第十五話
お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。
昔だったらこの事件、連日のように報道されていたんじゃないのかな?と、思うんだけど、佐竹さん事件の報道は驚くほどのスピードでポッと出て、ポッと消えて行っちゃったのよ。
「いやいやいや!マジもんの大犯罪じゃないの?」
ネット記事ではポツポツと残り続けていたけれど、そのまま消え入りそうになったところでニューヨー◯タイムズやB◯Cが・・
『日本のシリアルキラーは道路工事の闇の中に潜んでいた。七人の女性が確実に殺されている中、その数が増えていく可能性があるというのに、その事実を全く報じない日本の闇とは!』
という感じで報道しちゃったもんだから日本でも再燃、大爆発!
そんな訳で、生還した被害者である私はアパートにも帰れず未だに先輩の家に厄介になっているところでもあるんだけど、
「日本は性犯罪にやたらと寛容なところがあるだろ?」
スケキヨマスクを上へと押し上げた状態の先輩はアイスクリームを食べながら、
「ただでさえ人手不足の交通誘導員がこれ以上減るようなことになったら困るから、マスコミを操作していたってところなんだろうけど、死者が出ている状態でそれをやるにはやっぱり限界があるよなあ」
と、先輩はうんざりした様子で言い出した。
実際問題、佐竹さんは捕まっているし、法に則って裁きを受けることになっているし、殺した人数の多さからも分かる通り『死刑は確定』状態だと周りの人も言っているんだけど、それにしたって報道の仕方があからさま過ぎて、海外メディアには奇異なものに見えたんでしょうね!
「海外メディアが報道してようやっと日本のメディアが動き出すって、なんなんですかねこの国」
「全ては人手不足が原因なんだよ」
先輩は炭酸せんべいにミルクアイスを載っけながら言いました。
「辛い仕事であるほど税金の優遇処置をするようにして、その業界が人手不足にならないようにしている国も複数ある中で、日本は税に対して何の優遇処置もしていやしないだろう?」
ドイツなんかでは教員の税の優遇、福利厚生なんかも充実している関係で教員になりたい!という人も多いような状態だし、エッセンシャルワーカーも税の優遇が認められていたりするらしく・・
「なんで先輩、ドイツに詳しいんですか?」
「昨年、ドイツのオカルトフェスに参加をするために三週間ほど滞在したからね」
「オカルトフェスで税制優遇の話なんかしたんですか?」
「なんか話の流れ的に?」
訳が分からないけど、絶対にその話をしていた時にはオカルトなマスクを装着していたに違いない。シュールだわ。
「仕事がきつくてなり手が少ない職に対しては国として優遇処置をすることでバランスを取っているんだけど、日本って消費税減税だけであの騒ぎだろ?終わっているって思うわ」
うー〜ん。
「先輩が減税派だということは分かったんですけど・・今年もヨーロッパまでオカルトフェスに参加しに行くんですか?」
先輩がヨーロッパに行っちゃうと、私は置いてきぼりになっちゃうんですけど?
「今年はチェコでやる予定だったんだけど、主催者側のトラブルとか何とかで延期が決定しちゃっているんだよね」
このスケキヨ野郎、意外にワールドワイドな男だったりするんですよ!
先輩の家でご厄介を受けている間に、あっという間に夏休みに入ってしまったし、心配した親が秋田から上京するというトラブル?も発生したんだけど、
「「「「ああ!ああ!あああ!」」」」
驚くべきことにうちの両親と先輩のご両親は面識があったみたいで、うちの娘を宜しくお願いします〜という感じで菓子折りと幾らかのお金を置いて、私の親はさっさと秋田に帰って行ってしまったのですよ。
親が帰るなら私も一緒に、とも思ったんだけど、
「「その生き霊じゃ駄目よ〜」」
と、先輩のご両親から言われて泣く泣く断念。生き霊が原因で実家にも帰れないって一体どれ程の生き霊なのよ!って思います!
ところで今、目の前でアイスを食べている玉津たくみ先輩なのですが、驚くべきことに家でもホラーマスクを装着しているような男だったんです。
私には良く分からないんですけど、先輩なりに怖い何かがあるらしくって、恐怖度によって選ぶマスクが違うみたいなんですよね?
通常状態ではゾンビマスクを選びがちな先輩が、今日は純白白塗りのスケキヨマスクを装着している。先輩がスケキヨマスクを装着している時は、大概、先輩が一番怖い!と思っていることになるんだけど・・
アイスを食べ終わったスケキヨがゴミを捨てようとして立ち上がったところで、何かに気が付いた様子で天井の方をぐる〜っ見回していたんだよね。先輩がなんだか良く分からないところを見ているのはいつものこと。
そもそも私は霊感とか無いタイプなんじゃないかしら?
先輩が一人で心霊現象を感じている最中でも、何も感じないし、全く良く分からないのよね。今回は佐竹さんという超絶ホラーなシリアルキラーに目を付けられてしまったから心霊現象を浴びることになってしまったけれど、本来、私はそういった世界とは無縁の人間なのよ!
だけど今回は珍しいことに、
「***⁂⁂⁂***⁂⁂⁂」
なんだか良く分からない言語が聞こえて来たんだよね?
幻聴?幻聴って奴かしら?
それにしても一体何の言語?ちっとも聞いたことがない言語なんですけど?
そんなことをぼんやりと考えていたはずなのに、気が付いてみれば額が机に付きそうなほど俯いているみたい。しかも、しかも、良く分からない言語を口ずさんでいるのって・・もしかして・・私じゃない?
「んんなぁあ?」
パニックに陥る前に額が机に接触して、視界があっという間に暗転した。
さつきとたくみの出会いはこんな調子ですが、心霊なのか?ヒト怖なのか?懲りずに最後までお付き合い頂ければ幸いです!!毎日十二時に更新しています!!
もし宜しければ
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