第4話
「ところでお兄ちゃん、手洗いをかけた告白ってどういう意味だったの?」
私の一言で地獄に落ちたお兄ちゃんを何とか現実に戻した私は、さっきから気になっていたことを聞いてみたが、それに対してお兄ちゃんはみるからにあたふたし始めた。
「えっ、それは・・・・聞きたいか?」
「うん、聞きたい」
そもそもなぜ告白するのに手洗いが関係してくるのかさっぱり理解できない。
「お前、絶対ひいたり、不潔とか、キモいとか言わないよな」
お兄ちゃんは覚悟したのか、とてもまじめな顔で私に迫ってくる。
「それは・・・・」
「言わないよな」
「う、うん」
あまりのお兄ちゃんの迫力に思わずうなずいてしまったが、本当は話の内容によるとはっきり言いたかった。仕方がない、せっかくお兄ちゃんが事情を話してくれるのだ、聞く前はお兄ちゃんの言うことに素直に従った方がいい。そう思い直して、私は顔でお兄ちゃんに話を促した。
「俺は、いつもお前に触った手は洗わないようにしていたんだ。いや、もちろん、水洗いはしていたんだが、石鹸で洗うようなことは一度もしてこなかった。・・・・お前、俺のこと嫌いになるか?」
・・・・。どうだろう。それは女として男にそこまでさせていたことに喜ぶべきか、それともあほなお兄ちゃんで悲しむべきか、というか、とっても
「びみょー」
「えっ、マジで!!ごめんな!これからはきちんと洗うよ。本当に!神に誓います。・・・だってこれからはいつでもお前に触れるんだからな!」
ちょっと変態な雰囲気のお兄ちゃん。
それに対して私は、3割ぐらいドン引きで、2割はキモい、5割はうれしいっていう気持ちかな。
だから、私はえへへと笑って、お兄ちゃんの大きくて少しかたい手をぎゅっと握った。で、私的にはお兄ちゃんも笑って、ぎゅって握り返してくれることを期待していたのに、お兄ちゃんは私の予想を上回る、私に抱きついてくるという妄挙にでた。
「ちょっ、お兄ちゃん、香水臭いよ。やめて、鼻が曲がるってば!」
「あー美弥子、お前はかわいすぎた。本当に俺のものでよかった。ほかのやつに奪われたりしたら、俺、そいつを殺すところだったよ。美弥子、頼むからずっと俺だけのものでいてくれよな」
「わ、わかったから、離れて。お兄ちゃん、本当に臭いから」
「す、すまん」
お兄ちゃんはしぶしぶ私から離れたが、離れる前にさりげなく私のおしりを触っていった。あまりの常軌を逸した行為に、私は顔を真っ赤にさせながら、怒鳴るか、半殺しか悩んだけど、結局ため息を深々とつくだけで終わった。
こんな人だとは思わなかった。
でも、私はどんなお兄ちゃんでも好きっている気持ちは変わらないかも。それだけ、私の恋心には年季が入っているもの。
お兄ちゃんを見つめる私にお兄ちゃんはなぜか照れながら、
「ところでな、美弥子、俺たちは晴れて恋人同士になったわけだが、いつまで俺のことをお兄ちゃんと呼ぶつもりだ。いや、俺としては別にお前にお兄ちゃんに呼ばれるのはいい、というか、快感なんだがやっぱりそう呼ばれると、俺はお前の兄だとほかの人は思ってしまうわけでそうすると外ではいちゃつきにくくなるというか・・・・で、名前で俺のことを呼んでもらいたいんだ。いや、別に二人のときはお兄ちゃんって呼んでくれても構わない。それも一種の『萌え』だからな」
「『萌え』って・・・・」
どこか頭の調子がおかしいお兄ちゃんの話を話半分に聞いたとしても、お兄ちゃんの言っていることは正論だった。確かに、他人に近親相姦をやっていると思われても気分が悪い。
しかし、名前で呼んだら最後、ところ構わず私にくっついて来るだろう。それはそれで、かなりうざい気がする。
でも、私自身もお兄ちゃんに思いっきり甘えたいという気持ちがある。
どうしよう。
悩んで、黙りこくった、私にお兄ちゃんはかなり慌てたようだ。
なぜか、手を大きく振り回しながら、
「もしかして、美弥子、いつもお兄ちゃんと呼んでいたせいで、俺の名前忘れたか?」
いつもなら見ることのできないあまりにも慌てた姿のお兄ちゃんにやっぱりふきだしてしまった私は、この世で一番愛しい人の名前を初めて口にした。
「英昭さん」
予想通り、抱きついてきたお兄ちゃんを引き剥がすのにとても苦労した。
こんにちは、清水明良です。
彼と彼女のすれちがいの日々いかがでしたか。
正直、すれちがいの日々にしようかすれちがいの日にしようか迷いました。日々って言うほど、日々を語れていないというか・・・。まあ、でも字面的に日々の方がよかったのでそうしたのですが・・・・。
まあ、この話は臆病な女の子という設定ですが、時たま結構毒はいていますよね。というのも、女の子はお兄ちゃん限定で臆病なだけなので、日ごろは活発な明るい女の子なんです。で、結構毒舌家であります。
ということで、へたれな男はこれからどう女の子を扱っていくのか想像するのはとても楽しみですが、この話はこれで終わりです。また、機会がありましたら、番外編を書いてみたいと思います。
他にも、蒼黒の刻や片葉の想いという小説も投稿していますので、そちらのほうも読んでいただければ幸いです。
これからも清水明良をよろしくお願いします。




