ドラゴンの力
✳︎✳︎✳︎は場面が変わると言う意味です
水面に映る自分の顔。いつも見ていた顔ではない。スキル【龍の瞳】その効果は視界に入れればモンスターや人間の能力を見ることが出来る。詳しく言えば文字が浮き出てくるのだ。
この世界の人間は全員が日本語を喋り文字も漢字など俺に馴染みのある文字だ。読み書きや言語に困らないと言うだけで安心感がスゴイ。
で、【龍の瞳】だが。効果は凄いがその代償に俺の左目はドラゴンの目になっていた。俺は気にしないがこの目のせいで買い物が出来なくなったりしたら困るな。人間に会うときは左目は閉じておこう。
「そろそろ行くか」
川で顔を洗い、気合を入れ直した後俺はモンスター吸収の旅を再開した。
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「ん?何だ?あのゴブリン。」
5メートル先にその奇妙なゴブリンは立っていた。肌は緑では無く色あせた黒といった感じで、目は赤では無く紫色をしていた。
【龍の瞳】によると黒いゴブリンはレベルアップによってより強くなった個体のようだ。名前はゴブリンでも強さは桁違いなんだとか。
丁度いい、【龍化】の試運転だ。
「ふぅ、よし。【龍化】」
すると俺の両手と両足がドラゴンの手足となった。変わったのは見た目だけでは無く力も段違いに強くなっていた。これならいけるか。
俺は両足に力をこめ一気に飛び出す。
「うおっ!」
初めて使ったスキルだったせいか制御が出来なかった。俺は黒いゴブリンを通り過ぎてその奥の木に激突した。
「グフッ!」
痛い、凄く痛い。鼻血が出てきた。ちょっとこのスキル強すぎない。試運転が死運転になるところだった。
「グルラァァァァ!」
黒いゴブリンは鼻血を流しながらよろけている俺へ指先の爪で攻撃を仕掛けてきた。
「あぶねっ!」
間一髪、では無いか。服が裂けてしまった。かすっただけで服を裂くか。まともに当たったら腕が飛びそうだな。
さっきの失敗のおかげで全力を出さなくても黒いゴブリンより速く動ける事が分かった。今度こそ。
俺は地面を走るのでは無く跳ねるように黒いゴブリンの後ろに回る。
「フンッ!」
【龍化】で変化して出来たドラゴンの爪で黒いゴブリンの頭を切り飛ばす。さすがはドラゴンだな。俺はしばらく【龍化】の性能を確認していた。
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【龍化】の性能だが、人間程度なら斬り裂けるくらい強力で。ハヤミのスキルよりも速く動ける事が分かった。
俺は黒いゴブリンを吸収し山道らしき道を歩いていた。
「あれは、村か?」
目の前に木で作られた門が見えた。とりあえず左目を隠せる眼帯なんかが欲しいな。