四 田中、村人に会う
気に入っていただけましたら、いいね、感想、ブックマーク等、よろしくお願いします。
翌日、目が覚めた田中は、飛行魔法を使い、森を抜けようとしていた。
ただ、一つ問題が発生した。
飛行魔法は制御するのがとても難しかった。
そのため、あっちへふらふら、こっちへふらふらまるで、千鳥足のようになりながら空を飛んでいた。
それでも、地を行かず、空を飛んでいたのは、速さが勝ったためである。
だか、制御できていないため、高度もそこまで高くできていない。ギリギリ木の高さより上くらいの高等をなるべく保つようにして真っ直ぐ進めるように同じ高さで進めるように練習しながらだ。
この高さにしたのも、ケガをしないギリギリの範囲と判断してのこと。
二時間ほど進んで、漸く森が終わり、草原が見えてきた。
飛行魔法も真っ直ぐ進むことはできないものの、最初よりは、感覚がわかってきて、移動速度が少し上がっていた。
(少し休むか。)
高度を下げて、草原に降りた。
少し喉が渇いていたが、近くには水場がなかったため、我慢。
(神様に四次元ポケットみたいなものも頼むべきだった。水も食糧も持ち運べないのは、命に関わる。手もないから持って移動するというのもできない。今後の課題だな。)
10分ほど休んだあと、また真っ直ぐ進んでみることに決め、飛行魔法で再び移動し始めた。
進むこと30分ほど、人の集落が近いのがわかった。
遠くに物見台のようなものが見えたのと、畑が見えたからだ。
このまま進むか少し迷ったが、攻撃されたら飛行魔法で高くに逃げればいいと考え、進んでみることにした。
物見台辺りまで来ると、畑の少し奥に簡単な柵で囲われた木製住居の密集地帯がみえた。そこに村人が住んでいるのだろう。
畑の方を見ると、八鍬や鋤を持った村人らしき者たちが集まっていた。人数にすると、百人前後。
しかも、こちらに気付いているようだった。
気付かれているならと、こちらも畑の方へ向かう。
すると、一番年上の老人がこちらに話かけてきた。
老人「私はこの村の代表をしておりますゴゴと申します。」
老人は怯えた様子で名乗った。
ゴゴ「もしや、主さまの使いの方でしょうか?
貢ぎ物は先日お納めしたばかりと存じますが。」
田中(貢ぎ物?何のことだろう?)
田中「ゴガー!」(いや、違くて、)
村人たちは急に大声で威嚇されたと勘違いして怯えた様子だった。
だか、田中も困っていた。普通に話ているつもりが、言葉が話せないのだ。いや、正確に言うと話しているのだか、こちらの世界の言葉が話せないと言えばいいのか。ただ、何故か村人たちが話ている内容は頭に入ってくる。嫌だとか、怖いとか、喰われるんじゃないかとか言ってるのが聞こえた。
(困った、、、)
ゴゴ「こ、こ、こ、これは、失礼しました。この娘と食糧をお渡ししますので、どうか他の者たちには手を出さないでください。ど、ど、どうか頼みます。」
そうして、村人たちはみんな逃げて行ってしまった。
目の前には畑で取れただろう作物が2袋と怯えた様子の女性が一人残されていた。
田中(やってしまった、、、どうしよう、、、)