表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

白猫くんは撫でられたい Ver.U

作者: SchwarzeKatze

 僕は物陰に身を潜めて、狙いを定める。

 自慢のしっぽを振りながら……今だ!

『奴だ! シロだ!』

『敵襲! 敵襲! みんな無事か?』

『チュン太が捕まりました……』

『チュン太……ついにお前が……』

 スズメ達のざわめきを僕は聞きながら、捕まえたスズメにトドメをさす。

『チュン太ぁぁぁ!!!』

『チュン太さん……』

 安全なところから見下ろすスズメ達。僕にはかまわない。

 だって、僕にはほめてほしい人がいるのだから。

 このおいしいスズメを持ってけば、あの子も誉めてくれるだろう。

 きっと、もっと撫で撫でしてくれるんじゃないか。

 僕は獲物をくわえて、気分上々であの子の所に向かう。

 あの子。人間の女の子。僕はその子に撫で撫でして貰うのが、凄く大好き。もっと撫でて貰いたいから。獲物のご褒美に撫で撫でして貰いたいから。

 前はネズミを捕まえていったけど、あの子はそれを見て逃げて行っちゃったからなぁ。ネズミは嫌いだったみたい。ネズミもおいしいけど、スズメはもっとおいしい。

 だから、あの子もきっと喜ぶはず。


 でも問題は……。


「また来たか!! ドラ猫!!」


 居たよ……あのヨボヨボ。あの子の巣に住んでいる、老人だ。

 このヨボヨボは、凶暴で僕を見つける度に襲ってくる。


「今日こそは、承知しないぞ! ドラ猫め!! 今日は雀を持ってきたか。全く。だから儂は猫が嫌いなんだ。余計なものを持ってきおって!」


 ヨボヨボは何かを叫びながら、僕の元に寄って来た。

 シワシワの癖して、動きは早い。何度か蹴られたり、棒で叩かれて、痛い目に見たことがある。

 僕はヨボヨボが棒を振り落としてきたのを、とっさに避ける。

 ん!? しまった! あの子のおみやげ、落としちゃった。

 いや、それより、このヨボヨボを退治しなきゃ!

 僕はヨボヨボに威嚇する。毛を逆なでて、思いっきり怖い声をかける。


「お、やるか! ドラ猫!」

『いつもの恨み、晴らしてやる!!』


 僕は叫んで、爪入りパンチをおみまいする。

 ヨボヨボの腕を捕らえて、僕の爪がえぐる。

 まだ浅い!


「痛!! やりおったな! 今日こそは追っ払ってやる!」

『次こそ、深手を与えてやる!』


 僕は、牙を剥き出し、ヨボヨボに向き直る。

 その時。僕の大好きな声が聞こえてきた。


「おじいちゃん、ご飯よ~」


 その声にヨボヨボは、僕を睨みつけながら、答える。

 僕もヨボヨボの目をそらさない。威嚇してうなり続ける。


「またドラ猫が来おってな。退治する所じゃ!」

「おじいちゃん! 猫いじめないの! あ、怪我してるじゃない! もう……ちょっかい出すからよ……」

「今日こそは退治してやるんじゃ!」

「やめなさい! ほら、ご飯出来たから行くわよ」


 僕はヨボヨボの目から視線を逸らさずに、警戒態勢でにらみ続ける。

 ヨボヨボは、あの子に引っ張られて、巣に戻された。

 そして、ヨボヨボを巣に閉じこめてから、あの子が僕の所に寄ってきてくれて、僕の頭を撫で撫でしてくれる。


「全く……。おじいちゃんと仲悪いのは分かるけど、怪我させちゃダメよ?」

『撫で撫で嬉しい! 撫で撫で嬉しい!』


 僕は喉を鳴らしながら、大好きなあの子に甘える。

 そうだ、スズメをおみやげに持ってきたんだ。

 けど、僕は撫で撫での心地よさに、あの子にすり寄るのに夢中に鳴ってしまう。


「あら……今日はスズメとってきてくれたのね」

『もっと撫でて!!』

「後で、お墓作らなきゃ。もうおみやげはいらないから、いつでも遊びにおいで」


 あの子は、僕に何かを言いながら、僕の捕まえたスズメの方に向かう。

 スズメは喜んでくれたみたいだ。

 僕はまたいっぱい撫で撫でして貰いたいから。

 また、スズメを捕まえてこよっと!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