夢が降る星
目が醒める。
気付くと小さな星だった。
丸く歪な体だが、望めばどんな姿にも成れた。
熱く、冷たく、硬く、柔らかく。
ひとまず意識を手放そう。
夢を見た。
明日は星が降るらしい。
創らねば。
全てを熱し溶かす体。
星が降る。
無数の小さな隕石が。
熱い体にぶつかって、ドロリドロリと溶けていく。
やがて真っ赤な溶岩が、重力に従い均される。
夢を見た。
明日は雨が降るらしい。
創らねば。
水を受け入れ留める体。
雨が降る。
大粒で多量の水滴が。
真っ赤な溶岩を冷やしていく。
やがて隆起した表面に、雨が溜まり海となる。
夢を見た。
明日は種が降るらしい。
創らねば。
種に打ち勝つ子供達。
種が降る。
種がぶつかり散った体から、我が子が生まれ動き出す。
種は地に根を張り花や実を付け、子供達はそれを食み糧とし増える。
夢を見た。
明日は核が降るらしい。
見守ろう。
我が子が行き着く旅路の果てを。
核が降る。
互いに撃ち合う核弾頭。
破裂し大きな穴が開く。
塵で体を冷やしてみれば、あらゆるものが息絶える。
夢を見た。
明日は太陽が降るらしい。
創らねば。
熱を奪い飲み込む体。
太陽が降る。
白く輝き全てを燃やす、巨大な巨大な太陽が。
包み込む。
液状の体を太陽へ纏わせ、熱を芯まで奪い取る。
やがて冷めた太陽を、星の核へと受け入れる。
夢を見た。
明日は銀河が降るらしい。
創らねば。
総てを呑み込み固める体。
銀河が降る。
星の体を砕こうとして、外から引き裂こうとする力。
それに抗い縮こまり、やがて弾けて霧散する。
そして巨大な力を放ち、総てを呑み込み閉じ込める。
夢を見た。
明日も晴天のようだ。
光ひとつ無い闇が広がる、綺麗な綺麗な空模様。
お読みくださりありがとうございました。
作品の解説を致しますと、地球に生まれた主人公が太陽や銀河を飲み込みブラックホールへと成り上がるお話です。
本来であれば地球は太陽や銀河に勝てませんが、自在に体を変化させられる能力で打ち勝ちました。
いかがでしょうか?
どのくらい拙作をお楽しみ頂けたのかを、以下の評価で表現して頂けますと嬉しいです。




