十四 魔法研究局
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ディアマントと田中が話していると、見知らぬ子どもが部屋に入ってきた。
子ども「起きたでしか。」
ディアマント「先ほど起きました。王子。」
緊張した様子で答えるディアマント。
田中(王子?)
急ぎ、眠っていたベッドから起き、中座する田中。
田中「この度は、助けて頂き、ありがとうございます。」
田中は、頭を下げ感謝を伝える。
王子「うむ。」
ご満悦な顔を浮かべる王子。
王子「ところで、ディアマント、例の魔物はどこでしか?」
ディアマント「はっ!目の前の男がそうです。」
キョトンとした顔で王子は田中を見る。
そして、田中に言う。
王子「なれば、元の姿に戻るでし。」
田中「元の姿というのは?」
一瞬の沈黙。
王子「これ、ディアマント。これは一体どういうことでしか。」
ディアマント「それが、記憶を失っているようでして。」
経緯を話すディアマント。
王子「ならば治すでし。着いて来るでし。」
田中「は、はい!」
何がなんだかわからずも、着いていく田中。
どうやら記憶喪失を治してくれるらしい。
願ったり、叶ったりだったので、喜ぶ田中。
王子について行くのは、田中の他に、ディアマントと王子付きらしき長身の女性。秘書的な何かなのだろう。
田中(ところで、どこにいくのだろう?)
田中が疑問に思っていると、王子付きの秘書っぽい人が答えてくれた。
秘書「これから向かいますは、我が主人ソレイル第五王子の弟君であらせます、シウム第六王子のいる魔法研究局かと思われます。」
ソレイル「その通りでし。レベッカ。」
田中(レベッカさんっていうか。)
田中「ありがとうございます。」
レベッカ「いえ、仕事ですので。」
淡々と答えるレベッカ。
ソレイル「話を聞くに、記憶喪失はたぶん魔力の枯渇が原因でし。魔法のことならシウムに任せれば大丈夫でし。」
そこから暫く歩き、外にある白い建物に着いた。
ソレイル「ここが魔法研究局でし。」
中に入るソレイル王子。
ソレイル「シウムはいるでしか?」
中にいた研究員の一人に声をかけた。
研究員「こんにちは、ソレイル様。すぐにお呼びいたしますので、少しお待ちください。」
ソレイル「うむ。」
少し経って、白衣の男性が来た。
シウム「すまんな。兄上。研究で忙しい。日を改めてもらえるか。」
田中(ソレイル王子の方が年下っぽいのに、兄なのか)
ソレイル「それは残念でし。面白い魔物を連れて来たでしが、帰るしかないでしね。」
そそくさと帰ろうとするソレイル。
シウム「ちなみに、どんな魔物なんだ?」
興味を持ったのだろうシウムがソレイルに尋ねた。
ソレイル「元々は見たことない魔物の姿だったのに、今は人間の姿に変わってしまったでし。ただ、記憶喪失で元の姿に戻れないらしいでし。」
シウム「、、、そうか。」
興味を持ったのだろう。何か考え、葛藤する様子のシウム。
「では、また今度でし。ニウムのところに行ってみるでし。」
出口に向きを変え、帰ろうとするソレイル。顔が少しニヤケている。
そう言って帰ろうとした矢先、ドアが閉まる直前で呼び止めらた。
シウム「待て。」
ソレイル「なんでしか。こっちも急いでるでし。」
わざとらしく、はぁと息を吐き出すソレイル。
シウム「10分待ってくれ。その後、詳しい話を聞きたい。」
ソレイル「わかったでし。」
バタンとドアが締まり、シウムが急いで駆けていった。
ソレイルはご満悦そうだ。
----10分後----
シウム「なんでいるんだ?」
ニウム「やぁ!」
ソレイル「10分暇だったから、呼んだでし!」
その後ろでは、ぜーはーぜーはー言いながら、息を整えているディアマントがいる。
田中(そういえば、この二人どういう関係なんだろう?)
