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屍の声  作者: もちづき裕
水の嘔
58/116

第五話

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 何処の大学でも郊外にキャンパスを構えるとなると、土地代が安くなるのが理由からなのか小高い山の上に校舎を建てる傾向にありますよね。人目を避けるためなのか広大なキャンパスは鬱蒼と生い茂る木々に囲まれていることも多いですし、自然の豊かさを感じられるような造りになっています。


 そんな小高い山の上にあるキャンパスから坂をぐーっと降りて行くと駅があるわけなんですけど、その途中には大学生向けのアパートが幾つも建てられていたりするわけです。

 聖上大学は歴史ある大学ということもあって、近隣のアパートは新しいものから古いものまで揃えられているんですけど、私が住んでいるのが最安値と言っても良いようなボロアパートです。


 隣の敷地にはトタン屋根で出来たような歴史ある町工場が稼働していますし、アパートの後ろは大学まで続く森!状態になっているので夏になったら虫が凄そう!と簡単に想像出来ちゃうようなボロアパートです。


 相変わらず雨がシトシト降り続けているので、私と先輩は傘をさした状態で私が住むアパートまでやって来たんですけど、パーカーのフードを深くかぶったスケキヨマスク姿の先輩の方を振り返って、

「先輩を信じた私がバカだったってことですか?」

 思わず言っちゃいましたよね。

「生き霊となって取り憑くイカれたおじさんが待ち伏せしているとか散々脅されましたけど、誰も居ないじゃないですか!」


 駅まで通じる公道から横に入ってからというもの、すれ違う人も居ないような状態です。雨はシトシト降り続けているけれど、聞こえるのは遠くを走る車の音だけ。

「いや〜、居るって〜」

 妄想に取り憑かれた様子のスケキヨ先輩は、それは嫌そうに森の方を眺めているんだけど、森からは鳥の囀り程度しか聞こえませんって。


「はあ〜コエ〜いやだ〜」

 先輩が森の方を見ながらやたらと怯えた声を出すので、騙されたと怒っていた私もだんだん恐ろしくなって来ましたよ。

 道路の向こう側には山から流れてくる水を流す溝川が流れているんだけど、最近、雨続きのためかゴウゴウと音を立てて水が流れている。

「殺される?」

 水を眺めていたら自然と自分の口からそんな言葉が漏れ出て来たわけですけど、

「いやいやいやいや」

 完全に騙されただけなのかも!


「先輩!ここまで送っていただき有り難うございます!」

 完全に変質者状態の先輩にぺこりと頭を下げると言いました。

「先輩!一つだけお願いです!そのスタンガン!今日だけ私に貸してください!」

「えええ〜?」

「だってね?先輩が急に私に向かって生き霊に取り憑かれているとか!ストーカーおじさんに襲われて死ぬとか!そういう脅迫めいたことを言い出したことで!私の精神的苦痛は相当なものになっていると思うんですよ!」

「えええ〜?」

「だからですね!先輩は哀れな後輩のために、そのポケットに突っ込んでいるスタンガンを貸してあげるべきだと思うんです!」


 先輩はスケキヨ姿でまじまじと私を見ると言いました。

「自分で買えば」

「ネットで買っても今日中には届きません!」

 私は傘を振り回しながら主張しましたとも!

「たとえ誰かが襲ってきても!スタンガンがあれば大丈夫でしょう!ねえそうでしょう!」

「はあ〜」

 先輩は心底嫌そうにため息を吐き出すと、

「それじゃあ貸してあげるけど、絶対に借りパクだけはナシで!絶対に返してよね!」

 私が持ち逃げするのを前提にしたようなことを言いながら、スゴスゴとキャンパスの方へと帰って行ったのでした。


 先輩が貸してくれたスタンガンは完全にガチな仕様となっていて、大きさもあるし、重みもあるし、

「これさえあれば、絶対に大丈夫!」

 試しにスイッチを押してみればバチバチバチッと音を立てて電気が走っています。


 バチバチいわせながらアパートの狭い廊下を歩き、一階にある自分の部屋へと帰り、ガッチリと鍵をかけてチェーンロックまでしたわけですけど、

「あ!スタンガンを充電するケーブルを借りるのを忘れてた!」

 狭い玄関でスタンガン片手に気が付いた。


 自分の家に入るまでバチバチ電気を走らせちゃったけども・・

「まだ充電あるよね?」

 いざって時に使えなかったら困っちゃうじゃん!


「とにかく、スタンガンはテーブルの上に置いて」

 家の戸締りチェックをした私は大きなため息を吐き出すと、ゴロリとベッドの上に寝転がり、

「もうちょっとしたら夜ご飯でも食べよう」

 そんな独り言を言いながら、うとうとし始めちゃったんだよね。


 今まで知りもしなかった同じ学部のスケキヨ先輩に、

「君は生き霊に取り憑かれている」

 と、言われるし、友達の由美ちゃんからは、

「あの先輩にそんなことを言われたら、マジで取り憑かれているかもしれないから!」

 と、言われるしで、

「先輩!どうか除霊をしてください!」

 と、スケキヨ先輩にお願いしたところ、

「無理!無理!無理!無理!」

 と、言われたのよね。


 その後、先輩は心霊プロファイリングみたいなことを勝手に始めたんだけど、そんなことが出来るくらいなら生き霊をスパッと除霊くらいしてくれよ!と思ったよね!

 そもそもなんなの?事務所で事務員さんが席を外した隙を狙って履歴書を見られたんだろうって話!本当にありそうでマジで怖いんですけど!


 ガチャガチャガチャガチャ


 ドアノブを動かす音で目が覚めた。

 目を開けたら天井の電気はつきっぱなし、エアコンのクーラーもつきっぱなし。

 生乾きの洗濯物はぶら下りっぱなしだし、連日の雨で空気が澱んでいるようにも感じる。

「え?なに?」

 起き上がって周りを見回してみても何かが動くわけでもなく、

「え?え?え?」

 ドアノブがガチャガチャ動いたとするのなら、玄関なのかな?

 私が住んでいるのは年季が入ったボロアパートなので、玄関のドアノブは握り玉という手で包み込めるような形状をした古くからあるお馴染みのドアノブなのよね。


 ガチャガチャガチャ ガチャガチャガチャ


 再びドアノブを回転させるような音が室内に響き、思わずベッドから落ちそうになってしまった。

「嘘でしょ、嘘でしょ、嘘でしょう?」

 恐る恐るベッドから降りて玄関に近づき、玄関の覗き窓から外を眺めてみると、そこには誰も居なくって、

「え?気のせい?気のせいって奴?」

 そんな独り言を呟きながら後ろを振り返ると、泥で汚れた足跡が、床にベットリと残っていることに気が付いた。


さつきとたくみの出会いはこんな調子ですが、心霊なのか?ヒト怖なのか?懲りずに最後までお付き合い頂ければ幸いです!!毎日十二時に更新します!!

もし宜しければ

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