#0プロローグ
♯0 プロローグ
あれからどれほどの時間が過ぎたのか……
空腹はとうに限界を超え、何か口に入れることさえも体は拒んでいる。
正気を保つことも、ままならなくなってきた。
苦しい。辛い。死にたい。
そんな負の感情の波がとめどなく、俺の中で渦巻いている。
目の前には、銃を待ち構えた敵が三人。
おそらく戦いに慣れていない戦闘員たちなのだろう。
定まらない銃口がそれぞれ俺の頭に向けられている。
このまま撃ち殺されたいというのが本心なのだが、戦場に慣れたこの身体はそれを許してはくれない。
身体は心と相反して、危機を察知して自動的にに動き始める。
三人の引き金が引かれるより先に、一番近くにいた敵に詰め寄る。
敵は慌てて俺に銃口を向け直すも、その引き金が引かれるよりワンテンポ早く、一番近くにいる敵の背後に回り込む。
そしてあとの二人の発砲のタイミングに合わせ、そいつを盾にして被弾を防ぐ。
二人は仲間を撃ってしまった自身の行為を、脳内で処理出来ずに唖然としているようだ。
その隙を狙って、俺の銃で二人の頭を素早く撃った。
戦場は人間の弱肉強食の縮図だ。
生まれてまもない雛が、大きな成鳥に食べられる。
無知で非力な人間は排除され、経験を積んだ実力のある人間が生き残る。
故に三人は殺されて、俺が生き残った。
心は死を願っていても、身体や本能的な部分がそれを許してくれない。弱さを許してはくれないのだ。
だから俺は本能に従って、求めなければならない。
『強さ』の果てを――