ソレイル「二人が協力すれば、時間もかからないと思うでし。シウムもなにやら、研究で忙しいみたいでしから。」
ニウム「兄さん、ぼくからも頼むよ。ぼくも興味があるんだ。」
シウムは苦虫を噛み潰したような顔で答えた。
シウム「まぁ、良いだろう。」
様々な道具がある部屋に移動し、早速、田中の検査に入る。
シウム「おい、魔物もどき。まずは名前はなんという。」
魔物もどき「魔物もどきじゃないです。田中です。田中、、、」
シウム「タナカだな。」
答えた後に、田中は、自分の下の名前が言えないことに気づく。
シウム「さて、記憶喪失と聞いたが、念のため確認だ。
まず、気を失う前の最後の記憶はなんだ?」
タナカ「雷に撃たれました。」
シウム「ならば、なぜ生きている?」
タナカ「すみません、、、わかりません、、、」
シウム「そこは記憶がないのだな。次の質問だ。
雷に撃たれる前は何をしていた?」
タナカ「会社からの帰りで家に帰る途中でした。」
シウム「カイシャ?カイシャとはなんだ?」
タナカ「会社というのは働く場所です。おれは元々、日本という国、こことは別の世界にいたんです。」
シウム「元々、人間だったということか?」
タナカ「はい。」
シウム(何言ってるんだ?コイツ?)
シウム「信じられないな。」
シウムの表情を見て、タナカは、同じような反応を以前もされたことがあるような気がした。
タナカ「あの。前にも会ったことありますか?」
シウム「ないな。」
無言が流れる。
シウム「タナカを連れて来たお前に質問だ。」
そして、シウムは質問先を変えた。
ディアマント「はぁ。」
シウム「まず、タナカとか言うのをここに連れて来た経緯を話してくれ。」
ディアマント「それは、ソレイル王子に連れてくるように言われたからです。」
シウム「ほう。ということは、ソレイル兄さんとは、以前から面識があったということだな。」
ディアマント「その通りです。自分は冒険者をしてまして、その都合でソレイル第五王子から幾度かクエストを依頼されたことがありまして。」
シウム「なるほど。名のある冒険者なのだろう。名はなんという?」
ディアマント「ディアマントです。」
シウム「覚えておこう。ディアマントよ。貴様がそのタナカとかいう魔物もどきに会うまでの経緯を教えてほしい。」
ディアマント「はぁ。始まりは、ソレイル王子からの依頼です。内容は、ここ数年、流行っている奴隷が食われるという事件の調査です。」
シウム「数年前の雨が降らない年に起きた麦の大凶作が原因というあれだな。フランソワ王子も嘆いていた。国法により、食糧奴隷が認められたのは、その一年のみであったはずだが、実際は食糧不足から奴隷を食べる者がここ数年見られると。」
ディアマント「作用です。シウム第六王子。その調査で食人していると噂のある村に向かったところ、その村では、奴隷だけでなく、子どもや老人、女性まで喰われていると判明しました。そのため、彼ら、彼女らの保護のため、避難場所に移動していたのですが、その途中で、例の村からやってきたのが田中と一人の女でした。
自分はこの二人を撃退しようとしたところ、ソレイル第五王子の指示で田中をこの王都に連れてきたのです。」
シウム「なるほど。その後、記憶を失っていたと。状況はわかった。確かに、それなら、記憶を失う原因を調べるのに、我が研究所にくるのが正解だ。タナカ、そこのベッドに仰向けになって寝ろ。ニウム、少し手伝え。」
タナカが寝転ぶとシウムとニウムは、魔法を使った。
シウム/ニウム「この場に存在する無数の精霊たちよ」
詠唱と共に、辺りが光に包まれ始めた。
シウム/ニウム「我らに力を貸し給え」
シウム/ニウム「我はこの世の理を求めし者」
シウム/ニウム「我が求めに応じ、この者の理、命のあり方を詳らかにせよ」
光が収束し、二重の魔方陣に変化する。
シウム/ニウム「"解析"」
二重の魔方陣がタナカの全身を行ったり来たりする。
30分ほどして、二人の魔法が止んだ。
シウム「これは、、、」
ニウム「兄さん、、、」
緊張した空気が流れる。
ソレイル「で、どうだったどしか?」
そんなことお構い無しでマイペースに質問するソレイル。
シウム「残念ながら、タナカの記憶を戻すことはできない。能力が足りないという意味ではない。」
ソレイル「どういうことでしか?」
ニウム「謂わば呪いみたいものさ。タナカさんの記憶を戻すとタナカさんは死んでしまうかもしれないんだ。」
ソレイル「呪いでしか?」
思い空気が流れる。
シウム「調べて、わかったことは、コイツが言ってることは本当である可能性が高いということだ。魂の形というものがある。人には人の、魔物には魔物の、亜人には亜人の。
