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屍の声  作者: もちづき裕
船の謳
108/115

第三十七話

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 あくまでも自分たちは悪くないと町おこし反対派のクソ野郎どもが主張するのなら、僕はあらゆる手段を使ってでも自分の正当性を主張しなければならないのだろう。

「聖上大学人文学部民族学科三年、玉津たくみ君だね」

 あくまでも任意で僕は取り調べを受けることになったわけだけれど、

「君が何で詞之久居町に来ることになったのか説明してくれるかな?」

 コワモテの刑事に問いかけられた僕は胸を張って答えることにしたわけだ。


「詞之久居町の町おこしのために僕と同じ学部の後輩である天野さんは、詞之久居町の地域振興課に勤める中村さんと佐藤さんと共に、昨日、あぱっとねえ祭りが行われた波羽美町から移動してくることになったんです」


 うちの大学の名物教授である神村教授は長年、過疎化が進む市町村の活性化に努めており、毎年、ゼミ生は町おこしのイベントを企画し実行していることを説明。

「その噂を聞きつけた中村さんと佐藤さんが視察目的で『あぱっとねえ祭り』に参加をしていた為、波羽美町役場に勤めるうちの大学のOBが僕らに声をかけて来て、次回の町おこしに詞之久居町はどうかと検討したら良いんじゃないかと言い出したんです」


 僕と天野さんは大学二年と一年なので現地で情報を集めるだけだけれど、その結果、教授が町おこしに関わるかどうかを検討するということを説明。

「早速、町役場に移動をすることになった僕らは佐藤さんが用意してくれた自治会史に目を通してまずは町の歴史を調べることにしたのですが、そこで現れたのが町おこし反対派の人達だったんです」


 町おこしを強行に反対する人々が町役場までやって来て大騒ぎを始めた為、僕らの安全のために佐藤さんは車で移動することを決意。

「そこで佐藤さんは、絶対に天野さんを一人には出来ない、天野さんだけを一人で役場には置いてはいけないと言い出したんですけれど・・」

 僕は憂いを含んだ眼差しを刑事さんたちに向けながら問いかけた。

「どうやら詞之久居町って女性への性犯罪が顕在化しないというか、今の時代でも女性が泣き寝入りする形で終わらせる風潮にあるみたいですよね?」


 神棚ショックでこの町の歴史は奈良時代あたりから体験(?)しているので、幕末以降も女性を虐げる風潮が続いていることを僕は知っているんだよ?

「僕の母親がまだ女子高生だった頃の話なんですけど、うちの母親、家までの帰り道で急に横付けするように停車してきたワゴン車に引きずり込まれるようにして誘拐されかけたことがあるんですよね」

 僕はため息を吐き出すと、

「詞之久居町では今でもそんなことが行われているみたいじゃないですか?」

 顔を青ざめさせる刑事さんたちを見ながら言い出した。


「車で攫われるだけだったらまだ逃げようがあるかもしれないですけど、車から船に乗りかえて詞之久居島まで移動しちゃったらもう逃げようがありませんよ。知っていました?菅原清さん、佐田治郎さん、並木秀治さん、菅原健一さんの四人は、過去に女性をうっかり島で殺して、その遺体を島の中にある祠の近くに埋めてしまったんですよ」


 僕は取調室の机の上に肘をついて、

「他にも同じように殺している人はいると思うので、祠の周囲には何体あるのかな?そこは調べてみなければ分からないんですけど、昨日は丁度七月盆の翌日で神職である辰野家による神渡りの儀式が行われたじゃないですか?」

 両手を組みながら言ったんだ。


「あぱっとねえ祭りからも分かる通り、神村ゼミでは民俗学と町おこしをコラボさせることでも有名なんです。だからこそ今の時代まで残るその地域特有の神事を町おこしに利用することが多いんです。その為、僕と後輩は辰野勇さんに島まで同道させてもらうことにしたんですけど、そこで慌て出したのが町おこしは反対だと言い出す人達です。それはそうですよね?島には彼らが遺棄した遺体が残されているんですから」


「君は島に遺棄されている遺体を見たのか?」

「見ましたよ?」

 神棚ショックで夢の中で見たんだけどね?

「祠の周囲を今すぐに調べてみてくださいよ」

 僕は前のめりになって言ったんだ。


「昨日、あれだけ大騒ぎしていた人達ですから、自分たちの悪事がバレそうだと判断したら遺体を掘り起こして、海に捨てるようなことだってしそうじゃないですか?」

 すると年取った刑事が間に入るようにして言い出したんだ。

「君は菅原清さん、佐田治郎さん、並木秀治さん、菅原健一さんの四人が女性を殺害した上で死体を遺棄したと主張するが、その四人は今朝方揃って突然死をしたのだが・・何故、四人は揃って突然死をしたのだろうか?」


 そりゃあ、あんな呪いの島で女性を虐げた上に殺しているんだから、呪いが強くなるのは仕方がないことだったし、ダメ押しとなったのはデイダラボッチの補陀落渡海で、最後に落ちた体液が彼らを逃れられない死に追いやることになったんだけど・・

「検死をしなければ分かりませんけど、何か理由をつけるとするのなら、遺棄した死体がバレるかもしれないという強烈なストレスが原因じゃないですかね?」

 彼らの死に薬物が関わっているかどうかは検査をすれば一発で分かることだし、そもそも僕が殺したわけでもないし。


「昨日、特に大騒ぎをしていたのは菅原清さんという人でしたし、そのお仲間だったのが佐田治郎さん、並木秀治さん、菅原健一さんですもの。高峰茂さんという方が警察に駆け込んで大騒ぎしているって聞きましたけど、自分たちの悪事がバレることを恐れて大騒ぎをしているんじゃないんですか?」


 菅原清さんという人は警察でも評判が悪かったみたいで、

「彼ならそういうことをやっていそうだし、そのお仲間が証拠を隠滅なんてことは実際問題やりそうだと思うんだよな」

 僕の取り調べを行った二人の刑事はすぐさま上司に掛け合って、詞之久居島の調査に乗り出すことにしたみたい。


 広大な島をあてもなく調べるのではなく、島にある祠の周囲を調べるだけだもの。

 ブルーシートとスコップを抱えて島へと上陸することになった警察の方々は、

「・・!!・・!!!!」

 出るわ、出るわ、ザクザクと白骨化した遺体が出てくることになって驚き慌てることになったんだ。


 昔、むかーし、風待ち港として詞之久居島を利用していた菅原家の人々は島に遊郭を作って男たちに阿片を売りつけ女達に相手をさせていたわけだけれど、肝心の建物が打ち壊されて無くなったとしても土中に埋めた遺体の骨は意外なほどに残り続けているわけさ。


 もちろん新しすぎる女性の白骨化した遺体も発見されたけれど、

「な・・なんだこれは!」

 手足を切断されたと思われる女性の遺体の多さに、呼び出されることになった専門家たちは驚愕することになったんだ。


今度は海に移動した霊能力者二人のドタバタ劇をお送りしたいと思います!!

もし宜しければ

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