第一章;大陸の堅塁3
あらすじ変えました。
早足でずかずかと敷地内を歩いていく久米を見失わないようについていくと敷地内でもひときわ大きな格納庫らしき建物に案内された。
半開きになった引き戸の向こうでは蓬州における主力兵器、機竜が並んでいた。
「ぼさっとするな!今から貴様の事実上の上官となる玉燕の長官に挨拶に向かうのだぞ!!」
格納庫の中で翼を休める三匹の鋼鉄の獣に見入る和真の背に蹴りを入れて、久米は格納庫の中に入るとついてくるように手振りで命令する。
言われるままについていくと久米は右端の鋭角的なフォルムの機竜に向かって歩いていき
「乃木司令!石上和真が来ました!」
「ちょ、ちょっと待って下さいよ!?ここ機竜の格納庫ですよね!?国司の長官って執務室なりそれ相応の部屋にいるんじゃないですか?」
「おーう来たか、予定より早い到着だな。」
機竜の各部位を点検している竜匠――機竜の整備を行う技術者達に向かって声をかける久米に驚き、疑問の声を上げた矢先に兵部省で発行されている広報誌でよく見る顔の男、玉燕国司長官乃木忠興が竜匠のツナギを着て手を振りながら歩いてくるのを見て、和真は脱力してその場に膝をつきそうになった。
「長官ともあろう人間が何やってんですかこんなとこで!!」
素に戻って怒鳴った後で鉄拳制裁を予想し恐る恐る周囲に眼をやると、
「もっと言え!!」と四方八方からの視線が語りかけていた。
周りの反応からこれがありふれた出来事であることを理解した和真は深く溜め息をついた。