そして、コイツの魂の形は我々と同じように人の形をしていた。故に、魔物であった際のほうが歪だったのだ。」
ソレイル「なら、どうして田中は魔物の姿をしていたでしか?」
疑問はもっともである。それに対して弟のニウムが答えた。
ニウム「問題はそこなんだ。タナカさんの姿を魔物の姿に変えるために、複雑な術式が組み込まれていたんだ。仕組みはなんとなくわかったけど、これを解くにはとてつもない時間がかかると思う。」
シウム「正直、見たこともない術式だった。極大魔法なんかでは足りない、失われた魔法かはたまた神が作ったような高度な術式だった。だが、逆にこの術式を研究することで、我が国の魔法技術は遥かに高度な域に届く可能性もある。」
ニウム「そして厄介なことに、この術式はタナカさんの記憶を奪うことで発動するみたいなんだ。ただ、確実な方法もないまま、この術式を解こうとして、失敗すれば、タナカさんが廃人になってしまう可能性がある。意識はないけど、生きているような状態にね。」
ソレイル「そういう意味でしたか。ちなみに、タナカの今の魔力量はどうなってるでしか?ディアマントと戦っている時はもっと魔力量が多かったはずなのに、今はそれを感じないでし。」
シウム「おかしいな。そういった術式があるようには感じられなかったが、確かに兄上が気にするほどの魔力をコイツからは感じない。」
ニウム「まだ読めていない術式も多いから、そこに隠されてるのかもよ。兄さん。」
シウム「確かにな。」
ソレイル「ならこれは、必要ないでしね。」
そういうとタナカに近づき、何か呪文を唱えた。
タナカ「痛っ!!!」
タナカの左腹に火傷のような激痛が走る。
ソレイル「安心するでし。ただ、契約魔法を解いただけでし。」
タナカ「???」
ソレイル「ここは王宮内でしから、万が一のためでし。」
タナカ(なるほど。暴走した場合に備え、安全装置を着けてたってことか。)
シウム「兄上が警戒するほどとなると、並ではない魔力量だったということか?」
ソレイル「そうでしね。戦ったディアマントが一番わかると思うでし。」
ソレイルが話を振ったことで、注目がディアマントに集まる。
ディアマント「何せ、おれの一番を防ぎ切っちまうほどだからな。」
誇らし気に答えるディアマント。
シウム(そもそもの強さがわからん。)
シウム「つまり、魔力量は大幅に変わったということだな。調べないといけないことはまだまだ多そうだ。」
言葉とは裏腹にシウムは楽しそうだ。
魔法研究局に来た当初の目的が済み、ソレイルが言った。
ソレイル「魔物の姿が元々の姿でないなら、タナカには興味ないでし。シウムに渡してもいいでしよ。」
シウム「研究対象としては、非常に興味深いが、優先順位の高い研究がいくつもある。理想としては、月に一度来てもらえれば十分なのだが。食費などは自分で稼いでもらいたい。ニウムのところはどうだ。」
ニウム「ぼくの方も兄さんと同じさ。むしろ、ぼくは三月に一度でいいくらいだよ。他の研究が立て込んでるんだ。でも、手放したくはないね。折角の好機だから。」
タナカはたらい回しにされた。
タナカ(さて、どうするか。)
皆がタナカをどうするか困っていると、ディアマントが声をかけた。
ディアマント「なら、ウチに来い。面倒みてやる。食費は自分で稼いでもらいたいが、稼ぎ口は用意してやれる。」
タナカの処遇が決まった。
タナカ「ありがとうございます。ディアマントさん。よろしくお願いします。」
ディアマント「ただし、一つ条件がある。」
タナカ「はい。なんでしょう?」
ディアマント「おれは、お前が強くなれるよう指導してやるから、いつか全力の俺と戦ってくれ。お前となら、良い試合ができる気がする。」
ディアマントは、戦闘狂だった。
断れるはずもなく、渋々了承するタナカ。
ソレイル「では、仕事にもどるでし。」
そういって、レベッカを連れて、元いた部屋の方へ戻っていった。ソレイルはタナカが魔物でないとわかった時から内心テンションが下がっていた。
シウム「では、タナカ。その日になったら、呼ぶからよろしくな。」
ニウム「ぼくも仕事に戻ります。また今度。」
シウムとニウムも研究局の内部に戻っていった。
ディアマント「じゃあ、これからよろしくな。」
ディアマントは手を出した。
タナカ「よろしくお願いします。」
タナカは応じ、二人は握手する。
こうして、タナカの王都での最初の一日が終わった。
体調崩しました。今は良くなりかけです。
毎年夏に体調崩すのなんとかならないだろうか。
体調管理、気をつけます。
最近は、夜になると、もう秋だなって感じになってきましたね。
秋は果物が美味しいので好きです。
梨とか、柿とか。
9月はもうちょい、更新回数増やしたいな。(目標)




