど。
「知らないうちに歌を口ずさんでいるだなんて・・とっても恥ずかしい!」
「恥ずかしがらなくてもいいよ!」
先輩は大袈裟に身振り手振りをしながら言いました。
「公共の面前で大声で歌謡曲をアカペラ状態で歌って歩いたわけじゃないし!なんならその歌のおかげで僕は助かったし!十人の女性の魂も浮かばれたんだ!もっと胸を張ってもいいぐらい!」
いや、その歌自体、良く覚えていないからなあ。
さつきとたくみの出会いはこんな調子ですが、心霊なのか?ヒト怖なのか?懲りずに最後までお付き合い頂ければ幸いです!!毎日十二時に更新しています!!
もし宜しければ
☆☆☆☆☆ いいね 感想 ブックマーク登録
よろしくお願いします!




